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“ひとり”の価値観を変革する『おひとりさまホテル』の魅力は“ひとり”讃美にとどまらない

旅行やホテルはだれかと一緒に行くもの。そんな思いにとらわれている方も多いのではないでしょうか。でもそれは違います。“おひとりさま”には“おひとりさま”でしか味わうことができない魅力があるのです。

おひとりさまホテル 1巻
おひとりさまホテル まろ/原案/マキヒロチ/漫画

そんなあなたの知らない“おひとりさま”の魅力を教えてくれるのが今作『おひとりさまホテル』。ひとり時間の過ごし方を提案するメディア「おひとりさま。」を運営するまろ先生を原案者とし、『いつかティファニーで朝食を』などで人気をはくしてきたマキヒロチ先生が、数々の実在するホテルを"おひとりさま"で堪能するすばらしさを描いた作品です。

リフレッシュは“おひとりさま”のホテル泊で

主人公、塩川史香(しおかわふみか)はホテルの企画から設計まで手がける設計会社で働く31歳独身彼氏なし。お客さんも癒したいけれど自分も癒されたい今日この頃。仕事での情報収集もかね、単身、月1でいいホテルに泊まることを生きがいにしています。

第1話で泊まるのは誰しもご存じ『ホテルオークラ』。圧巻のロビー、高い天井の部屋、使ったことのないアメニティに摩天王を一望できるビューバス。そんなおもてなしの数々を誰に気をつかうことなく、自分ひとりだけで堪能しつくすことができるなんて胸が躍らないわけありません。

2話以降は群像劇のように主人公を変えながら、芸術に特化したアートホテルや古式ゆかしいクラシックホテルなど、さまざまな形態のホテルを堪能する姿が描かれていきます。

“おひとりさま”の魅力は“おひとりさま”にとどまらない

『おひとりさまホテル』に出てくるのは、どこもオシャレでキレイなホテルばかり。どんなに格式高い部屋であっても、自分ひとりだけの宿泊であれば服を脱ぎちらかしてもだれにも文句は言われません。夕食を食べるレストランや近くのBAR、その時その場で気になったお店にふらっと入ることも自由自在です。

ひとりで赴いたからこそ気兼ねなく過ごせるその時間の気高さは、なにごとにも代えがたいもの。自由を堪能し、心からリフレッシュすることによって、翌日の仕事に前向きになれるシーンが数多く描かれています。しかし今作は、そうやってただただ、“おひとりさま”を推奨しているだけではない。そんなようにも感じるのです。

アートホテルに泊まった男性は、直前にパートナーとすれ違い、気まずい感じになってしまいましたが、“おひとりさま”の時間をすごすことで自分の気持ちを素直に見つめ直すことができました。週5日ホテルで生活する女性は、SNSを使いホテルのレポートを積極的に発信しており、それを多くの人に見てもらうことに喜びを感じています。
どちらも“おひとりさま”を堪能し、その楽しさを十二分に味わいながら、同時にひとりきりでは感じることができなかった部分にも喜びを見出しているのです。

忠実な取材や実体験にもとづき“おひとりさま”の魅力をこれでもかと描きながらも、各人をとりまく人間関係のパートをそえることによって「ひとりじゃない」ことのすばらしさも浮きぼりにしていく。

この二面性こそが“おひとりさま”の魅力だけにとどまらない、今作の真の魅力と言っていいのではないでしょうか。

出てきたホテルに実際に足を運んでみよう!

『おひとりさまホテル』は、あなたの“おひとりさま”の価値感をアップデートしてくれます。ホテルという場所に対しても、単に旅行にいった先の宿泊場所であるとか、誰かと一緒に泊まるための場所という概念を変えてくれることでしょう。そしてひとりの自由を満喫することが、周りの人間の尊さをより深く感じさせくれる。そんなことも教えてくれる作品なのです。

前述したように、出てくるホテルはどれも実在するホテル。関東のホテルだけではなく、地方にあるホテルも紹介されています。その中から気になったホテルに足を運んでいただき、そこで“おひとりさま”の自由を堪能しながら『おひとりさまホテル』を読む、なんて体験をしてみてはいかがでしょうか。

執筆:ネゴト / たけのこ

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