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『女性に風俗って必要ですか?』女性用風俗で手に入る快感以外の人生模様

昨今、芸能人が利用していることが報道され注目を集めている女性用風俗。利用者も増えているそうですが、自分には縁遠いものと感じる人も多いはず。『女性に風俗って必要ですか?〜アラサー独女の再就職先が女性向け風俗店の裏方だった件〜』は、漫画家のヤチナツさんが様々な女性用風俗の現場で働く人々を取材した作品で、“女風”を利用する女性たちの心理が描かれています。

女性に風俗って必要ですか?~アラサー独女の再就職先が女性向け風俗店の裏方だった件~ ヤチナツ

紹介された仕事は風俗業だった

コロナ禍でバイト先の飲食店がつぶれ無職になってしまった主人公・そのは、知り合いが紹介してくれた仕事の詳細も聞かず速攻で飛びつきます。職場に行ってみると部屋にたむろする若い男の子たち。

紹介された仕事とは「女風の裏方(女性用風俗の事務スタッフ)」でした。動揺しながらも翌日出勤すると、予約の電話が鳴り止まず休んでいる暇はありません。

聞き慣れないアダルトグッズの名前にどぎまぎしながら対応する、その。ここは性経験が2回しかない彼女には刺激的すぎる職場でした。新人セラピストの性感マッサージ研修の女性モデル役をさせられる時には、半裸の若い男の子たちに触れられ舐められるという、普通ではなかなかできない体験を味わいます。

講師のお手本テクニックにメロメロになりますが、彼女はあくまで講習員なので新人の手技にフィードバックをしないとなりません。気持ちいいけれど疲れるこの講習で、彼女がもらえる研修費は新人くんたちが支払ったお金でした。…セラピストになるのにもお金がかかるのです。

シチュエーションプレイの練習風景や、アダルトグッズの使い心地をセラピストに聞かれたりと、“エロ過多”な職場で必死に予約をさばきながら、そのは女性用風俗を利用する客の心理を少しずつ理解していきます。

幸せな家庭があっても風俗を利用したい女性たちの心理

客からの予約メッセージを見ると、アイコンが子どもや家族の写真の人たちばかり。幸せそうな既婚女性たちがどうしてお金を払ってイケメンとプレイしたがるのか。そのは最初、彼女たちの心理が全くわかりませんでした。けれど、実際に客からの電話を受けると、その理由に共感するのでした。

セックスレスの自分たち夫婦との3Pをしてほしいと要望を出してきた客。「こんなこと誰にも相談できなかった」と電話の向こうで泣く彼女に、そのは励ますように答え、夫婦の大事な問題が解決するように願いながらセラピストを選び、送り出すのです。

お金だけの関係でも、好きな男性を独り占めしたい厄介な恋心

他の客が予約できないように空予約をしまくってキャンセルをする客がいるのを知り、てっきり嫌がらせでやっているんだと思っていた、その。でも「好きピを独り占めしたい女心ですよ」と言われ、なるほど、と気づきます。そして、帰ってほしくなくて泣き叫ぶ客につかまったセラピストからの連絡で現場に駆けつけて壮絶な光景を目にするのでした。

お気に入りの男の子を独り占めしたいという厄介な女心を感じる出来事を通じて、彼女は思うのです。「お金を払うセラピストに どうしてあんな剥き出しになっちゃうんだろう」彼女たちが求めるのはマッサージ以上の何かなのでしょう。

経験ゼロだけど男性に身体を触ってほしい、体験してみたいという切実さ

男性経験がないまま20代を終えることに恐怖を感じる女性からの予約。セックスを体験してみたいという欲望のために女性用風俗を使うなんて恥ずかしい、みんなは普通に恋愛して経験していることなのに、と自分を惨めに感じる彼女の心をときほぐすのはベテランセラピストでした。

「初めて(厳密にはマッサージだけなので違いますが)が女風って沼りそうですよね」というそのの言葉に、先輩スタッフは「意外とそうでもないよ ただ処女捨てたいだけの人が多いから」とさらっと答えます。セラピストを独り占めしたい女性たちとは違って、体験することだけを求めているんですね。

マッサージで快感を与えるだけでなく、誰にも見せられない悩みや激しい恋心まで受け止めるのが女風の世界。そのは利用客からの感謝のメールを見て「また一人 世の女性を救ってしまったわ」とニヤニヤします。女風があることで幸せになる女性たちがいるのです。

執筆:ネゴト /大槻由実子

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