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【推しマンガ】伝説のカーライフコミック再始動! 名車沼にハマった“彼女”たちの物語!!

「彼女のカレラ」シリーズは、伝説的人気を誇るカーライフコミック。2004(平成 16)年のスタートから20年余りが経った2025(令和 7)年現在も、ウェブコミックサイト「リイドカフェ」(リイド社)で新シリーズが連載されています。その名も『彼女のカレラ GT3』――。

出版社で編集者として働く主人公・轟麗菜(とどろき れいな)をはじめ、女子高生プロレーサー・岬愛華(みさき あいか)、フェラーリ信者のマンガ家・霧島ぱるこなど、ドライブ女子たちは健在! さらに声優の姫小路優香(ひめのこうし ゆか)が、新たに仲間に加わります。優香はポルシェ911 GT3を持っていますが、ある“トラウマ”が原因で運転できずにいました。

新たな“彼女”と“カレラ”のストーリーが始まりました。クルマが大好きな人も、そうでない人も楽しめる日常系のカーライフコミック。その魅力を紹介します。

彼女のカレラGT3 著者:麻宮騎亜

日常系カーライフコミックの金字塔!

麻宮騎亜先生は菊池通隆名義でアニメーターとして活動し、1986(昭和 61)年に『神星記ヴァグランツ』でマンガ家デビュー。サイバーパンク・コミックの名作『サイレントメビウス』などを手掛けて、数々の功績から 2024(令和6)年に第55回星雲賞アート部門を受賞しています。

SF作品の名手として知られる麻宮先生ですが、その執筆と並行してカーライフを主題とする「彼女のカレラ」シリーズを描き続けています。シリーズ初代となる『彼女のカレラ My Favorite Carrera』は2004(平成 16)年にスタートし、その後『彼女のカレラRS』などの続編を執筆。 2018(平成30)年からは、「リイドカフェ」で『彼女のカレラ GT3』を連載しています。

一般にクルマを主題とするマンガの多くが、サーキットや公道におけるレース物が中心です。ストーリーにバトル要素を持ち込んだ娯楽性の強い作品ですが、現実の社会ではほとんどの人がバトルと無縁のカーライフを送っているのが実情です。「彼女のカレラ」シリーズはクルマとユーザーの関係性に着目し、“日常系”の作品とすることで読者の共感を得ています。

出版社でマンガの編集者として働いていた麗菜は、亡くなった父親から1台のクルマを相続しました。ルビーストーンレッドのカラーリングがまぶしい、 964型ポルシェ911 カレラ。徹底した軽量化により、高い走行性能を実現した RS(レーシングスポーツ)モデルです。

免許はAT限定、特にクルマには情熱はなし――そんな麗菜も父の形見に触れたことで、ポルシェに強い愛着を抱くようになります。愛車“ポル君”を通して様々な友人と出会い、ツーリングやサーキットでの走行会に参加。さらにマンガの編集者から、自動車専門誌の編集者に転身を遂げています。ポル君との出会いにより、彼女の新たな日常が始まったのです。

もはや麗菜にとって、クルマは単なる移動手段ではありません。楽しい時も、悲しい時も一緒に過ごしてくれる大切なパートナーとなったのです。しかしそんな彼女もドイツ支社に派遣されて、愛車としばしのお別れをしています。新シリーズ『彼女のカレラ GT3』では、麗菜がドイツ支社での仕事を終えて帰国。ポル君と再会を果たした場面から始まります。

ドライブ女子は、いつだって準備OK!

「またこれからもよろしくね! 私のカレラ!」。麗菜はポル君と再会し、新たなドラマの予感に胸を膨らませます。久々に東京の本社に出勤した麗菜。さっそく編集長の叶澪(かのう みお)に呼び出され、新しい仕事を任されます。

WEB版の自動車専門誌創刊に伴い、その編集長に抜擢されたのです。しかも新雑誌のターゲットは女性だと言います。あまりの大任に、驚きを隠せない麗菜。しかしドライブ女子の仲間と再会したことで、仕事への意欲を高めています。

