『静かなるドン』徹底特集!!
『静かなるドン』の見どころ
新田たつお『静かなるドン』は、第42回日本漫画家協会賞大賞を受賞した名作。2023年5月時点で、紙書籍の累計発行部数は4600万部を突破しています。さらに、近年の電子書籍ブームの後押しもあって、電子版の売上は2020年の1年間で6億円を記録! 長年愛される人気作の魅力を深掘りします!!
見どころ① 笑って、泣ける、起伏に富んだドラマ性
『静かなるドン』は、まさにエンターテインメント! 連載終了から10年余りが経ちましたが、その魅力は色あせることがありません。長年のファンはもちろんのこと、近年は電子書籍を中心に新しい読者層を獲得。ギャグに、人情、恋愛など、様々な要素がドラマに山場をもたらして、読者を楽しませてくれます。一つのジャンルに収まらない多様な魅力が、人気を後押ししているのです。
東北地方で新鮮組系楽堕会と鬼州組系上潮組が一触即発のピンチ。
龍宝国光のライフルが怒りの火を吹く。
見どころ② 幕末史とリンクする現代劇
「週刊漫画サンデー」(実業之日本社)の1988(昭和63)年11月15日号で産声を上げた『静かなるドン』。同誌2013(平成25)年1月8日号まで、足掛け25年に渡り連載されました。現代劇ではありますが、幕末の歴史とリンクする設定となっているので、チェックして読むと楽しいはず! 単行本は全108巻という超ボリュームですが、次の展開が気になってドンドン手が伸びてしまいます。
京都の二条城ホテルに集まった新鮮組幹部たち。
鬼州組との鳥羽・伏見の戦いを前に議論を交わす。
見どころ③ ギャグ×リアルなドラマの掛け合わせ
『静かなるドン』の人気を支える、キャラクターはユニークそのもの。ワガママな社長と彼に追従する社員、ケンカの弱いヤクザなど……。人間味あふれる登場人物が、読者の共感を誘います。さらに、読者が憧れるスーパーマン的キャラクターも続々登場! イケメン極道の活躍が、ピカレスク・ロマンとして読者を魅了します。ギャグ×リアルが織りなすドラマが人気の秘訣!!
生倉豊美に金を貢いだ、プリティの河合社長。
マフィアによる、最凶の美人局(つつもたせ)と知って恐怖する。
見どころ④ ハードなアクション
“静かなるドン”こと近藤静也は、夜になると大物極道に変身! 華麗なアクションを決めています。彼を支える新鮮組の配下も実力派ぞろい。日本刀や拳銃はもちろん、ヴァルカン砲まで持ち出して、敵対する鬼州組と戦争を始めます。マンガならではのド派手なアクションも人気の理由。主人公・近藤静也の宿敵・海腐雄二は、棺桶でサーフィンしながらアサルト・ライフルで抗戦します。
近藤静也を騙すため、死人を装っていた海腐雄二。
霊柩車から棺桶ごと飛び出して、富士山麓を滑り降りる。
見どころ⑤ 読者の涙を誘うラブ・ロマンス
『静かなるドン』は、男性ファンはもちろん、女性読者も多く獲得しています。ラブ・ロマンスが盛り込まれたことで、読者層を拡大しているのです。様々な美女が近藤静也を愛しますが、誰も彼と添い遂げることはできません。静也は、秋野明美への愛に気づきますが、運命は彼女との結婚を許してくれないのです。涙を誘うラブ・ストーリーが、ハードなドラマに陰影を与えています。
極道の近藤静也は、秋野明美に佐々辺晋作との結婚を勧める。
愛しているからこそ、身を引こうというのだ。
執筆:メモリーバンク
©新田たつお/実業之日本社