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『違国日記』15歳だったあなたの孤独に、痛みに、怒りに、そっと寄り添う物語

15歳。無防備で、しなやかで、繊細で。まだまだ守られるべき存在でありながら、心も身体も大きく変化していく思春期真っ盛り。

そんな15歳のとき、あなたはなにを求め、なにを思い、なにを感じていましたか?

ヤマシタトモコ先生が描く『違国日記』は15歳の冬に突然両親を亡くした女の子・朝(あさ)と、朝の叔母にあたる35歳の女性・槙生(まきお)が共に暮らしていく日々を描いた物語です。

親戚ではあるけれど、これまでにほとんど交流がなかった者同士。不器用で、切なくて、けれど温かい。そんなふたり暮らしが始まります。

違国日記 著者:ヤマシタトモコ

天涯孤独から少女を連れ出したのは

両親を事故でいっぺんに亡くした一人っ子の朝。15歳の彼女を待っていたのは厳しい現実。交流があったはずの祖母も含め、朝を保護するどころか温かい言葉をかける大人さえ現れません。

そんな状況を見かねて行動に出たのは、姉である朝の母と折り合いが悪く絶縁状態だったはずの槙生。

朝を大人たちの醜悪な言葉から、天涯孤独から連れ出しました。

独りであることを選び生きてきた槙生は、他人と暮らすことに戸惑いつつも朝を1人の人間として尊重し、朝が子どもとして与えられるべき権利を出来る限り守ろうとします。槙生が朝に投げかける言葉や態度は、決して甘くはありませんが取り繕いや嘘がなく、フェアで誠実。

親ではなく、友達でもない槙生は朝になにを与え、朝はなにを受け取っていくのでしょうか。

分かり合えないからこそ歩み寄る

当然のことですが、まったく同じ人間はこの世に存在しません。気の合う親友でも、同じ両親から生まれた兄弟姉妹でも、血のつながったわが子であってもそれぞれに感情があり、違う考え方を持っています。

どんなに相手のことを考えていても、愛していても、自分以外の人間の100%を知ることなんてできません。

そのことを理解しだす10代中ごろ、誰もが孤独を感じ、焦燥感を抱えながら成長していきます。

ときに傷つき、相手を傷つけ、傷つけたことに傷ついたりしながら。

この物語は朝と槙生ふたりのそれぞれに抱えている孤独が描かれていく一方で、人と人が関わりを持つときに大切なことをあらためて教えてくれます。

自分がどんなことで傷つくのかを相手に伝えること、相手がどんなことで怒りを感じるのか知ること、どんなに親しい相手でも全てをさらけ出す必要はないこと、自分の感情は自分だけのものであるように相手の感情もまた相手のものであること。

違う人間同士でも、歩み寄り、受け入れる努力はできること。

15歳になるあなたへ、かつて15歳だったあなたへ

この作品は朝と槙生だけでなく、ふたりを取り巻く家族、元恋人、友人たちを通していろんな立場の人々の、それぞれの生きる痛み、孤独、怒り、感情が描かれていきます。

自分らしく生きようともがく登場人物たちの言葉は、多くの読者の心に届き、寄り添い、この作品を読んで救われたという声も少なくありません。

FEEL YOUNG(祥伝社)で好評連載中の『違国日記』。
孤独を抱えてもがいている15歳のあなたへ、かつて15歳だったあなたへ届けたい作品です。

執筆:ネゴト / よね

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