国際情勢っておもしろっ!『紛争でしたら八田まで』チセイとプロレス技を武器に世界の紛争を解決
田素弘先生の『紛争でしたら八田まで』は、地政学リスクコンサルタントの八田百合が、地政学と類まれな知性を駆使して民族や個人間の分断を解決する物語です。
©田素弘/講談社
八田は、1週間あれば現地の言葉と地元の知識を全てマスターしてしまうほどのチセイとプロレス技の使い手で、自らのことを「世界を回る解決屋さん」と呼びます。
1巻 /第2話より ©田素弘/講談社
ブレグジットのアイルランドへの影響や、多民族国家の抱える問題。さらに現地のスラングや食など、国際情勢や世界の文化を分かりやすく学ぶことができるのも、本作の魅力です。
地政学と持ち前の知性が武器
ミャンマーの日本企業からの依頼で現地に向かった八田は、工場の前で座り込みを続けるデモ隊に出会います。このデモの裏には、ミャンマーのシャン族とカレン族の部族間対立がありました。
民族問題に疎い日本人社長は、どちらも同じミャンマー人なのだから、仲良くできるはずだと考えましたが、これは「国同士の外交問題」と同じなのだと八田に諭されます。
1巻 /第3話より ©田素弘/講談社
デモの裏に民族問題、そしてミャンマー民主化の政治的背景があることを見抜いた八田は、シャン族とカレン族、そして日本企業にとって最良と言える選択を提案します。
「後は八田のチセイにおまかせを」
地政学ってなぁに?
八田のチセイの源でもある地政学とは「地球全体をマクロな視点でとらえ、半永久的に変化しない地理的条件に注目して、世界各国の意思決定や行動・関係性を分析する学問」です。
周りが海に囲まれている国なのか、大陸の真ん中にあるのか、大国に囲まれているのか。国家戦略は、地理的要因に影響を受けます。
1巻 /第2話より ©田素弘/講談社
『紛争でしたら八田まで』を読んでからニュースを見ると、政治や経済、国際情勢などが興味深く思えてきます。たとえばイギリスがEUを離脱した「ブレグジット」。それによって周辺諸国には、どんな影響があったのでしょうか。
1巻 /第2話より ©田素弘/講談社
登場人物たちのリアルな感情のぶつかり合いを通して、国家の方針や各国の経済事情が、いかに日常と密接に関わり合っているかを体感できるのです。
各国の文化にも詳しくなる!
本書の魅力の一つは、八田の現地グルメレポートです。ミャンマーではコオロギや竹蟲、カエルの干物炒めをおいしくいただいた八田。八田の食通のような味の感想も必読です。
1巻 /第2話より ©田素弘/講談社
「ナマズの独特な風味と香草のハーモニーたるや…」
どんな食べ物でも大喜びでがっつく八田ですが、食べる時に添えられた擬音語も、どぅるるるだったりメキメキだったりと豪快なので、合わせてチェックして読んでみてください!
1巻 /第3話より ©田素弘/講談社
さらに本書では、さまざまなスラングも登場します。
epic(すげえ)
Good day to die(死ぬにはいい日だ)
leap of faith(思い切った決断)
言語や食、その地域の習慣など、世界が好きになるたくさんの表現が散りばめられています。本作を読んでいると、一気に世界が身近に感じられるようです。
世界ってこんなに素晴らしい!
本書を通じて、これまでは知らなかったいろんな国の文化を知ることができます。八田と一緒に旅をしているような気分が味わえる『紛争でしたら八田まで』。あなたもぜひ読んでみてください!
1巻 /第3話より ©田素弘/講談社