「花とゆめ」創刊50周年特集 半世紀にわたる少女マンガHistory!!
白泉社の「花とゆめ」創刊50周年を記念し、懐かしの名作から話題の新作までを大特集!
少女マンガの革命児たる役割を担ってきた「花とゆめ」の道のりを振り返ります。
「花とゆめ」が創刊された1970年代
1960年から70年にかけて、少女マンガ誌が相次いで創刊しました。白泉社は1973年に創業し、翌74年5月に「花とゆめ」を創刊しています。初代編集長の小長井信昌は、「別冊マーガレット」(集英社)在籍時のノウハウを生かし、少女たちの“花”と“ゆめ”にあふれた世界観を創出。折しも、時代は少女マンガの変革期。作家も、他の雑誌で経験を積んだベテランから、同人活動で鍛えられた新人まで、実力派がそろいました。
波乱万丈なエンターテインメント作品
「別マまんがスクール」は、「別冊マーガレット 少女まんがスクール」の略称で、投稿作品を講評するコーナー。選者であったマンガ家・鈴木光明の薫陶を受けた作家が、創刊間もない「花とゆめ」で活躍するようになります。「花とゆめ」1976年第1号では、美内すずえ『ガラスの仮面』と、和田慎二『スケバン刑事』の2大作品がスタート! 波乱万丈なストーリーで、マンガが本来もつ娯楽性を前面に出し、読者の心を鷲づかみにしました。
北島マヤは、横浜の中華料理店に母とともに住み込みで働く13歳の少女。その瞳の奥には、芝居への情熱がくすぶっていました。伝説の大女優・月影千草と出会い、演劇の世界に飛び込んだマヤ。天才・姫川亜弓をはじめ、演劇界の怪物たちが彼女を待ち受けています。千の仮面を持つ少女・北島マヤ、激動の舞台人生がここに開幕!
第二高等少年院、通称・地獄城に収監中の麻宮サキは、ほかの院生から一目置かれる札つきのスケバンです。警視総監を名乗る黒メガネの男がサキを訪ねたことで、運命の歯車が動き始めます。死刑判決を受けた母の刑執行と引き換えに、サキはセーラー服姿の学生刑事に転身。少女マンガにアクションを持ち込んだ革命的作品!
24年組が起こした革命
1970年代、少女マンガの革新を担った女性マンガ家たちが登場しました。のちに「花の24年組」と呼ばれるマンガ家たちです。山岸凉子は、バレエマンガの金字塔『アラベスク』や、ファンタジー巨編『妖精王』に挑戦。三原順は『はみだしっ子』で子どもたちの強い絆を描いて感動を呼びました。いずれも、それまでの少女マンガの常識を覆す革命的作品ばかり。「花とゆめ」は、マンガ史に名を刻む重要な作品の舞台となったのです。
舞台は、ロシアがソビエト連邦だった時代。キエフのバレエ学校で学ぶノンナ・ペトロワは劣等生。しかしソ連の「金の星」と名高いユーリ・ミロノフに見いだされ、レニングラード・バレエ学校に編入します。「花とゆめ」では、本作の第二部を連載。芸術家として、一人の女性として成長するノンナの心情を、見事表現しています。
グレアム、アンジー、サーニン、マックスの4人の少年は、ともに放浪生活をしています。親に見捨てられた子どもたちは、この世のはみだしっ子。傷ついた過去を癒してくれる誰かが、どこかにいるはず――。愛を探してさまよう4人は、血縁を超えた固い絆で結ばれています。不世出のマンガ家、三原順の最高傑作と名高い作品。
男性作家の活躍
かつて少女マンガは、「少女の憧れ」を描くものでした。それに飽き足らず、作風が拡大したことで、読者層も中高校生から大学生、男性にまで広がっていきます。1970年代後半から80年代にかけて、柴田昌弘や魔夜峰央などの男性作家が頭角を現します。少女マンガの流麗な絵をベースに、柴田昌弘は「SF要素」を、魔夜峰央は「ギャグ要素」を導入。新たなドラマ性を持ち込んで、少女マンガにさらなる拡大をもたらしています。
パタリロ・ド・マリネール8世は、南海の小国・マリネラの若き国王。美少年キラーの異名を持つ、イギリス情報部MI6のバンコラン少佐は、ボディガードとして国王の訪英を助けます。ところが人並み外れた国王は騒動ばかり起こします。おまけに元暗殺者の美少年・マライヒも現れて大混乱! 少女マンガ史上空前のギャグ大作!!
『紅い牙』は、古代超人類の血を引く超能力少女・小松崎蘭と、悪の秘密結社・タロンの戦いを描くSF巨編。1975年に「別冊マーガレット」に発表した『狼少女ラン』を皮切りに始まったシリーズで、1981年から「花とゆめ」に発表しています。『ブルー・ソネット』では、蘭とエスパーサイボーグ・ソネットの戦いが描かれます。
column1970年代の出来事
大阪で開催された日本万国博覧会とともに幕を開けた70年代。70年に「別冊少女コミック」(小学館)、75年「月刊プリンセス」(秋田書店)など、少女マンガ誌の創刊が相次ぎました。76年には、「花とゆめ」姉妹誌として「花とゆめLaLa」(翌年「LaLa」に改題)誕生! 少女向けエンターテインメントが、大きく花開いた時代です。
執筆:メモリーバンク 文責:ebookjapan
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