自称猫の美形イケメン爆誕『くさっても猫なので』猫にもわかるように言うと…最高に笑える漫画です
数々の動物をおさえ、「好きな動物ランキング」では毎回上位に名を連ねる猫。ちょっとお高くとまった冷たいイメージがありますが、猫好きからするとそれがたまらなく愛おしいのです。自由気ままな態度も猫だから許せますが、それが人間になり変わるとどうでしょう。トイレットペーパーを散らかしたりパソコンに上に乗っかったり…想像しただけでもたまったもんじゃありません。
今回紹介する『くさっても猫なので』では、身体は人間の大人、人間歴はほぼ0歳の言うなれば”人の姿をしたただの猫”が登場します。お察しの通り、彼との生活は結構大変みたいです。

自称猫のイケメンが、全裸で我が家を訪ねてくる
物語は、小説家・郷原陸郎の家に美形の青年が訪ねてくるところから始まります。
この美青年、自らを猫と名乗り、さらには全裸なので初見からインパクト大。そして何の用事かというと、「恩返しをしにきた」とのこと。確かに陸郎には酔っ払った帰り道にお土産のつくねを落としてしまい、そのまま目の前にいた野良猫にあげた記憶がありました。
美青年は"あのときの猫"で、陸郎に恩義を感じてはるばる役に立ちにきたというのです。

『くさっても猫なので』©関口かんこ/講談社 第1巻より
にわかに信じがたい陸郎でしたが、制御はできないもののまるで狙っていたかのように猫に変身する彼を見て、美青年=猫と受け入れることに。

『くさっても猫なので』©関口かんこ/講談社 第1巻より
彼に服を与え、フジマルという名をつけ、成り行きで同居生活するところまで話が進んでいきます。
ところで陸郎はここから人生最大のモテ期に突入するのですが、フジマルの手を借り順風満帆な日々を送っていく…とはならず。忘れてはいけません、恩返しをしたいと言っているフジマルは人の姿をしたただの猫なのです。
猫にもわかるように言うのって大事
身体は人間でも中身が猫のフジマルは、人間特有のオブラートに包んだ物言いや遠回しの言い方では理解ができません。意味が分からないときに決まって言うのが、「猫にわかるように言って」。
猫にわかるようにって難しくない?と考えてしまいましたが、陸郎の手にかかるとさすが小説家!と言いたくなるほど綺麗に翻訳してくれます。

『くさっても猫なので』©関口かんこ/講談社 第1巻より
人間の世界では、言葉の裏の意味まで察して読み取らなければならない時があります。しかし、猫にはそういった習慣はなく、おそらく聞いたままの言葉で理解するのでしょう。
たとえば、フジマルがねずみ講の勧誘を受け、保護者である陸郎の職業を聞かれたとき。陸郎が「小説家なんてヤクザな仕事ですからねぇ」と言っていたのを思い出します。
これはもちろん小説家=ヤクザという意味ではなく、人気によって左右される安定しない商売という意味。でも、そのことを知らないフジマルは、そのまま「陸郎はヤクザ」と直訳してしまうのです。

『くさっても猫なので』©関口かんこ/講談社 第1巻より
素直すぎるフジマルが巻き起こす、勘違いが勘違いを生むカオスな展開…。このユーモラスな誤解には思わず顔が二ヤけてしまいます。
人間の姿でやる”ネコだからこその生態”が癖になる
陸郎と同居中のフジマル。思う存分”猫っぽい”ことをしてきます。猫の姿があまり見えないにもかかわらず猫漫画的要素を強く感じるのは、猫の生態が解像度高く描かれているからなのです。

『くさっても猫なので』©関口かんこ/講談社 第1巻より
やたらと上に乗っかったり、狭いところに入ったり。間髪なしに「これは猫あるある!」と唸る要素がたくさん出てきます。

『くさっても猫なので』©関口かんこ/講談社 第1巻より
個人的にはカーテンと格闘したり、セミをプレゼントして陸郎を困らすフジマルを見てみたいです。
猫の生態には、縄張りをつくったりネズミを捕えたりなど様々なものがあり、そのひとつひとつに理由があるそう。こういった猫ならではの生態が人間の行動にうまく落とし込まれているところに面白さがあります。
フジマルの本分は恩返し。困ったときや忙しいときは猫の手も借りたいなんていいますが、フジマルに手を借りたいかどうかは考えものです。いや、逆に借りたいかも。