美容で天下統一！ 『北政所様の御化粧係～戦国の世だって美容オタクは趣味に生きたいのです～@COMIC』大人女子が共感できるなろう系
「好きなことで、生きていく」これは、かの有名なYouTubeのキャッチコピーです。好きなことで生きていけたらこの上なく幸せなんだろうな〜と妄想していても、そんなこと無理無理…と現実が顔を覗かせます。
じゃあ、生まれ変わったらどうだろう？ 何の心配ごともなく、好きなことに全力投球できる世界にいけたら？ 『北政所様の御化粧係～戦国の世だって美容オタクは趣味に生きたいのです～@COMIC』はわたしたちのそんな願望を叶えてくれる、転生ヒロインの成り上がり物語です。
アラサー美容マニアの「私」は、ある朝目覚めると戦国大名・山内一豊の娘である与祢（よね）姫に転生していました。史実であれば、6歳という若さで生涯を終えるはずだった与祢。しかし「私」が転生したことで戦国の世を生きながらえることになります。
しかもタイトルに書かれている通り、ゆくゆくは豊臣秀吉の正妻・北政所様の御化粧係として召し抱えられることになるようで…!?
『北政所様の御化粧係～戦国の世だって美容オタクは趣味に生きたいのです～@COMIC』© Takeshiba / Nori Sasakura 1巻より
戦国の世に転生してしまったものはやむなし、「やりたいことをやろう！」とだいすきな美容道に邁進しようとする「私」ですが、まともな美容製品がこの時代にあるわけもなく頭を抱えてしまいます。けれどもそこは戦国大名の姫君。「ないなら作ればいいのでは？」と、裕福な実家の恩恵と超強いコネクションを駆使してコスメ製造に乗り出していくのです。
『北政所様の御化粧係～戦国の世だって美容オタクは趣味に生きたいのです～@COMIC』© Takeshiba / Nori Sasakura 1巻より
原作は「小説家になろう」で発表された人気小説、ということで、いわゆる「なろう系」マンガにジャンル分けされる本作。「なろう系」といえば無双しまくるチート展開が代名詞ともいえますが、なるほどたしかに、お金持ちで時間に余裕のある生活なんてある意味最上級のチート技かもしれません。しかもそこに美容マニアとして培ってきた極上の知識が乗算されて、無敵の美容家の誕生です。
『北政所様の御化粧係～戦国の世だって美容オタクは趣味に生きたいのです～@COMIC』© Takeshiba / Nori Sasakura 1巻より
しかしいくらチート級のバックボーンを持っていたとしても、6歳の女の子ひとりでの無双は困難。ましてや美容文化が開花しない戦国時代であれば、それらの知識を理解してもらうこともままならないのでは？ と思いきや、与祢に力を貸す大人たちの言動が物語を盛り上げていきます。
父と母は人が変わったような立ち居振る舞いを見せるひとり娘を信じ続け、博識なおじさんたちは知識や教養を貪欲に求める彼女に活躍の場を与えました。目の前にいる大切な姫を守り、才能を伸ばそうとする大人たちの眼差しに胸がじんわりとあたたまる。かっこいい大人の存在は、いつの時代も若者の未来を明るく照らしてくれるようです。
あぁ、娘の希望を思う存分叶えられる懐の深さを備えた親に、わたしもなりたい人生でした。
『北政所様の御化粧係～戦国の世だって美容オタクは趣味に生きたいのです～@COMIC』© Takeshiba / Nori Sasakura 1巻より
かくして与祢は、戦国の女性たちの間に美容革命を巻き起こしていきます、自分の“得意”で世間の役に立てるって本当に羨ましい！ 誰かの喜ぶ顔は仕事を頑張るモチベーションですよね。
自分も誰かの笑顔のためにお仕事頑張ろう！ と前を向ける、痛快な読後感も本作の魅力。「大人女子向けお仕事マンガ」と「なろう系」という2ジャンルのいいところが存分に楽しめます。
『北政所様の御化粧係～戦国の世だって美容オタクは趣味に生きたいのです～@COMIC』© Takeshiba / Nori Sasakura 1巻より
まずは口紅、続いて化粧水。与祢が生み出す次なるコスメはなんなのか、気になるところです。1巻の終盤には与祢に助太刀する大谷刑部少輔も登場して、ロマンスへの期待も隠せません。令和アラサー美容マニアの天下統一、ぜひお楽しみください！
執筆：ネゴト / あまみん
