花とゆめHistory 2020年代
白泉社の「花とゆめ」創刊50周年を記念し、懐かしの名作から話題の新作までを大特集!
少女マンガの革命児たる役割を担ってきた「花とゆめ」の道のりを振り返ります。
2020年代、ボーダーレスに拡大する少女マンガ
高速インターネットの拡充で、スマホ一台あればマンガが楽しめる時代となりました。SNSを中心に多様な価値観が発信されるようになり、少女マンガでもさまざまな作品が生まれています。マンガのジャンルの垣根も低くなり、少年が少女マンガを、少女が少年マンガを読むのが当たり前となりました。2020年、白泉社はWEBマガジン「少年ハナトユメ」を創刊。少女マンガ編集部が手掛ける少年マンガ誌が話題を呼んでいます。
新感覚のラブ・コメディ
現代は多様性の時代。少女マンガも、個性との向き合い方が大きなテーマとなりました。堤翔の『フラレガール』は、色気あふれる外見にコンプレックスを抱く少女が「真の愛」を追求する物語。外見と中身のギャップが、ストーリーの鍵になっています。福山リョウコの『恋に無駄口』は、無駄に時間を費やすことに青春をかける少数派男子が主役。生き方も、恋愛の在り方も、さまざまあって良いのだと感じさせてくれます。
「俺の愛人になってください!」 赤坂響、高校三年生は、胸焼けするほどの色気を理由に、彼氏にフラレて一カ月。同級生の青山大地から、失礼過ぎる告白をされました。フェロモン満載の響は、学校で「愛人」の異名を得ていたのです。彼氏を失った響は、恋愛に臆病になっていたけれど……!? 無自覚エロスが楽しいラブコメ!
仁科悠里・志田葵・各務ましろ・真山深の四人は、顔はいいけど中身は残念な男子たち。今年から共学になった元・女子高に入学しました。無形文化遺産代行保存部、通称・無駄部の彼らは、日々くだらないテーマを検証。恋愛よりも、無駄口叩いて馬鹿やっている方がずっといい……と思っていましたが、恋は突然やって来て!?
嵐子(らんこ)は高校一年生。その名前とは裏腹に、波風立てず静かに生きたいと願っています。しかし、母の再婚相手が連れてきた息子・栢(かや)は、喧嘩が絶えないモンスター中学生。でも、何やら事情があるようで……!? 孤独を抱えていた二人が出会ったことで、日常が鮮やかに色づき始めます。義姉弟が贈るジェットコースター物語!
無限に広がる学園モノ
いつの時代も不動の人気を誇る学園マンガ。マンガの草創期から多くの名作を輩出し、今も現在進行形で進化を続けるジャンルの一つ。soraの『墜落JKと廃人教師』は、自殺未遂の女子高生と、そんな彼女に声をかけてきたクズ教師によるラブ・コメディ。赤瓦もどむ/まんが・日向夏/原作の『神さま学校の落ちこぼれ』は、不思議な力を使う「神さま」がいる世界の学園ファンタジー。学園マンガは、これからも無限に広がっていきます。
女子高生の落合扇言(みこと)は、失恋を苦に自殺しようとしたところを物理教師の灰葉仁、通称・廃人に邪魔されてしまいます。先生は、授業が始まる時に静かに一礼する扇言の姿が気になっていたというのです。扇言は、「死ぬ前に俺と恋愛しない?」と、先生に告白されて……!? ハラハラ・ドキドキのつり橋効果ラブ・コメディ。
神通力を持つ人間がヒミコと呼ばれる現代。特に優れたヒミコは、国家資格を得て「神さま」となります。ナギの祖母は神さまで双子の兄もヒミコなのだが、ナギには何の能力もなかった。しかし、ある日突然、惟神(かんながら)學園、通称・神さま学校から、ナギに合格通知が届いて……!? 落ちこぼれ女子が、頑張って神さま目指します!
令和のイケメン・マンガ
「推し活」は、ファンがお気に入りのアイドルを応援することが由来です。その対象は、今では大きく拡大。SNSで身近な人物や物事の魅力を広めることで、誰かと繋がる喜びが生まれています。そんなネット全盛時代のコミュニケーションは、新感覚の美少年マンガを誕生させています。安斎かりんの『顔だけじゃ好きになりません』は、SNSが恋を深めるラブコメ。師走ゆきの『多聞くん今どっち!?』はアイドルの推し活がテーマです。
美和総こと美乃和総合高等学校は不人気校。二年生には、SNSで噂のイケメン・宇郷奏人(うごうかなと)がいます。しかし、出席不足の奏人は校長に呼び出され、退学撤回と引き換えに美和総公式アカウントのフォロワー数10万人突破を命じられてしまいます。奏人推しの才南(さな)は、SNSの「中の人」として代行を任されて!?
木下うたげは、大人気アイドル・F/ACE(フェイス)の福原多聞くん推しの高校生。ある日、家事代行のバイトで向かった先が、なんと多聞くん本人の家でした。しかも、多聞くんの本性は、アイドル姿とは真逆のジメジメ陰キャで!? うたげは、自己肯定感が低い彼を全力でサポート。新感覚の推し活ラブコメです!
column2020年代の出来事
2019年4月30日、平成が終わりを迎えて令和がスタート。アイドルやマンガ、アニメ、ゲームの他に、衣服や食べ物など、好きな事に情熱を傾ける「推し活」がブームとなっています。自分が好きな「推し」の魅力を、SNSを通じて応援する楽しさが人気の理由。少女マンガも、時代の風を取り込んで新感覚の作品を生み出しています。
執筆:メモリーバンク 文責:ebookjapan
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