「私たちドライブ女子は いつだって準備OKなんだ」。友人の一声で、辰巳第一 PA(パーキングエリア)と横浜・大黒を往復するプチツーリングがスタート。仲間と一緒に楽しい一時を共有した麗菜は、このドライブに触発されて雑誌名を決めています。その名も「レディ・トゥ・ドライブ」。“レディ(女性)”と“レディ(準備)”をかけたネーミングです。

「彼女のカレラ」シリーズは、女性編集者・麗菜の成長物語でもあります。第1シリーズのスタート時は、青年向けマンガ誌「月刊コミックプレイガイズ」の編集者だった麗菜も、連載の過程で自動車専門誌「ドリヴィン」に移籍。叶編集長の独立に伴い、彼女が興した会社に転職しています。

様々な苦労を乗り越えて、WEB雑誌「レディ・トゥ・ドライブ」の編集長に抜擢されたのです。この雑誌は自動車の情報を特集するものですが、インタビュー記事のコーナーも設けられています。対象者の人選は、必ずしもクルマにとらわれないという方針です。麗菜は様々な分野でプロとして活躍する女性に、インタビューすることになりました。

インタビューの第1回目は、声優の姫小路優香が相手です。麗菜はアニメのアフレコ現場に赴き、優香と対面を果たします。インタビュー内容は、クルマと関係のないものとなりましたが、優香は何か言いたげな様子――。何やらクルマに秘めた想いがあるようです。

ペリドット・グリーンに輝くGT3の行く末は!?

後日、麗菜のもとに1本の連絡が入ります。先日インタビューをした姫小路優香が、麗菜のポルシェに乗せてほしいと言うのです。しかし麗菜のポルシェは軽量化をはかった RSモデルで、インテリアが簡素化されています。エアコンがついていないため、夏場のドライブには向いていません。

麗菜は優香とのドライブが心配になりました。優香はふんわりした女性ですが、インタビューをしてみると不思議なストイックさを秘めていることが分かりました。麗菜の不安は見事に的中します。優香をポル君に乗せて運転すると、会話が長く続かず、気まずい空気になってしまったのです。

しかし優香の口数が少ないのには理由がありました。ポル君が幕張PAに着くと、一目散にトイレに駆け込んだ優香。彼女はクルマに酔いやすい体質だったのです。

優香は自動車免許を取得しており、さらにクルマも持っていました。しかし乗り物に酔いやすい体質のため、クルマとどう付き合っていけば良いか分からないと言うのです。

優香の愛車はポルシェ911 GT3。鮮やかなペリドット・グリーンの色味に惹かれ、特注でオーダーしたと言います。その価格はおよそ 2400万円――。麗菜は、優香から運転の代行を頼まれて躊躇してしまいます。

値段もさることながら、記念すべき初運転を代わることに抵抗を覚えたのです。優香は5歳の頃からポルシェに憧れを抱き、 20年間ストイックに貯めたお金をはたいて、このクルマを購入したと言います。なんとかして、優香自身がポルシェのハンドルを握る方法はないのでしょうか。

好きな洋服を選ぶように、クルマを楽しむ女子たち

20年余り続いている「彼女のカレラ」シリーズに、新しいドライブ女子・姫小路優香が加わりました。爽やかなペリドット・グリーンのポルシェ 911 GT3が、彼女のキャラクターを象徴しています。ポルシェのボディカラーは、モデルや年式によっても異なりますが、総じて豊富なバリエーションが用意されているそうです。

「彼女のカレラ」シリーズの登場キャラクターは、ポルシェをはじめフェラーリやランボルギーニ、日産 スカイライン GT-Rなどの名車に乗っています。各キャラクターの個性を象徴するクルマが描かれて、ドラマを盛り上げているので、ぜひ注目してみてください。

ファッションを選ぶように、クルマ選びも自由でいいはず――。「彼女のカレラ」シリーズは、そんな想いにさせてくれるカーライフコミックの名作です。麗菜が編集長に抜擢された新雑誌「レディ・トゥ・ドライブ」の行く末は? さらに声優の優香はクルマ酔い体質を克服できるのでしょうか !? 新シリーズ『彼女のカレラGT3』の続きを楽しみにしましょう!

執筆:メモリーバンク / 柿原麻美 *文中一部敬称略

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