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『吸血鬼と愉快な仲間たち』片思いは届くのか!? 心が動く新章が4年ぶりに再開!

BL小説界で不動の人気を博す、木原 音瀬(このはら・なりせ)先生の同名タイトルを原作に、羅川真里茂先生がコミカライズした『吸血鬼と愉快な仲間たち』の第5巻が4年ぶりに発売されました。

木原 音瀬先生のキャラクターが持つ真っ直ぐさに心救われ、羅川真里茂先生の描く王道のハンサムガイたちに心奪われる。原作は2006年から2011年にかけて発売され、10年以上新作が公開されていないにも関わらず、小説・漫画共にファンの多い作品です。

吸血鬼と愉快な仲間たち 1巻
吸血鬼と愉快な仲間たち 羅川真里茂/漫画 木原音瀬/原作

トンデモ設定が生むシリアスドラマ<無邪気なアルがトコトン可愛いハートフルコメディ

21歳のある夜、知らずと交際していた女吸血鬼に血を吸われ殺された挙句、中途半端な死に方で完全な吸血鬼になれなかったアルベルト(アル)は、牙もなく、コウモリ⇔人間への変身も自分では制御できず、昼はコウモリ、夜は人間という生きにくい体質となってしまった。ひっそりと精肉工場で生活していたものの、うっかり冷凍されてしまい、日本へ輸入されてしまう。

なりゆきで仕方なく半吸血鬼を自宅で匿うことになった人間嫌いなエンバーマー・暁と、吸血鬼になってからは誰にも理解されず、泣き虫でさみしがり屋なアルの同居生活が描かれています。

設定だけみると恋愛要素もコメディっぽいところも見当たらない。どちらかと言えば「死」を扱う暗いテーマなのに、アルのあどけなさや、エロっ毛のない裸体の登場シーンの多さからコメディ色が強めで物語は進んでいきます。

エンバーマー:損傷のあるご遺体をある程度生前の状態に近づける技術を持った専門職

孤独を好む人は何かに傷つき、これ以上傷つくことを恐れている

自分の本質にある優しさをコントロールできずに1人で傷ついてしまう暁は、期待や責任を煩わしく思い、人を拒絶して生きてきました。

拒絶は恐れ。愛されたであろう記憶を、孤独が上書きしてしまった暁には、他者の労り方が分からない。そこに恋愛感情といった特別な感情がなかったとしても、人との関わりで自然に起こる「ちょっと愛しい」「どこか切ない」そんな感情すら受け止めきれないのです。

不器用な暁に、真正面から感情をぶつけてくるアルは、暁にとっては感情を否が応でも揺さぶってくるイライラさせる存在で、2人はいつも喧嘩ばかりをしています。でも、2人の諍いには愛がある。アルは暁の事を思って、暁の未熟さを、大人になったら誰も指摘してこないような無寛容さを正面から訴えてきます。

暁がアルを一人の人間として、友人として心を割き、少しずつ互いを大切に思いやるようになっていく様子に胸が熱くなります。日々の忙しさや、心無い出来事で、心を痛めることがあっても、心がポジティブに動くことは少ないから…。そんな日常にぽっと明かりを灯すような出来事がこの作品には溢れています。

シリアスな場面をクスリと和ます拙さとあどけなさ

アルの境遇は気の毒で同情しか生まれないくらい酷い。不老不死のくせに何度も大怪我をし、痛い目に遭っているアルは悲劇の主人公そのものです。しかし、その悲劇を喜劇に変えてしまうパワーが彼にはあり、暗い場面は巻を追うごとに少なくなっています。

胸を突くシリアスな場面も、アルが着ている服に書かれた日本語に集中力が途切れる時があるでしょう。漫画だからこそ味わえるこのギャップに思わず笑ってしまう場面が地雷のように散りばめられているので要注意。

アルの言葉は優しく、そして易しい。子犬のようなピュアな心から紡がれる言葉の一つ一つがしんしんと心に積もっていきます。言葉にしてしまうと陳腐になったりキレイになりすぎてしまうことが、拙くも一生懸命な言葉だからこそダイレクトに響くのです。

恋人だけが心を温めるわけではない

ジャンルはBLになるものの、そこに描かれるのは人間愛であり、見返りを求めない友愛や家族愛に近いのかもしれません。

彼らは同性で、BL的な要素がないわけではないけれど、アルの暁への思いは、今ある自分を受け入れてくれたことへの感謝が先にあり、相手が幸せになってほしいからこそ、何かを愛しく思う気持ちを持って欲しい、できればその気持ちを自分に向けて欲しいという欲求が後からついてきています。

そこにあるのは友情・同情・愛情すべてが入り混じった「相手を愛おしく思う気持ち」。心の拠り所を持つことで心の体温が上がる。そこには心にぽっかりと空いたもの悲しさを払拭する力があると思うのです。

年齢・性別に関係なく近くにいてくれる身近な人や友人、触れることを受け入れてくれる家族や恋人にそっと感謝したくなる…。あなたの心を温めるそんな物語だと思うのです。

執筆:ネゴト / そふえ

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