『NOBELU-演-』熾烈で過酷な子役の世界で生き残れ! 常人離れした演技力を持つ少年・ノベルの秘密は〇〇!?
「週刊少年サンデー」で2013年〜2014年に連載されていた『NOBELU-演-』。原作:野島伸司先生、作画:吉田譲先生両名による本作は、過酷な芸能界の中でも子役の世界で生き残ろうとする主人公・ノベルの活躍を描くサイコサスペンスです。
不遇な境遇の中で子役としての才を発揮していく少年・ノベル。しかし彼のその秘密は、あまりにも苛烈な家庭環境によって生まれた彼自身の「歪み」に由来する才能でした。子どもたちの才能を酷使する世界の中で、ノベルは一体どのような道を歩んでいくのでしょうか?
天才子役の才能の秘密は〇〇!? 『NOBELU-演-』のあらすじ
本作の主人公である波田ノベルは、離婚した母親と共に暮らす小学生の男の子です。しかし彼を連れて離婚した母はひどい浪費癖のある女性で、自らの金策のために、空前の子役ブームが席巻する中彼を芸能界入りさせようと画策するような酷い大人でした。
母に連れられるがまま、芸能界で子役として活躍するための養成所に入れられたノベル。そこで彼はその養成所のトップの子役の一人であるミコと出会います。“国民の一人娘”とも呼ばれるほど人気の子役として有名な彼女は、初めて相対したノベルに一言「君、カってるね」と意味深な言葉を残し、その場を去りました。
子どもたちを家に置き去りにし、毎夜あちこちを出歩く母にネグレクトを受けながら。それでもなんとか学校には通っていたものの、そこでもクラスメイトからいじめを受けるノベル。あまりにも過酷なその環境のなかで過ごすうちに、ノベルにはある変化が起き始めます。
彼の中に起きた変化。それは本来の彼自身とは大きく異なる別の人格が、ノベルの中に生まれたことでした。気弱で優しい本来のノベルとは掛け離れた、いわゆる多重人格である新しい人格のノベル。その新たな人格が持つ類い稀なる演技の才能によって、ノベルの子役としての人生は大きく変わり始めるのです。
豪華原作&実力派原画のタッグ! タッチにぴったりの世界観&キャラも魅力
天才子役×サスペンス、という一見真反対のようにも見える要素が絡み合った、独特の雰囲気を纏うこの作品。連載当時何よりも話題になったポイントは、これまでに数々の人気ドラマの脚本を手がけた野島伸司先生による原作という点でした。
また多重人格を持つ子どもたちによる、子役の世界の過酷すぎる世界を最後までサイコサスペンスな物語として描いた本作。緊迫感のある吉田譲先生のタッチが、その世界観の魅力をより引き出したのも大きなポイントですね。
そして主人公のノベルを始めとした、多彩な子役キャラの活躍も物語には欠かせません。彼が多重人格を「飼ってる」ことに気づいた第一人者であるミコや、子役仲間として少しずつ絆を作っていくトーリ、タケル、ナツコ。さらに当初は彼をいじめていたヒバリ、健太とも、過酷な子役の世界での出来事を通して少しずつ関係性が変化していきます。
自分たちが注目を浴びることができるのは、子役である今のうちだけかもしれない。それでもそれぞれの子どもたちが、それぞれの抱える理由のために。子役=子焼くの世界で生き残ろうと奮闘するヒューマンドラマも、注目していきたいところです。
物語が終わっても作品の魅力は色褪せない!
連載から数年以上経った今なお、根強い人気を誇る『NOBERU -演-』この機会にぜひ、個性的かつインパクト大な本作の世界を覗いてみて頂ければと思います!
執筆:ネゴト /曽我美なつめ