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育児のカタチに正解はない! すべての家族にオススメの「心」の再生の物語。

結婚、出産、子育てなど……。新しい門出は喜ばしいことで、家族の夢も膨らみます。しかし実際に体験してみると、思うように行かない現実にストレスをためる人も少なくありません。

『本当の頑張らない育児』に描かれているのは、一人の女性の「出産から職場復帰」までのお話です。それは、壊れかけていた家族の再生物語でもあります。

完璧主義の奥さんと、ちょっぴり鈍感な旦那さん。ふたりが育児に奮闘する姿に、励まされる人も多いはずです。「この気持ち分かるよ」と共感しながら読んでみてください。

本当の頑張らない育児 著者:やまもとりえ・コノビー編集部

イライラばっかりが増えていく

パートナーの愚痴ばかり言う友人の姿を見て、他人事だと思っていた主人公の女性。「だんなの教育しといたほうがいいよ」という友人の忠告を聞いても、本気にはしていませんでした。

しかし、それから一年。出産を経て、女性の価値観は180度変わってしまいました。ゴミも出さない、洗濯物も脱ぎっぱなしの夫にイライラする毎日……共感する女性も多いかもしれませんね。

「少しは息抜きしてみたら?」。料理も家事も完璧にこなそうとする女性は、妹からアドバイスを受けます。今まで離乳食は手作りしていましたが、市販のレトルト商品を子どもに出してみました。

そこに夫が帰宅して、「子どもに、これくわせてんの?」と禁断の一言を発します。日頃の頑張りは認めてくれないのに、手を抜いたときだけ文句を言われる――飲み会帰りの夫から、赤ら顔で言われた一言に思わず不満も爆発します。

男性も、育児をやってみないと分からない

自分さえガマンしていれば、うまくいくのだと信じていた女性。だけど子どもが生まれても、独身時代と変わらない夫に我慢の限界を感じてしまいます。自分も出かけたいときがあるから「育児を代わってほしい」と、自分の正直な気持ちを打ち明けました。

夫と子ども、初めて二人だけでお出かけすることになりました。だけど、カフェで座席に座ると、だっこ紐の中の子どもは窮屈そうです。旦那さんは急いでだっこ紐を解きますが、途端に子どもがコーヒーカップをひっくり返してしまいます。

帰宅した夫は、妻に「話したいことがある」と言います。飲み物をこぼさないように気をつけること、そして服を汚したときのために着替えを準備しておくこと……。妻が子どものため気にかけてきたことに、初めて気がついたというのです。

小さな変化ですが、旦那さんにとっては大きな成長です。本作はマンガの余白を上手に使い、家族の心の動きを演出。離れかけていた夫婦の気持ちが、再び近づく様子を描いています。

家族は一つのチーム

夫は育児を手伝ってくれるようになりました。一ヶ月もすると、育メンぶりも板についてきましたが、会社との両立でなんだかお疲れの様子です。

夫は、会社でも育メンとして知られる後輩に相談します。後輩は、自分が家事を手伝うことで、妻に「有給」を取ってもらっているとアドバイスしてくれました。それだけではなく、自分もきちんと「休み」をもらっていると言うのです。

仕事に家事、育児の両立は、簡単な事ではありません。それでも家族は一つのチーム。一人で抱え込むことがないように、互いを思いやることが大切です。

旦那さんの努力もあって、最初は険しかった奥さんの顔も徐々に明るい表情に変わってきます。それを見つめる子どもの顔も、なんだか嬉しそう……。本書の作者は、いま人気のイラストレーター、やまもとりえ。柔らかい鉛筆線で描く、家族の表情描写が絶妙です。

育児のカタチは自由

『本当の頑張らない育児』は、育児は一人で頑張らなくてもいいんだよ、と教えてくれる一冊です。とはいえ、理想をカタチにするのは難しいものです。

家族のヒントがいっぱい詰まった本書を、ご家庭に一冊オススメします。育児の在り方に正解はないと言いますが、家族で一緒に本書を読めば何かが見つかるかもしれません。家族が話し合うきっかけになれば幸いです。

執筆:メモリーバンク / 柿原麻美

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