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『NとS』引き合って反発する磁石系スローペースラブコメディ

教師と生徒の恋愛は、少女マンガには定番の設定ですよね。禁断の恋として「ダメだとわかっているけれど離れられない!」という展開で描かれることが多いのではないでしょうか。しかし、金田一蓮十郎さんが講談社の『デザート』で連載している『NとS』では、ひと味違う教師と生徒の恋愛が描かれています。

立場を知らないまま出会って恋に落ちた2人が、関係性に気づいてから相手を想って離れることを選ぶ磁石系ラブコメディです。

NとS 1巻
NとS 金田一蓮十郎

お互いの立場を知らないまま出会って惹かれ合う「N」と「S」

「N」の木下新菜(きのしたにいな)と、「S」の小田朔(おださく)は、カフェの店員と新人漫画家という立場で出会いを果たします。2人は詳細な年齢や職業を知らないまま、店員とお客さんという関係で惹かれ合っていきました。新菜の淹れるコーヒーを、小田はおいしいと思ってくれる。たったそれだけのことで、2人の間には大きな磁力が生まれます。

まるで運命で決まっていたかのように、恋人になった新菜と小田。順調に愛を育むも、「教師」と「生徒」という最大の壁が立ちはだかります。小田のことを大学生だと思っていた新菜は、担任として赴任してきた小田の姿に固まることしかできません。小田は生徒の顔を良く見ないタイプの割り切った教師なので、担任なのに新菜の存在に気づきませんでした。

自分たちの関係性に気づいた2人は、大好きなままにも関わらず「教師と生徒の恋愛は幸せになれない」と、お互いのことを想って別れることを選びます。大好きだからこそ迷惑にならないよう、別々の道を歩み始めた2人の切ない選択に胸が締め付けられました。しかし、新菜と小田の関係はN極とS極の磁石そのもの。強い力で引かれ合っていきます。決して離れることのできない2人が、教師と生徒として過ごす物語が紡がれていきます。

新菜のことが大好きな小田の惚気がたまらない!

小田は新菜のことが大好きです。笑顔が可愛いふわふわした癒し系に見えて、実は癖が強くて芯がしっかりしている新菜のことが大切で仕方ありません。別れてからも新菜の幸せを願い続けるほど、ずっと新菜に夢中なのです。そんな小田は、新菜が自分の生徒だと気づく前にクラスの女子生徒から彼女はいるのかと質問を受けました。「居ますよ」とさらっと答える小田に、思わずニヤニヤしてしまいます。

若くてイケメンだと学校で人気になった小田は、女子生徒から告白を受けるも即答で断ります。そんな小田に対し、「先生の彼女ってかわいいんですか?」と質問が飛び出しました。生徒からの質問に「めちゃくちゃ可愛い」と秒速で惚気る小田。新菜への愛の深さが垣間見えると同時に、実は目の前にいる新菜に愛の告白をしている状況に胸がキュンとします。

彼女が可愛いのかという質問に続いて「結婚するんですか?」と生徒からの質問が飛び出します。その質問をした生徒には、金一封を差し上げたい! ふざけた質問に「ゆくゆくはそうなれれば(いつかは結婚したい)」と、超ド級の惚気で返す小田。ここが応援上映の会場なら「新菜目の前にいるよー!」と叫んでしまいそうです。事実上の公開プロポーズをするほど新菜が大好きなのに、この先に別れが待っていると思うと、切なくてたまりません。

大好きな気持ちを隠しきれない2人が切なすぎる

教師と生徒という立場上、つき合い続けることはできないと別れを選んだ2人。そうする「べき」だとわかっていても、心はついていきません。大好きな気持ちが消えることのない新菜と小田が切なくて、思わず目頭が熱くなります。

小田に迷惑をかけたくないからと、その気持ちを必死に抑え込む新菜。小田に「大事な生徒だ」といわれた新菜は、大事な存在だと想われていることに幸せを感じていました。「恋人」ではなく「生徒」と壁を作られているのにも関わらず、こんなに喜ぶ姿を見ると心臓を抉られるほど切ない気持ちになってしまいます。

新菜への気持ちをひた隠しにしていた小田は、副業として描いている漫画のヒロインが新菜にそっくりだと気づきます。大人ぶっているくせに、欠片も吹っ切れていない小田の姿に安堵すると共に「新菜に気持ちを伝えてよ!」と叫びたくなりました。どうやってもお互い大好きなのだから、すべて無視して幸せになって欲しくてたまりません。そんな『NとS』は、次巻の8巻で完結を迎えます。ぜひ、最後まで新菜と小田の未来を見届けてください。

執筆:ネゴト / 押入れの人

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