『すんで、みつけて、きらめいて』友情から芽を出した恋が空白の時を動かし始める
「友達以上、恋人未満」。はっきりと定まっていない関係性をこんなふうに言ったりしますよね。友情と恋する気持ちのあやふやさに、ドキドキすることもあるかもしれません。友情なのか恋なのか。『すんで、みつけて、きらめいて』は、このふたつの感情が深く繋がり合った恋のお話です。
『すんで、みつけて、きらめいて』 ©青梅あお/リイド社
大人になるってむずかしい
クラスの席替えで隣同士になった男子高校生の早川央良(あきら)と久野澄哉(すみか)。ふたりは幼なじみで親友でした。付き合いの長いはずの彼らは、なんだかぎこちない雰囲気...。実は、小学生の時に些細なことでケンカをして以来、ずっと距離ができてしまっていたのです。
『すんで、みつけて、きらめいて』 ©青梅あお/リイド社
この席替えがきっかけとなり関わる機会が少しずつ増えたふたり。けれど、あきはケンカをした時のことが引っかかっていて、なかなかすみに素直になれません。一方ですみは、気にした様子もなく、あきに接する姿はごく自然体。
ちょっぴり大人になった彼らの、小学生の時とは少し違う関係性にもどかしくて歯がゆくて...。そんなふたりの不器用なやりとりに自然と引き込まれてしまうはずです。
恋も友情も。どちらも育まれてきたからこそ
物語が進むにつれて、ふたりの関係性にも進展が。かつて友情だったはずの気持ちが恋へと深まります。身体的変化や精神的な成長も相まって、より鮮やかに伝わるふたりの大人びた感情。
『すんで、みつけて、きらめいて』 ©青梅あお/リイド社
実はそんな彼らの”再縁”は、まだ小さな親友同士だったときの出来事が後押ししてくれていたことが作中で明らかになります。
『すんで、みつけて、きらめいて』 ©青梅あお/リイド社
友情と恋。ふたりの繋がりはそのふたつがはっきり区切られているものではありません。恋へと色づける彼らの友情という素地。恋する気持ちが芽生えてもなお、親友という繋がりは存在し続けているのです。そんな幼くて甘い絆と共に描かれることで、より一層ふたりの姿がエモーショナルに伝わってきます。
現実的な要素がふたりの恋を色づける
彼らの恋愛成就を願ってやまない一方で、ふたりが抱えているもう一つの課題。大学受験です。この恋物語と共に、彼らは自分の進路とも向き合わなければならないのです。
『すんで、みつけて、きらめいて』 ©青梅あお/リイド社
季節は巡り、いつの間にか制服も冬服に。彼らはふたりで春を迎えられるでしょうか...。こんな風にして、ごく現実的な問題と共に描かれる恋だからこそ、より深く強く、彼らふたりに想いを馳せてしまうでしょう。
『すんで、みつけて、きらめいて』 ©青梅あお/リイド社
友情の延長線上に生まれた彼らだけの愛のカタチ。何か特別なことをするわけではないけれど、ふたりの何年もの関係性が垣間見えることでドラマを感じるはずです。親友だった頃を境に、白紙のままだったふたりのアルバム。彼ららしく彩る様子を見届けてみてください。