『20時過ぎの報告会』アラサー女性の“女子会”覗いてみる?赤裸々トークから人生の話まで…大人ならではの距離感がリアル&心地いい
今日仕事であった嫌な事。最近なんだか気になるあの人の事。そこまで大した事じゃないけど、少しモヤモヤした恋人との事。そんな話題を「ねえちょっと聞いてよ~」と気軽に連絡し合える友達との時間って、後から思うと意外と充実したいい時間だった、なんて思ったりもしますよね。
『20時過ぎの報告会』©Yachinatsu 1巻より
ヤチナツ先生の「20時過ぎの報告会」は、そんな大人の女性たちの悲喜こもごもな報告会エピソードを描いたオムニバス集。時に生々しささえ感じる彼女たちの話題は、働く妙齢女子にとってきっとどこか他人事ではいられない話ばかりです。
読んでいる私たちも、いつのまにか話を聞いている一員になっているような。そんなリアリティを感じさせる報告会の様子を、あなたも一度覗いてみませんか?
言いたいこともあるし聞きたいことだってある
平日の仕事終わり20時過ぎ。カフェで、居酒屋で、あるいはお家にてリモートで。日々いろんな小さな出来事に見舞われる、アラサー女子たちの報告会が不定期に開催されます。同じ会社に勤めるこはる、りさこ、そしてきみ。ひょんなことから同僚として仲良くなった3人ですが、それぞれ趣味嗜好、価値観もバラバラです。
『20時過ぎの報告会』©Yachinatsu 1巻より
好き嫌いが顔に出やすく人見知りなものの、大事な人に対してはとても朗らかなこはる。
柔和な見た目とお人好しな性格で損しやすく、スピリチュアルな一面も持つりさこ。
人付き合いも良くフットワークも軽い一方で、どこか冷静な視点も持ち合わせるきみ。
三者三様の面々ですが、彼女たちの場合、むしろその価値観の違いが心地いい時間を創り出しているのでしょう。
マッチングアプリでの乗り気がしないデート、仕事案件や知人の飲み会で出会った人、つい大人の一線を越えてしまった相手。報告会ではそれぞれの身の周りであった出来事について、ほどよい温度感で相槌を打ちつつ、時には歯に衣着せず、絶妙なやりとりを繰り広げます。
『20時過ぎの報告会』©Yachinatsu 1巻より
過剰な反応はないけれど、友人として寄り添うべき場所には寄り添う。そんな”大人の距離感”だからこそ話せる話や、成立する空気感がこのアラサー女性の報告会にはあるのです。
仕事でもプライベートでもアラサー世代の女性は、なにかと様々な環境の変化に取り巻かれる時期。些細な、それでも確かな事件ともなる毎日の出来事。良いも悪いも多種多様なネタを各々持ち寄って、今日も彼女たちは報告会を楽しむのでした。
赤裸々なネタから人生の話まで…臨場感満載の女子トークをのぞき見!
『20時過ぎの報告会』©Yachinatsu 1巻より
本作のもっとも大きな魅力は、まさにこのアラサー世代の女性間で実際に繰り広げられる女子会的ムードが、とても臨場感のあるリアルな表現で描かれている点! 恋をしたり、仕事をしたり。30年近く女として生きてくると、知らず知らずのうちに人生の様々な面においていろんな経験が積まれてくるものです。
人によってその種類は異なるかもしれませんが、ある程度積まれた経験がある点においては皆同じ。それをひけらかすことなく、過剰に反応することもなく。時に淡々と、それでも確かに互いを尊重する姿勢が、彼女たちの報告会に漂う心地いいムードの理由なのかもしれません。
『20時過ぎの報告会』©Yachinatsu 1巻より
彼女たちの話の中には、さらっとした話のようでいて時折生々しい話題が挟まることも。ですが読者であるアラサー女性の中には「あるある!」「この感じものすごくわかる〜」と思う人もきっといるはず。
人は人、自分は自分。そんな距離感の一方で、うっすら互いに感じる女という生き物の共通認識。近くはないけれど遠くもない。その絶妙な空気感は刺激的で熱狂的なものではないかもしれませんが、終わってみると充実感のある時間を過ごした余韻を生むものです。
『20時過ぎの報告会』©Yachinatsu 1巻より
彼女たちのように報告会をし合える友人がいる人も、もうしばらくそんな会話をしていないな〜、という人も。大人の女性ならではの“女子会”の空気感を疑似体験して「こんな時間も悪くないな」と思える、そんなマンガとなっていますよ。