『宝石の国』美しくも退廃的な宝石たちの世界、その理を紐解くのはドジな主人公・フォスフォフィライト!
講談社「月刊アフタヌーン」にて連載中の市川春子先生による『宝石の国』。
唯一無二の美しい世界観には根強いファンも多く、2022年6月の連載再開に際しては多くの喜びの声も寄せられた本作。
退廃的かつ美しい宝石たちの住む国に隠された多くの秘密を、主人公・フォスフォフィライトが解き明かしていくSF・ファンタジー作品となっています。
ドジでお荷物な主人公…彼に与えられた役目は博物誌の制作? 『宝石の国』あらすじ
『宝石の国』 ©市川春子/講談社
本物語の主人公・フォスフォフィライト(通称フォス)が暮らすのは宝石の国。ここで暮らしているのは彼と同じく、名前に冠した宝石・鉱物で体組織が構成された人型の28名の宝石たちです。
そんな仲間たちの中でも、生まれてまだ三百年しか経っていない最年少のフォス。幼さの残る性格や生来の思い込みが強く先走りやすい気質もあって、彼は仲間内でいわゆる「ドジっ子」「お荷物」のレッテルを貼られる存在でした。
そんなフォスたちの住む国では、不定期に彼ら宝石を攫おうとする「月人」という存在が襲来します。宝石たちは「金剛先生」と呼ばれる親代わりの存在と共に、日々その月人を迎撃・撃退しながら毎日を送っていました。
『宝石の国』 ©市川春子/講談社
ややドジな性格や、最年少というポジション。加えて硬度3半という脆い体質から、月人との戦いになかなか出してもらえないフォス。
もちろん彼自身は早く仲間と一緒に戦い、自分もお荷物でないことを証明したい気持ちでいっぱい。しかしそんなある日彼は金剛先生から戦闘要員ではなく、この世界の事を記す「博物誌」の制作役に任命されます。
『宝石の国』 ©市川春子/講談社
博物誌編纂のため、この世界の成り立ちや仕組みについて、嫌々ながらも自分なりの調査を進めようとするフォス。彼のこの博物誌調査が、謎に包まれたこの世界の秘密を解き明かす、大きな最初の一歩ともなるのです。
キャラは全員実際の宝石がモチーフ! 長年世界中を魅了する宝石の魅力も再発見
『宝石の国』 ©市川春子/講談社
まず本作の魅力のひとつが、実際の宝石をモチーフとした多彩なキャラクターたち!
主人公であるフォスフォフィライトを始めとして、物語に登場するのはすべて実際にある宝石を題材としたキャラばかりです。
ダイヤモンドやアメシスト、ラピス・ラズリなどのメジャーな宝石のみならず、ボルツやシンシャ、ジルコンやユークレースなど。彼らは名前に由来する宝石と同じ色味の身体をしていたり、本物の宝石にも用いられる「硬度」がそのまま身体の脆さに繋がっていたりと、実際の宝石の要素とも大いにリンクする設定が満載。
『宝石の国』 ©市川春子/講談社
実際の宝石のことを知っていれば、さらに作品の世界観が楽しめる。またこの作品から、世界でも有数の美しさを誇る、宝石の世界の奥深さを知ることもできます。
それもまた、美しい宝石たちの物語である今作の楽しみ方のひとつでもあることでしょう。
美しくも退廃的な宝石の国――すこしずつ明かされるその秘密に大勢が夢中!
『宝石の国』 ©市川春子/講談社
そしてもうひとつの作品の魅力は、やはり謎に包まれた作品の舞台となる世界の秘密について。
金剛先生を中心とした宝石たちの国と、彼らを襲う月人。いわゆる普通の人間の姿がほとんど見受けられないこの世界に、ディストピア的な美を感じる人も多くいるようです。
一体なぜ彼ら宝石は月人に狙われるのか。この世界は昔から、元々宝石たちしか存在しない世界だったのか。それならば、その中で明らかに異質な存在である、金剛先生とは一体何者なのか?
『宝石の国』 ©市川春子/講談社
本作を読む中で、このように多数生まれる謎。当初は説明のほとんどなかったこの世界の秘密が、実は今まさに物語では解き明かされている真っ最中!
そんな熱い展開もあり、現在進行形で多くの読者が物語の行く末を見守っている本作。
ぜひあなたもこの機会に、美しくも退廃的な彼らの世界の謎に迫ってみませんか?