『アンテン様の腹の中』見合う対価で願いがなんでも叶う…神出鬼没の”アンテン様”を取り巻く人々の数奇な物語
現在ジャンプ+にて連載中の夜諏河樹先生による現代奇譚『アンテン様の腹の中』。
”自分が大事にしているもの”を対価に、それに見合った願いを叶えてくれる――そんなアンテン様に魅入られる人々の様々な運命を描く本作。
あなたはもし、アンテン様に出会ったら。一体何をお願いしますか?
その神社では対価を払えば、なんでも願いが叶うという…『アンテン様の腹の中』あらすじ
『アンテン様の腹の中』 ©夜諏河樹/集英社
物語の舞台となるのは、神出鬼没の不思議な神社です。
あちこちに突如現れる大きな黒鳥居、そこには大事なものと引き換えに、いろんな願いを叶えてくれる神様が住んでいるといいます。
ある日その神社に迷い込んできた二人の少年・伊佐木と飯田。彼らの前に唐突に姿を表したのは、巫女装束をまとう一人の幼い子どもでした。
『アンテン様の腹の中』 ©夜諏河樹/集英社
その人物曰く、ここを訪れるのはアンテン様に招かれた者だけ。
この神社は遠い昔から大勢の人々の願いを叶えてきた場所であり、叶えたい願いがあれば、それと同じだけ強い想いの込められた「大事なもの」をアンテン様にお供えするといい。
だが自分が死んだ時にはその願いはすべて無効となるので、よく考えてお願いごとをするように、と教えてくれました。
『アンテン様の腹の中』 ©夜諏河樹/集英社
その子どもに言われた通り、二人はそれぞれ手持ちの物をアンテン様に捧げて祈り、その結果願いを成就させます。
その後も偶然、何度か揃って神社に訪問する彼ら。しかし伊佐木はそのうち神様に頼るのではなく、あくまで自力で願いを叶えるべきだと考えるようになっていきます。
『アンテン様の腹の中』 ©夜諏河樹/集英社
一方で飯田は伊佐木の行動とは真反対に、たくさんの供物を捧げ、どこまでも文字通り”神頼み”で願いを叶え続けようとします。
少しずつアンテン様への関わり方が変わっていく二人。彼らはそれぞれ、どのような結末を迎えることとなるのでしょうか。
人の数だけ存在する対価と願いの物語――あなたがもし、アンテン様に招かれたら?
『アンテン様の腹の中』 ©夜諏河樹/集英社
本作の魅力は、やはりアンテン様に多くの人間が持ち込む「願い」とその「対価」から生まれる物語でしょう。
アンテン様のいる神社が現れるのは、場所も時代も千差万別。ですがいつ何時も、様々な人間が生きている限り。その人の数だけ、多くの願いと対価が存在しているのです。
美味しいものが食べたい。意中の人と結ばれたい。望むものを手に入れたい。自分の病気を治したい。大事な人の健康と幸せを祈りたい。
誰しもがいつだって、大なり小なり胸の内に抱えている願い事。それに見合う対価さえ差し出せばなんでも願い事を叶えてくれるアンテン様は、考えようによっては非常に魅力的な神様かもしれません。
『アンテン様の腹の中』 ©夜諏河樹/集英社
ですが人は時に、どこまでも強欲になる醜い生き物。中にはアンテン様との接し方を間違え、自業自得の運命を辿る人間も大勢います。
また一方でいつの時代も、何を犠牲にしても構わないと思う程に、どうしても叶えたい願い事を胸の内に抱える人々も大勢存在していることでしょう。
そんな人々が、アンテン様の神社に導かれた時。彼らは本当に、何を犠牲にしてでもその願いを叶えようとするのでしょうか。
さらに彼らの、その熱烈な願いを叶えるに値する想いの強い供物とは。一体、どのようなものが必要となるのでしょうか。
『アンテン様の腹の中』 ©夜諏河樹/集英社
様々な人々の願いと対価によって、アンテン様は救世主になることもあれば、地獄の果てまで追いかけ対価を払わせる脅威ともなる。
そんな表裏一体の存在である、アンテン様と多くの人々の物語となる本作。
「もし自分が、アンテン様の神社に招かれたらどうする?」
そんなことを考えながら読み進めることで、さらに作品を奥深くまで楽しめること間違いなしです。