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『スキップとローファー』ちょっとだけ明日もがんばれる。等身大のハートフルスクールライフ

『スキップとローファー』は、真っ直ぐで天然な主人公「みつみ」の姿に胸がキュンとするハートフルスクールライフ漫画です。「マンガ大賞2020」では第3位を受賞して、2023年4月にアニメ化されました。疲れている人でも、等身大のスクールライフに癒されて「ちょっとだけ明日もがんばろう」と思えるとにかく優しい漫画です。

スキップとローファー 1巻
スキップとローファー 著者:高松美咲

石川県のはしっこのほうから上京して高校生活がはじまる

夢を叶えるため、石川県のはしっこのほうにある凧島町から東京の高校に進学した岩倉美津未(いわくらみつみ)15歳。中学の同級生は8人しかいないうえ鉄道も廃線になっているような小さな町から、高偏差値の「つばめ西高校」へ進学しました。高校生活はただの一度だって失敗しないと意気込んだものの,

さっそく乗る電車を間違え入学式に遅刻してしまいます。降りた駅で落ち込んでいると、同じ新入生の志摩(しま)くんが声をかけてくれて一緒に学校へ向かうことになりました。

真面目で純粋なみつみは、入学式に遅刻することで顔が真っ青に。そんなみつみの気を楽にしようとしてくれた志摩くんに八つ当たりしてしまうなど、失敗ばかりです。しかし、一緒に走ってくれた志摩くんのおかげで新入生の代表挨拶に間に合いました。明るい高校生活への第一歩として首席の代表挨拶を果たすも、緊張と疲労で担任の先生の服に嘔吐してしまいます。出だしから失敗まみれのみつみに志摩くんは興味津々。クラス1のイケメンに「友達になろうよ」と言われ、ピカピカの高校生活がはじまるのでした。

真っ直ぐで等身大なみつみに心がポカポカする

『スキップとローファー』の魅力は、みつみが等身大の女子高生であることです。天然さを発揮して思いっきり失敗するみつみを見ると、まるでヒナを見守る親鳥になったような気持ちにさせられます。自己紹介の挨拶をひと晩中考えて、悩んで悩み抜いたのに失敗しちゃった姿なんて「大丈夫だよ!」と抱き締めたくてたまりません。

ウケるだろうと言ったひとことで、クラスを真冬の空気に変えてしまいました。少子高齢化の小さな町で暮らしてきたみつみには、都会の高校生らしいコミュニケーション能力やセンスが絶望的に欠けているのです。あまりにも純粋で天然なみつみが心配で、放っておけなくなります。

自己紹介の失敗に絶望して顔を手で覆うみつみを、サラッとフォローする志摩くん。大きな失敗をしても、周りの人が助けようと思える「素直さ」と「純粋さ」がみつみの最強の魅力です。言葉の裏表を読み合うなんて必要ない、真っ直ぐで等身大なみつみを見ると心がポカポカしてきます。

はじめての体験をするみつみをずっと見守りたい!

みつみのピカピカ高校生活は、はじめての体験がいっぱい。みつみの地元にはなかった、カラオケやカフェなど都会の高校生らしいことだらけです。はじめてのカラオケやカフェを楽しむみつみが、ずっと幸せでニコニコしていられるようにこっそり見守りたくなります。

カラオケに誘われるも、イケメンの志摩くんと友達なことで女子からのやっかみを受けたみつみは、人間関係の難しさに頭を悩ませます。しかし、人間関係の難しさでへこたれないのがみつみの良いところ。地元の親友、ふみちゃんとの電話で、出会ったばかりの人の気持ちなんて分からないに決まってると気づきます。考えても仕方なかった!と、自分らしくはじめてのカラオケを楽しみました。最高の曲をチョイスして恥ずかしがらずに一生懸命歌ったみつみに、心からのスタンディングオベーションを贈りたいです。

気づけばクラスに馴染み、志摩くんやクラスメイトから「みつみ(ちゃん)」と呼ばれるように。そんなみつみのはじめてのカフェは、志摩くんとクラスメイトの久留米誠(くるめまこと)と一緒。心の壁が厚いタイプの久留米さんですが、みつみがはじめての味に感動する姿に思わず壁を溶かされます。純粋なこの笑顔は、あらゆる人の壁を溶かして一歩踏み出す勇気まで与えられるのです。眩しくて尊いみつみの高校生活を、一生見守っていこうと誓いたくなってしまいます。

みつみの笑顔は心の薬

『スキップとローファー』は、落ち込んでいるときに読むと心に効く「心の薬」のような漫画です。みつみの真っ直ぐで等身大な姿や、裏表のない笑顔に心がほわっと温かくなります。疲れているときでも、ちょっとだけ明日もがんばろうとスキップしたくなるほど癒されるので、ぜひ読んでみてください。

執筆:ネゴト / 押入れの人

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