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『占い師星子』憧れの占い業界のカラクリが暴かれる

「占い」はテレビ番組や雑誌で必ずと言っていい程取り上げられているジャンルで、廃れることのない常に身近な存在です。

自分自身の体験で、もしくはテレビなどで占い師が話す鑑定結果を聞き、その信憑性を感じる結果に「凄い!」と思った経験をした方も少なく無いでしょう。

信じる人にとっては魅力的に見え、信じていない人には懐疑的なものに見える「占い」。実際に占い業界に携わる人は普段どんな風に仕事をしているか、気になる方もいるのではないでしょうか。

『占い師星子』では占い業界の裏側の秘密が描かれています。

占い師星子 1巻
占い師星子 岬ミミコ

あらすじ

主人公の天野星子は占いが大好きな就活生。

就活の末、尊敬しているカリスマ占い師の神ノ山伸一の事務所でアシスタントとして採用され雑用をこなす日々を送ります。しかし憧れの神ノ山が行う占いは、全て事前のリサーチや心理テクニックを取り入れた噓で成立しているという事実を知ってしまいます!

神ノ山に「占いなんて噓っぱちです」と断言され一度は絶望するも、占いの役割や存在意義を知りたいという思いからアシスタントを続けることを決意するのでした。

トリックを知った様な爽快感

あらすじだけを見てみると、占いの全否定の様な印象を受けるかもしれません。

ですが実際に読み進めていくと、多種多様な占いの紹介や心理テクニックの解説がポップな絵柄とコミカルな演出によって描かれ「業界の暴露」に対する不快感よりも「マジックの種明かし」を見ているような知的好奇心をくすぐる作品に仕上がっています。

さらに作中で「観察と話術で相手を信頼させ、自分で物事を決められない人にアドバイスをするのが自分の占いである」と神ノ山が発言していたり、別の占い師が星子に対し「占いは相談に来てくれた人の生き方のヒントを見つけるきっかけ作りであり、カウンセリングの時間でもある」とアドバイスしている場面があります。つまり占いの存在を悪として切り捨てず、人に寄り添う手段であることを示すポジティブな面もしっかりと描かれているのです。これら占いの様々な顔こそ、星子が再び占いへの希望を見出す理由であり、読み手が作品に魅せられる理由でもあるのです。

作品の魅力はそれだけではありません。凸凹な師弟コンビの物語としても構成されており、占い自体に興味がない人でも楽しめるようになっています。

素直で明るく、良い友人と恋人に恵まれて生きてきた星子は、占い業界の真実を知ったことや神ノ山をはじめとした今まで関わることのないような人達と出会っていくことで良い意味でも悪い意味でも人間の本質を学んでいき、成長していくのではないでしょうか。そんな星子の様子が神ノ山の考えや心情へ影響して良いコンビになっていって欲しいと思います。

そして「仕事に真剣になっていき、最終的に交際していた恋人と別れてしまう」という展開が女性主人公のお仕事漫画ではよくあるパターンなのですが、星子の恋人・太洋が占い業界に就職することに対し否定的でなく、星子が楽しそうにしていればいいというスタンスでいつも穏やかなやり取りをしているのもこの作品を楽しんで読める大きな要素なので『占い師星子』では別れることなくハッピーを貫いて欲しいと強く願っています!

どんな自分になりたいか問い続ける

占いは、自分の悩みを解決に導くために利用するものであり、占いの結果を参考にするものの最終的には自分がどうしたいか、どうなりたいかという能動的願いを後押しするものです。

星子は占い業界を通じて最終的にどんな風に占いに携わっていくのか。彼女が占いを学び奮闘する姿を見守りつつ、悩んだ時には自分自身も占いに頼ってみながら自己実現に向けて努力していくのも良いかもしれません。

執筆:ネゴト /

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