結婚の先に何がある?甘々×ビターなオトナの恋愛白書『恋人は旦那さま ―Dear you これからも―』
相手の事を考えすぎて空回り、ちょっとしたトラブルで、気持ちが落ち込んだり、思いが行き違って辛くなったり…。
ココロの天気予報がくるくる変わって予測不可能。そんな王道な展開が目白押し!
少女漫画らしいラブラブでお互いの気持ちが通じ合った"素敵な"結婚生活をテーマにした『恋人は旦那さま ―Dear you これからも―』は、砂糖菓子のようにどこを噛んでも甘いかと思いきや、間にちょっとビターなカカオ60%が潜んでいる、結婚後のカップルを描いています。


2人の恋愛ベタが勢いとノリで選んだ結婚のその先に
イケメンだけどワーカーホリックでオタクな幸介と、家庭的だけど同僚とうまく人間関係が築けずドロップアウト。自分に自信を持てない結。
2人はお見合いで結婚しました。しかもどちらかと言えば、勢いとノリと成り行きで。

『恋人は旦那さま』©山田こもも/小学館 3巻 13話
そんな2人の入籍してからのその後をゆったりと描く『恋人は旦那さま』は、2人の結婚式までのアレコレ、幸介の淡白な同僚との付き合い方が変化していく様子や、親との同居、結の双子の兄姉の恋愛事情などなど、強力で超個性的な外野に揉まれながら、物語が進んでいきます。
恋人のような、夫婦のようなどちらとも言えない関係を経て、家族になっていく2人が、2人から3人になるまでが無印版『恋人は旦那さま』です。

『恋人は旦那さま』©山田こもも/小学館 5巻 22話
家族と過ごす時間は長いからこそ、「信頼」という直ぐには築けないものが大事になる
『恋人は旦那さま』のその後を描く『恋人は旦那さま ―Dear you これからも―』は無印版の甘さと、ちょっとビターなトラブルも健在です。幸介も立派な(?)40代になって、生まれたばかりの宝ちゃんを夫婦2人で育てています。
子どものいない夫婦は独身カップルとそんなに変わりませんが、家族が増えた途端、夫婦関係も一気にチーム感が出てきますよね。

『恋人は旦那さま ―Dear you これからも―』
©山田こもも/小学館 1巻 2話
小さい嘘や、隠し事は多少必要かもしれませんが、チームとして家庭を維持するためには、バレたらあとが大変!みたいな隠し事や嘘はそれこそ墓まで持って行って欲しいものです。
結婚という形がないことで、守れる責任とプライド
シングルマザーを選んだ結の双子の姉は、父親の家族に大歓迎されて、同居を迫られます。
仕事があり、生活がある。親元もとうに離れて、自分で何でも決めてきた大人が選んだ人生は、子どもがいて、子ども中心の生活になったとしても、全ては変えられないのではないでしょうか。

『恋人は旦那さま ―Dear you これからも―』
©山田こもも/小学館 2巻 6話
結婚や家族という枠は、同じ言葉を発したとしても、人それぞれが描くイメージに差があるのはもちろん、その言葉を聞いて感じるポジディブ、ネガティブな自身の思い込みに惑わされている人も多いのではないでしょうか?
それは、例え同じ場所で暮らしてきた家族であったとしても、全く同じ考えとは限らない。そんな"違い"を理解や許容で埋められないまま一緒にいるのは、自分で決めてきたことが多い人ほど、窮屈に感じてしまうかもしれません。
まだまだ続くよ結婚のそれから
ラブラブで幸せな2人の周りに拡がる様々な家族のカタチ。甘い生活の中に家族だから向き合わなきゃいけない、深い沼も見え隠れしています。いいことばかりじゃないけど、どちらかといえばちょっと幸せ!そんなもんでしょ結婚って!
執筆: ネゴト / そふえ