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文鳥とのスローライフライフがはじまらない!? このラノ1位コミカライズTVアニメ化も『佐々木とピーちゃん』

しゃべる文鳥に異世界に超能力に魔法少女にヤンデレ、しかもまだまだ増えてきそうなジャンルの大盛りバイキングなのが『佐々木とピーちゃん』

おじさん佐々木とペットのピーちゃんとの癒しの「スローライフ」が始まるとおもいきや、異世界での活躍を皮切りに現代を含む様々な方面で騒動に巻き込まれていく。

佐々木とピーちゃん 原作:ぶんころり 漫画:プレジ和尚 キャラクター原案:カントク

来るぞ「ささぴー」フィーバー

サラリーマンの佐々木と元異世界賢者の文鳥ピーちゃんが、異世界や現代で活躍する物語が『佐々木とピーちゃん』だ。

原作の新文芸は『このライトノベルがすごい! 2022』単行本・ノベルズ部門で第1位を獲得した人気作。さらにTVアニメ化も決定し「ささぴー」熱は高まるばかりだ。

原作者のぶんころり先生の描くストーリーによる、縦横無尽な世界観と巧みな伏線は、ページを捲る手を加速する。さらに、イラストレーターのカントク先生による可愛くも美しいキャラクターデザインが『佐々木とピーちゃん』の世界をより深く彩り良くさせていく。

マンガ版ではプレジ和尚先生によりシーンや描写が躍動感と迫力を持って、リアルにたっぷりと描かれている。もちろんキャラクターの可愛さやコミカルさも健在。より敷居は低く、しかしよりリッチな体験をできるのがマンガ版の魅力だと言えるだろう。

文鳥とのスローライフがはじまらない

佐々木が飼うことになった、異世界転生「文鳥」のピーちゃん。しゃべりだしたピーちゃんはシャトーブリアンが食べたいと言い出すものの、アラフォーおじさんにそんな金銭の余裕はない。(希少部位なので100グラムでも1万円を余裕で超える)

そこで異世界の元賢者であるピーちゃん協力の元、異世界でお金を稼ぐことに。現代と行ったり来たりしながら、スローライフが始まるかと思いきや、魔法ありバトルありな展開へと発展していく。

あらゆる設定が「効いてくる」

この作品の魅力を語る前に、主人公の設定について言いたい事がある。

正直なところ、主人公がアラフォーのおじさんという設定は異世界モノやバトルファンタジーではデメリットのように思える。読者は主人公に自分を投影しながら、時に自分に当て嵌めながら読む。なりたい自分、なりたかった自分を物語の中に見るものだ。そう考えるとおじさんはあまりお呼びではない。

そもそも、過去の自分やあこがれの自分を投影する若い主人公と違って、おじさんでは共感が得にくく、結果として没入感が得にくいように思う。なぜおじさんにしたのかと感じながらでは、作品を見続けるのは難しい。

けれど、この『佐々木とピーちゃん』そうではない。おじさんという設定が効いてくる。出会う相手との交渉術、行動の慎重性、様々な要素において、アラフォーのおじさんであるという事が「物語の説得力」になるのだ。

社会に出て、とても良いとは言えない職場環境で過ごしてきたサラリーマン。日本において企業戦士として戦ってきた年数は15年近くになるだろう。となれば、こうなるだろうと思わせられるのだ。

蛮勇は無くなり、それでいて焦りは外には出さず、慎重に行動する。どこか諦めながらもわずかな理想は持っている。若くしてこのようなキャラだと、どこか違和感があり、どうしても特別な人物なんだと感じてしまう。しかし、それが年齢による経験からくるモノならば読んでいる側も納得できる。生きていく上で身につけていく知恵だからだ。

若ければ特別な異才でも、歳を重ねているならば当然の凡才。物語の中に感じるリアル。特別な人間ではない佐々木だからこそ、共感し深い没入感へとつながる。

アラフォーのおじさんが主人公である事が巧みに物語を読ませる推進力になっている。見たい世界、読みたい物語、読者の願望を叶えるためには、おじさんが主人公であることが必要だと感じさせる作品になっている。おじさんという設定が「効いてくる」のだ。

ちなみに、この作品の魅力はおじさんが主人公なことだけでも、ピーちゃんが可愛いことだけでもない。

実は、この作品に登場するあらゆる設定が同じように「効いてくる」意味を持って押し寄せてくる。それこそがワクワクするような面白さであり、この『佐々木とピーちゃん』の魅力だろう。

「おもしろい」に欲張りなあなたに『佐々木とピーちゃん』

これでもかと盛られたジャンルと属性、押し寄せる伏線の数々。大味ではなくどれも繊細で美味すぎる大盛りバイキングのような作品を楽しむ覚悟はあるだろうか? 

もっともっとおもろいマンガをおくれ〜なあなたにこそ『佐々木とピーちゃん』をぜひ読んでいただきたい。マンガ版だけの原作者書き下ろしSSも付いてますよ。

執筆: ネゴト / カリス魔王TK

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