【推しマンガ】『スマホを落としただけなのに』スマホを落としたことから始まる恐怖! 映画化で話題のSNSミステリー!!
スマホ(スマートフォン)は、私たち現代人の生活に欠かせない存在です。総人口を上回る数のスマホが、日本に存在すると言われています。
個人が、複数のスマホやSNSアカウントを持つことも、今では珍しくありません。しかし、その匿名性を悪用した事件の増加が大きな問題となっています。
インターネットを介した「サイバー犯罪」は、誰もが被害者となり得ると言っても過言ではありません。嶋田ひろあきの『スマホを落としただけなのに』は、志駕 晃による人気小説をコミカライズした作品です。すべては、スマホを落としたことから始まりました。衝撃のSNSミステリーを紹介しましょう。
映画『スマホを落としただけなのに~最終章~ファイナル ハッキング ゲーム』
11月1日より全国劇場で公開。
マンガ化されたことで恐怖倍増!
世界中の誰よりも、あなたのことを知っている存在――それはスマホです。その中には、持ち主のプライバシーに関わるデータが満載。家族や恋人、友人、会社にも言えない秘密も、隠されているかもしれません。
志駕 晃『スマホを落としただけなのに』は、2017年に宝島社より発売されたミステリー小説。現代の日常生活に潜む恐怖を描き、第15回「このミステリーがすごい!」(宝島社)大賞の「隠し玉」として選出されています。「隠し玉」とは、大賞・優秀賞には及ばなかったものの、同社の期待作として出版されている人気シリーズです。
本作の大ヒットにより、第2弾『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』、第3弾『スマホを落としただけなのに 戦慄するメガロポリス』、第4弾『スマホを落としただけなのに 連続殺人鬼の誕生』が刊行。シリーズを重ねて累計100万部を突破しています。さらに人気俳優による映画化など、メディア・ミックスも大成功。今回紹介するのは、嶋田ひろあきによるコミカライズ版です。
1巻P003 ©嶋田ひろあき・志駕晃/LINE Digital Frontier
とあるインターネットカフェで、一人の男が悪夢にさいなまれていました。それは、少年時代の悲しい記憶。少年は流血しながら、「ママ…」「ごめんなさい」と謝ります。しかし母親はその言葉を聞き入れず、少年に詰め寄るのです。「あんたなんか…」「産まれてこなければよかったのに…」と――。
「なんで 生きてるのよ?」。あまりに残酷な母の言葉に、少年の心はもろくも砕け散りました。そこにスマホの呼び出し音が鳴ったことで、男は夢から解放されます。
マンガ版の冒頭シーンですが、男の目線で少年時代が回想されることで、読者の強い関心を引いています。墨ベタを多用した陰影の強い画面。衝撃的なビジュアル表現が加わったことで、少年が感じた恐怖を倍増させているのです。
長く美しい黒髪への執着心
スマホの着信音で目を覚ました男。しかし、このスマホは彼の物ではありません。持ち主は富田 誠という会社員ですが、泥酔してスマホを紛失。男は、それを拾ったというわけです。
スマホに掛かってきた電話を掛けたのは、稲葉麻美(あさみ)という30歳の女性会社員。富田の恋人でした。
スマホの待ち受け画面には、富田と麻美のツーショットが表示されていました。麻美の美しい黒髪を見た男は、彼女に異常なまでの執着を抱きます。「今までの女性のなかでも…」「比べものにならないほど“美しい黒髪”をしている…」。アパートに帰った男は、部屋の壁一面に貼られた女性の写真と見比べます。全員が美しい黒髪の持ち主でしたが、誰も麻美の髪の美しさには敵わないと言うのです。
1巻P016_017 ©嶋田ひろあき・志駕晃/LINE Digital Frontier
男はスマホに設定された4桁のパスコードを推測して入力。セキュリティロックを解除しようと試みます。富田 誠がスマホに保存している、稲葉麻美のデータすべてを暴こうというのです。
「1111」「1234」――。“同じ数字”や“連続する数字”はパスコードとして多用される要素ですが、いずれもスマホのロックを解除できませんでした。次によく使われるのが、スマホの持ち主や身近な人間の“誕生日”です。
男はSNSの「FaceyBook(フェイシーブック)」で、“稲葉麻美”のアカウント発見。しかし彼女の誕生日をはじめ、個人情報のほとんどが非表示にされていました。どうやら麻美は、警戒心が強い女性のようです。しかし恋人の富田は、バカがつくほどスキだらけ。男がFaceyBookで富田の誕生日を確認すると、スマホのパスコードと合致しました。
人生の落とし穴は、身近なところにある
富田 誠のスマホの中には、男が想像していた以上の“お宝”が眠っていました。彼と稲葉麻美が通信アプリ「LIME(ライム)」で交わしたやり取り、さらにスマホに保存された写真の位置情報から、麻美が東急東横線の祐天寺駅付近に住んでいることが分かったのです。
男は“スマホの返還”を口実に、麻美を自由が丘駅前のカフェに呼び出すことに成功。しかし、こんな“お宝”をただで返すわけがありません。
男の正体は悪質なハッカー。一般に「ハッカー」とは、コンピュータやネットワークの高度な知識を用いて、課題をクリアする技術者のことを言います。しかし富田のスマホを拾った男は、その技術を悪用するネットワーク犯罪者だったのです。
1巻P028_029 ©嶋田ひろあき・志駕晃/LINE Digital Frontier
スマホの返還に備えて、男は“スマホ解析ソフト”を使ってデータをバックアップ(コピー)していました。その中身は、稲葉麻美の写真や個人情報など。さらに富田 誠が酒に酔った勢いで撮影した、麻美のヌード写真も含まれていたのです。
同じ頃、神奈川県の丹沢山地で女性の死体が相次いで発見されます。無残にも、下腹部を滅多刺しにされた被害者たち。いずれの死体も全裸のまま埋められており、遺留品はほとんど残されていませんでした。
さらに被害者に共通するのは“長くて綺麗な黒髪”の持ち主ということ。富田と麻美は、まだ知りません。次なるターゲットとして、麻美が狙われているということを――。富田は、もともとセキュリティ観念の甘い男。何者かに、インターネット上で“なりすまし”をされたことで、じわじわと追い詰められていきます。
スマホを落としただけなのに
スマホやSNSは便利ではありますが、所有者のプライベートそのものと言っても過言ではありません。その履歴には、ユーザーがこれまでに歩んできた“足跡”が残されているのです。
物語の進行とともに、連続殺人犯が“長くて綺麗な黒髪”に執着する理由、さらに麻美の“過去の秘密”が暴かれていきます。
複雑に絡み合った事件の真相は、どこにあるのでしょうか。「スマホを落としただけなのに」は、現代におけるネット社会の闇を暴く人気シリーズ。2024年11月1日には、映画版第3弾の『スマホを落としただけなのに~最終章~ファイナル ハッキング ゲーム』が公開される予定です。ぜひ、マンガ版とともにお楽しみください。
執筆:メモリーバンク / 柿原麻美 *文中一部敬称略
映画『スマホを落としただけなのに~最終章~ファイナル ハッキング ゲーム』
11月1日より全国劇場で公開。