『ブラックガールズトーク』正面切って言えないあの話も3人集まれば「いるいる!」「あるある!」
女子会にはどんなイメージを持っていますか?「楽しそう」「華やか」など、ポジティブな印象を持つ方もいるかと思います。しかし、それと同時に挙げられるのが「怖そう」というイメージ。
『ブラックガールズトーク』ではそのイメージにそぐわず、女子3人組が辛口なガールズトークを繰り広げていきます。話のネタとなるのは、職場や友達、ご近所の中にまぎれた“ちょっと迷惑な人たち”。
いわずもがな、この”ちょっと迷惑な人たち”は主人公たちが開く女子会のネタにされていくわけで…。でも、ただネタとして扱われるだけでなく、彼らにもわずかな救いのある作品となっています。
愚痴では満足できない、”オチ”のついた話が聞きたい!
お茶会仲間の三浦あや、高橋奈緒、太田佳央梨の女子3人。集まるやいなや話題に上がるのは、身近にいる迷惑な人たちに関するエピソードです。
『ブラックガールズトーク』©マキノマキ/小学館 第1巻より
二股男に浮気をするモラハラ夫、マウンティング女子、マザコン男など…彼女たちのトークは止まりません。
彼女たちが聞きたいのは「こんな人がいた」という話ではなく、たとえばムカつく人が痛い目にあうようなオチのついた話。修羅場なんて、そうそう経験できることではありません。
当事者になるのは嫌だけれど、好奇心で知りたい、聞きたい、そして心の底からスカッとしたい。女子会は、彼女たちのデトックス方法のひとつなのです。
『ブラックガールズトーク』©マキノマキ/小学館 第1巻より
強烈なエピソードなのに「これ、私の周りのこの人では…?」
本作に登場する強烈なエピソードの数々。でも、思い返せば「こういうことある!」と共感してしまうほどのリアルさなんです。
たとえば、1話の佳央梨の体験談で登場する黒髪ロングヘアの赤川皐月は、自称サバサバ系女子。なぜ自称と言われているのかというと、「男友達といた方が楽」というようなよくある”自サバワード”を口にしながらも、実際はネチネチした性格だから。
『ブラックガールズトーク』©マキノマキ/小学館 第1巻より
このような、「私の知り合いにいました?」と思ってしまうほど身に覚えのある人物が何人も登場してきます。
登場人物たちが次々と追い込まれていく展開は、まさにドラマを見ているかのような疾走感と爽快感。女子3人の軽快な語り口とテンポの良さも相まって、さらに没入感が高まります。
「クスッ」と笑える話へ…後日談のページで起こる読後感の変化
「嫌な人が嫌な人で終わらない」ことが本作の魅力です。あらゆる方法で成敗された登場人物たちが、その後どうなったのか気になりませんか?本作では、そんな彼らの後日談が巻末のおまけページで描かれているのです。
本編では、退職や別れ、離婚などさまざまな“オチ”で決着がつけられます。少しドロドロとした内容になっていますが、後日談ではそれを緩和するかように、作者のマキノマキ先生の優しさがあふれたページとなっているのです。
たとえば、先ほど登場した自称サバサバ女子の赤川さん。ある”秘密”がバレてしまい、部署を移動することになってしまいます。さすがの赤川さんでも落ち込んでいるのでは…と思いきや、自サバは健在の様子。
『ブラックガールズトーク』©マキノマキ/小学館 第1巻より
あいかわらずな赤川さんっぷりが垣間見えて、思わずクスッっと笑ってしまいます。たとえ嫌な人でも、価値観は人それぞれ。その後の物語は、決して彼らを否定することなく、“らしさ”がコミカルに描かれています。
『ブラックガールズトーク』©マキノマキ/小学館 第1巻より
ちょっと迷惑な人たちの言動は、少し行き過ぎた”その人らしさ”なのかもしれません。この作品を読んでいると、「こんな人いるわ!」とついつい声が出てしまいます。共感が難しい場合は、反面教師として楽しむのもいいかもしれません。少しばかりブラックな彼女たちの女子会を、もっと奥深くまで覗いてみませんか?