あなたの推しもこんなかも?アイドルのシビアな舞台裏マンガ特集
あなたに「推し」はいますか? 「推し活」をしている人ならちょっぴり怖いけれど知りたいアイドルの素顔と舞台裏。切磋琢磨するシビアな芸能界でアイドルたちは何を思い、考えている? そして、彼らを支える裏方たちのことももっと知ることができるマンガを集めました!
タイトルからしてズバリ!『15分の少女たち ―アイドルのつくりかた―』
まずはそのものズバリ、アイドルができるまでの舞台裏を事務所目線で描く
『15分の少女たち ―アイドルのつくりかた―』です。
主人公はアイドル事務所の新人社員・小林竜馬。アイドルの卵・アイカを見守りつつ、これまで数々の大人気グループを作り上げてきた雨宮P(プロデューサー)から「アイドルの作り方」を学びます。
小林が、ファン目線でアイドルの体調やメンタルを気にかけている一方で、雨宮Pは冷酷ながらも彼女たちがアイドルの仕事に耐えられる心身を持っているのかを試していきます。彼女たちの覚悟を測るため、こんな質問を投げかけることも。
『15分の少女たち ―アイドルのつくりかた―』©️かっぴー・戸井理恵 / 小学館 2巻11話より
雨宮Pは、彼女たちを「商品」として扱うと言います。一見ひどいように思えますが、これは、アイドルを壊さないようにしつつも、魅力を限界まで引き出して成功に導く方法なのです。
芸能界の「演出」と「忖度」をアイドル目線で見る『【推しの子】』
続いては、生まれ変わったら「推し」の子どもに転生したという超展開から、アイドル目線で芸能界の実情を見せるのがアニメ化でも話題になった『【推しの子】』です。
人気アイドル「B 小町」アイの子ども・アクアとルビー。アクアは、アイのファンで産婦人科医のゴロー、ルビーは同じくアイのファンの病弱な少女・さりながそれぞれ転生した姿でした。二人はアイを殺した犯人を見つけるため、自ら芸能界に入り込みます。そこで知るのは、芸能界の「演出」と「忖度」。視聴者がドキドキしながら見る恋愛リアリティショーだって、その種はハプニングじゃなく、仕込まれているもの。
『【推しの子】』©️赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社 3巻21話より
がっかりした? というアイドルの声が聞こえてきそうですが、アイはファンを嘘でも本気で愛したのです。アイから受け継いだ「スター」が輝く瞳を持つアクアとルビー。二人は「演出」と「忖度」をどう使いこなして、自分らしいアイドルになっていくのでしょうか。
過酷なのは「推し」だけじゃない。「推す側」だってギリギリ限界『推しが辞めた』
アイドル側だけでなく、ファン=「推す側」だって命がけ。推し活に人生の全てを捧げるオタク女子たちの転落を描くのが、『推しが辞めた』です。
大好きな推しのためなら、風俗やパパ活で好きでもないオヤジの相手もできるし、法的にグレーな転売だってしちゃう...! 文字通り、体を張って「推す」彼女たちは依存症姿にちょっとひいてしまうかもしれないけれど、それくらいやってでも推しを支えたいというメンタリティには共感。
『推しが辞めた』©️オガワサラ/講談社 1巻1話より
お金を湯水のようにつぎ込むのは「推し」に認知されたいから。「推し活」の根底にあるこんなエグい承認欲求をしっかり描いています。自分の人生<推しになった女子たちの末路を見るのは怖いけれど、本人たちはどんな結末になっても幸せなのかも。
アイドルを辞めた「元アイドル」はどう生きていく?『つんドル!~人生に詰んだ元アイドルの事情~』
アイドルはアイドルを辞めた後、どう生きるのでしょうか。続いては、元SDN48のメンバーで、今ではライターとして活躍する大木亜希子さんが書いた自叙伝が原作の『つんドル!~人生に詰んだ元アイドルの事情~』です。
アイドルだった経歴を武器にする一方で、その経歴で相手から軽く見られるのはなんかイヤだと感じる大木さん。無意識のうちに自分が「若いほど価値がある」というアイドルの世界にすっかり染まっていたことを自覚するのです。
『つんドル!~人生に詰んだ元アイドルの事情~』©️飯田ヨネ・大木亜希子/祥伝社 1巻4話より
「若くないと、選ばれないと価値がない」というアイドル的価値観に囚われていた彼女がそこからどうやって抜け出すのか。そのきっかけは、赤の他人のおじさん・ササポンとの同居生活なのでした。アイドル=偶像から、一人の自立した人間になっていく大木さんの姿は、萎れかけた花が水を吸ってみるみるうちに元気になっていくようなのです。
SNSの情報戦でしたたかに勝ち抜くアイドルの卵『私のアリカ』
最後は、人気グループの新規メンバーの座をかけて、アイドルの卵たちがSNSの情報戦で戦う『私のアリカ』です。
主人公の宮嶋ナナは、失踪したアイドルの真相を探るため、新規メンバーのオーディションに参加します。でも彼女は「ありのまま」の自分で勝負してしまいます。アイドルの世界ではそんなのはありえません。事務所やファンに対する印象をうまく操れるかどうかが、アイドルになるには必要なのです。
オーディションまでの日々をSNSで報告するアイドルの卵たちの中には、自作自演のお涙ちょうだい同情ストーリーをでっちあげることも厭わない野心満々の女子がいます。
『私のアリカ』©️藤沢もやし・隅屑。/講談社 1巻3話より
もはやこれはフェイクニュース。でも本人の口から聞くと信じてしまいますよね。彼女はライバルであるナナの悪い噂をファンに拡散させて、妨害行為をさせます。こんな策士がいるというのに、「ありのまま」なナナはオーディションを勝ち抜けるのか、というところが見どころです。
なんと今回ご紹介した作品の多くが、謎の真相をつき止めようとするサスペンスでした。これはきっと、アイドルという存在が全てを見せてくれないミステリアスな存在だからこそなのかも。そろそろ彼女たちの謎を、知りたくなってきましたか?