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『生き残った6人によると』ゾンビ×アクション×恋愛が絶妙にからみあう! ありそうでなかった限定シチュエーション・パンデミックマンガ!

ゾンビものといえば逃げこむ場所はショッピングモール。ゾンビの概念がうまれた古来から続くお約束の一つです。逃げこんだ先に男女がいれば恋仲になることも珍しくありません。

しかしそんな危機的状況でどちらかというと「恋愛がメイン」になってしまうのは大変珍しいケースであり、そんな稀有な事象をあつかった作品が今作『生き残った6人によると』なのです。

生き残った6人によると 著者:山本和音

命がけの状況だから、彼女たちは恋をする

『生き残った6人によると』はいわゆるゾンビものです。冒頭、突如として発生したゾンビの群れからのがれるためショッピングモールに逃げこみます。

問題はそこからで、複数人の若い男女が集まった結果「ぶっちゃけ誰がタイプですか?」と恋バナがはじまってしまうところ。外にはゾンビが徘徊しており一歩間違えば命の危機。しかしそんな状況だからこそ恋をしたいと強く願うのもまた真実なのです。

なにごともない日常であれば、「恋をしたい」と思っていてもなかなか行動に起こせなかったり、相手がいないからと諦めてしまったりします。しかし明日の命もわからぬ状況では、今、恋をしないともう一生恋することができないかもしれない。そんな切迫感が彼女らを恋へと突き動かします。

もちろんゾンビが壁を乗りこえて侵入してきたり、必要にせまられてゾンビの徘徊する場所へ行かなければならなかったり。そのたびに大立ちまわりを演じるアクションものとしての側面も十分に兼ねそろえています。
恋愛×アクション×ゾンビという要素が、絶妙なバランス感覚によって仕立てあげられ、見どころ満載の作品になっているのです。

「生き残った6人」になれない可能性

そもそもタイトルは『生き残った6人によると』ですから、ゾンビに襲われ集まった6人の男女が、恋愛にうつつを抜かしながらも協力して状況を打破していく。当初、そんな物語なのかと想像をふくらませました。

しかし大きく予想と違っていたことがひとつ。それは新たに人が増えることがある、ということです。ショッピングモールの周りはゾンビに囲まれているとはいえ、車やバイクなど、機動力の高いものに乗ればモールを訪れることは不可能ではありません。

大事なのは「最後に生き残る人数が決められている」点です。そう、つまりモールにいる人が増えれば、必ずどこかで誰かが死ぬのです。それはこのタイトルが決まった瞬間から決定づけられた運命なのです。

さっきまで和気あいあいと恋バナをしていたキャラクターたちが、次のページでは命を落としているかもしれない。そんなメタフィクション的な緊張感が、読み手である私たちの心を支配することにより、すべてのキャラクターの言動から目が離せなくなってしまうのです。

読めば必ず誰かを応援したくなる

最低6人は必要な青春群像劇ですから、本作には沢山のキャラクターが出てきます。どのキャラクターもひとクセあり、ユーチューバーや菜食主義、登山家に会社経営者など属性も様々。選択肢が多いということは、自分と感性の近い、自分に似たキャラクターに出会う可能性も広がります。

ひとたび肩入れしたキャラクターが見つかってしまえば、あとはその人物が死なないことを全力で祈りながら物語にのめりこむだけです。彼女たちの生死をかけた恋愛サバイバルをぜひ読んでみてください!

執筆: ネゴト / たけのこ

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