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『正反対な君と僕』言語化されたセリフに共感!彼らの日常が愛おしすぎる青春ラブコメ

「次にくるマンガ大賞2022」のWebマンガ部門2位、「このマンガがすごい!2023」のオトコ編第9位と、2022年大注目の『正反対な君と僕』。元気いっぱいな陽キャだけど周りの目を気にしてしまう鈴木が惹かれたのは、自分の意見を言える物静かな谷くん。正反対な2人を中心に、魅力あふれるキャラたちとの高校生活を描いた青春ラブコメです。『氷の城壁』がデビュー作で大人気の阿賀沢紅茶先生が描く本作の魅力をご紹介します。

正反対な君と僕 著者:阿賀沢紅茶

テンポよく進む展開と全てのキャラが愛おしい!

本作は少年ジャンプ+の読み切りから連載へ移行したこともあり、1話で鈴木と谷の恋は動き始めます。

恋愛マンガはつき合うまでの悩みやすれ違いが醍醐味でもあります。しかし本作の登場人物たちは悩んだりすれ違ったりしても、想いをきちんと言葉にして伝えることで、引きずることなく前へ進んでいきます。そのテンポのよさにストレスなく読み進められます。

鈴木と谷を中心に描きつつも、友人たち(主に鈴木の友人)にもスポットを当てる描き方もこの作品の魅力の一つです。陽キャもいれば陰キャもいて、彼らの悩みや葛藤、恋も丁寧に描かれています。

「なんか…好きな人と友達が仲良くなっていくの…結構…嬉しい?ソワソワするな…って思って」自分の友人とだんだんと仲良くなっていく谷を見てそうつぶやく鈴木。

それぞれが別々の枠だったのに、境界がなくなり混ざり合っていく。混ざり合ったことで変わる関係性を大事にしているのが伝わってきます。

「何となく」の言語化に共感

「この雨上がりのにおいが好き」

夏の雨上がりの夕方、偶然コンビニで会った鈴木と谷。偶然にも同じことを口にします。

「他人の言動や立ち位置やランクがやたらと気になってしまうのは、自分視点の基準がないからだ」

登場人物で一番の屈折キャラである平は、陽キャの鈴木と陰キャの谷が付き合い始めたことにモヤモヤしてしまいます。なぜなのかを考えたとき、なんとなくわかってしまったのが、ヒエラルキーに縛られていたのは自分だということ。

多くの人が感じたことがある「なんとなく」好きなものや、「なんとなく」持つ違和感をキャラたちが言語化してくれます。

そっか、このモヤモヤの正体はこれだったんだ!そうそう、そう言いたかったんだよね!

自分ではうまく言語化できなかったモヤモヤがスッキリする人も多いはずです。

なぜ彼らの日常はこんなにも愛おしい?

この漫画には大事件も悪人も登場しません。
アクションもバトルもヒーローも出てきません。普通の高校生たちの普通の日常を描いています。

その普通の彼らの日常がこんなにも愛おしくて愛されているのはなぜなのか。

本作を読んでいると、普通とは実は特別だということに気がつきます。

自分にとって普通は、他の人にとっては特別だということにはなかなか気が付きません。育った環境や価値観、考え方や感じ方は人それぞれで、違って当たり前です。自分の当たり前が相手にとっても当たり前だとは限りません。

だからこそ、自分の当たり前を心地よく思える相手と一緒にいられることって尊い。

そのことを描いているからこそ、多くの人に愛されているのではないでしょうか。

カラーや吹き出しの使い方、小ネタも見逃せない!

至るところにセンスを感じられる本作。

鈴木の髪型や私服をはじめ、吹き出しにも個性があらわれています。またWebマンガだからこそのカラーの使い所も必見です!

誰もが気になる「ガパチョ」は登場するのか!?他にも前作の『氷の城壁』ファンが喜ぶ小ネタも満載で、何度でも読み返したくなります。

鈴木と谷カップルの今後はもちろん、全てのキャラをずっと見ていたくなる本作、恋愛だけではなく青春のあれこれがぎゅっと詰まっています!

読めば思わず笑顔になってしまう清涼剤のような作品です。元気を出したいときに読んでみてはいかがでしょうか。

執筆: ネゴト / Hiromi

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