『マザーパラサイト』壊れる母・洗脳する息子 超サイコな母親探しの不気味さから目が離せない
お母さんを洗脳しよう。
そんなセンセーショナルなキャッチコピーに釘づけになる、『マザーパラサイト』をご存知でしょうか。
各電子書店ランキングを席巻するなど、中毒者続出の話題作です。インパクト大の表紙は、ひと目見ただけで脳裏に焼きついて離れません。
異質なファミリーヒストリー『マザーパラサイト』の魅力をご紹介します。
優等生が見せる裏の顔『マザーパラサイト』あらすじ
中学生の三木涼太は学級委員もこなす優等生。
礼儀正しく、ユーモアを持ち合わせた人気者です。
家では、明るい母と幸せな二人暮らし…と理想の息子を具現化したような存在ですが、涼太の母は息子の関心を失うことに異様なほど怯えていたのです。
クラスメイトの笠井薫と親しくなった涼太は、ある日薫の母親と急接近します。
心配性で完璧主義な薫の母が見せる母性に強く惹かれる涼太。
薫の母の心を掌握した涼太は、徐々に笠井家の日常を侵食していきます。
「お母さん取り替えちゃえばいいのに…!」
涼太の衝撃的な発言の意味が徐々に解明されていく、戦慄のサイコスリラーです。
気持ち悪いのに見ちゃう…忘れられない気味悪さ
『マザーパラサイト』の魅力は、なんといっても一度読んだら忘れられない薄気味悪さ。
母親を取り替えるため、涼太が嬉々としておこなう異常行動の数々はストーリーを重ねるごとにエスカレートしていきます。
その原動力とも言えるすさまじい母性への執着に、思わず嫌悪感を抱いてしまうほど…。
『マザーパラサイト』©佐藤洋寿/コアミックス
1巻、第5話より
それなのに、怖いもの見たさでページをめくる手が止まらない。
サイコな演出も、その恐怖に拍車をかけます。
『マザーパラサイト』©佐藤洋寿/コアミックス
1巻、第4話より
気づけば、物語に漂う得体の知れない不気味さから目が離せなくなっているんです。
「お母さん」たちが壊れていく
『マザーパラサイト』の母親たちは、子供をもてないことへの劣等感、完璧な母親であり続けたい焦燥感など、埋められない穴を抱えています。
身につまされるものが多く、我が身を振り返ってしまうことも…。
涼太は、弱みにつけいりながらばっさばっさとターゲットの心を開拓し、ときに踏みにじっていきます。
『マザーパラサイト』©佐藤洋寿/コアミックス
2巻、第7話より
母親たちの心を弄び狂わせていく様は、まさに洗脳。
そして、コンプレックスを刺激されたお母さんたちはいともたやすくコントロールされてしまうのです。
『マザーパラサイト』©佐藤洋寿/コアミックス
1巻、第3話より
やがて彼女たちは、「自分こそ涼太の母親にふさわしい」と他の母親へ敵対心をあらわにしていきます。
涼太から与えられた「完璧なお母さん」という称号に溺れ、暴走する薫の母。
疑心暗鬼で疲弊した涼太の母。涼太に陶酔する2人の母が出会う時、事態が穏便にすむはずもなく…。
涼太に狂わされていく女性たちの悲惨な末路にもご注目ください。
満たされない心の行方は
寄生主を変えるほど大きさを増していく涼太の母性への渇望。彼の膨れあがる欲望を受けとめられる「本当のお母さん」は現れるのでしょうか。
盛り上がりが止まらない『マザーパラサイト』。ぜひこの気味悪さに取り憑かれてみてください。