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『株式会社マジルミエ 』ベンチャー企業で働く魔法少女達によるアツいお仕事漫画

SF作家であるアーサー・C・クラーク先生が「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」という名言を残しています。第3回ebookjapanマンガ大賞にノミネートされた注目作品『株式会社マジルミエ』は正にその言葉を形にしていると言っても過言ではありません!

株式会社マジルミエ 原作:岩田雪花 作画:青木 裕

魔法少女が職業として活躍する世界

本作は魔法がプログラミング技術として確立している世界が舞台。

上記で書いた様に、科学技術が魔法と同等の力を持っているのです。

その技術を道具に組み込み魔法を発動すると日常で発生する自然災害の一種「怪異」を退治する魔法少女という存在が、ファンタジーな要素ではなく「職業」として描かれています。

魔法少女が所属する企業が多数あり、しかも高給取りで人気の職業という別の意味でも「夢のある仕事」な設定なのも好感を抱かせます。

魔法業界のEXPOがあったり、新人採用を決める際にはエンジニア社員・二子山から「せめてMg言語(作品内における魔法を作る為にプログラミング言語の一種)は一通りマスターしてて欲しい」という意見が出たりと現実の社会で身近にあるイベント・業界話とリンクする点もあり、より世界観を身近に感じられます。

元々ファンタジー等の非科学的な分野に実在する科学や技術を織り込んだ設定がある物語というのが大好きだったので、初めて読んだ時からのめり込みました!

また、実地体験として魔法少女が使用する魔法器具「ホーキ」を使用することに「自分の様な新人が使っていいのか」と尻込みしている主人公・桜木に対し、

「ここはベンチャーだ 大企業みたいに1年かけて新人を教育できる訳じゃない その代わりどんな新人でもすぐプロになる 君も望めば今日から魔法少女なんだよ」

と胸を張って話す営業社員・翠川の姿が第1話の中でも特に印象的で、設定の斬新さや面白さだけではなく、ベンチャー企業そのものの魅力も読者へ伝えようとする姿勢が伺えました。

他者の能力を認める大切さを教えてくれる

「千里の馬は常にあれども伯楽は常に有らず」という中国のことわざがあります。有能な人は常にいるが、その能力を見出せる人は少ないという意味です。

ずば抜けた記憶力を持ちながらも数多の企業の入社試験で見向きもされなかった桜木や、魔法のプログラミングへの情熱と技術を人一倍持ちながらも誰からも理解や共感されることのなかった二子山は「株式会社マジルミエ」で表に出なかった本来の実力が発揮されることになります。

それが出来たのは、正にことわざの通り彼女達の能力を正確に見抜く社員達が居たからに他なりません。

「有能になりたい」と努力することも勿論大事なことですが、自分自身のことだけ注視せず、周囲の人々の能力を知って尊敬する気持ちでいることも必要であり、それによって良いチームワークが生まれるということを学ばせてくれます。

ひたすらにやさしい世界

「株式会社マジルミエ」社長・重本は、現場で危険にさらされながら働く魔法少女達への責任感を強く持ち、かつ彼女達の意見も尊重します。

「犠牲を払うことは美しい」というブラック企業の様な主張をしないので、いち企業として「株式会社マジルミエ」自体を応援したくなってくるんです!

時折、重本と因縁がある「アスト株式会社」社長・古賀という現実主義で利益とコストを最優先する人物によって利益の少ない魔法少女を即解雇したり、契約する予定の魔法少女の目の前でキャンセルしたりと見ていて苦しくなる場面もあるにはあるんですが、おまけページで彼女達が再就職に成功し楽しく仕事をしている様子と共に「株式会社マジルミエはやさしい世界を応援しています」のメッセージが書かれており、我々読者にも「安心感」という手厚い福利厚生がなされていますこれもまた作品を推したくなる大きな理由です!

魔法少女達の魅力も盛り沢山!

魔法少女達の変身シーンはバリエーションに富んでおり、各キャラの属性や性格、設定にあった演出がなされているので元から魔法少女ジャンルが好きな方も引き込まれるハズ!

変身後の衣装デザインだけに留まらず、例えばヤンキーっぽさのある越谷はパワフルな戦闘スタイルであったりと、戦い方ひとつとっても個性豊かであり、魔法少女モノならではのワクワク感を味わえますよ! どのキャラも素敵ですし、自分にとって魅力的な魔法少女に出会ったら是非推して下さい!

『株式会社マジルミエ』には「自分もまた明日から頑張ろう!」とやる気を出させてくれる魔法が掛けられています。

仕事で頑張りたい時に読んで是非その力を享受して下さい!

執筆: ネゴト /

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