その時間があればこの名作が読めますよ! 可処分読書時間で選ぶマンガ特集
急な環境の変化に疲れてしまう人や5月病のようなだるさを抱える人が多い時期。マンガ好きの方でも、感情を大きく揺さぶる作品やハードな展開のアクション作品なんかに没入するのが難しくなるものです。
ここではそういう余裕のない暮らしに寄り添った、サクッと読めて疲れない、むしろ読むことでちょっと元気が出るマンガを集めました。誰かの生活のようすを読むことでちょっと笑える、じんわり癒やされる作品たち。
休憩、移動、なにかの待ち時間などにぴったりなマンガを時間別でご紹介
【1分】『あたしンち SUPER』
JR山手線でほんのひと駅、1分あればクスリと笑わせてくれるのが「あたしンち」シリーズの最新作『あたしンち SUPER』。
母、みかん(姉)、ユズヒコ(弟)、父で構成されるタチバナ家のなんでもない日々を眺める本作。過去アニメにもなっており懐かしく感じる方もいると思いますが、あらためて読むと「わかる!」の連続で豊かな観察眼に驚かされてしまうはず。
『あたしンち SUPER』©けら えいこ/朝日新聞出版
第1巻 第18話より
見開き2ページ15コマの1話完結。1分で読めるのに心が軽くなったり、ふと何かに気付かされたりして「なんかいい時間すごしちゃった」という後味を与えてくれます。
【3分】『小学生男子は本日も晴天なり!』
カップラーメンを待つ間ならこれ! 作者の家庭内で起こったことを描いたエッセイマンガなんですが、こんな家族の一員になりたいと願わずにはいられない。
こちらも4コマが連なっていくタイプでさらりと読みやすく、息子がとにかく元気でいいヤツすぎる! まさに「晴天」という言葉が似合う君、どうかこのまま健やかに育ってくれよな。ちなみに、青い生物として描かれているのがこの家の父(作者)です。
『小学生男子は本日も晴天なり!』©ひこちゃん/KADOKAWA
とくにわたしは各話の合間にはさまれる1コマ〜の小話コーナーがたまりません! ああ、子どものすごす時間ってこんなにかがやいてるんだとなんだか勇気づけられます。
『小学生男子は本日も晴天なり!』©ひこちゃん/KADOKAWA
ラーメン食べたら外に駆けだしてしまおうか?
【5分】『ワンナイト・モーニング』
コーヒーブレイクやタバコ休憩など大人の空き時間には『ワンナイト・モーニング』。「一夜をともにした相手と食べる朝ごはん」をテーマにしたラブストーリー短編集です。
5分もあれば読める一話ごとの読み切り形式でありながら、ゆるやかに「その後」が描かれることもあり、ワンナイトと言いつつあたたかい人間のつながりを味わえて読後感もさわやか。
『ワンナイト・モーニング』©奥山ケニチ/少年画報社
第1巻 MENU1より
なんといっても出てくる食べ物がどれもおいしそう。サンドイッチ、そば、肉まん、牛丼、お茶漬け……身近なごはんがものすごく食べたくなるので、読むタイミングにはお気をつけくださいね。
『ワンナイト・モーニング』©奥山ケニチ/少年画報社
第2巻 MENU9より
【15分】『ギャルと恐竜』
お昼休みの昼食後の残り時間や、仕事・学校帰りの電車やバスで疲れを癒やすなら『ギャルと恐竜』。ギャルの楓ちゃんの前にある日とつぜん現れた恐竜くん、ふたりのおだやかな生活を眺めるマンガです。
文字量が少ないため頭を使いたくないときにも読みやすく、シンプルな造作なのに豊かな表情を見せる恐竜くんに心が癒される。やめられない考えごとをやめるのにもいいですよ。
『ギャルと恐竜』©森もり子・トミムラコタ/講談社
第1巻 第3話より
1話1話は短いのですがついつい続きを読んでしまい、気づけば15分くらい経っているはず。恐竜くんの言葉のないやさしさに包まれてみてください。
『ギャルと恐竜』©森もり子・トミムラコタ/講談社
第2巻 第25話より
【30分】『二匹目の金魚』
眠る前のひとときやちょっと遠めの電車移動など少しまとまった時間があるときには、短いけれど読みごたえある『二匹目の金魚』を。自分の知らない日常に迷い込むような短編集です。
作者のpanpanyaさんは生活におもしろさを見つける天才とでも言いましょうか、どこにでもある風景へのまなざしが鋭くて、さまざまなシーンでハッとさせられます。
『二匹目の金魚』©panpanya/白泉社 「かくれんぼの心得」より
日常だけどときどきファンタジー、というか、わたしが見てる世界って実はすべて幻想なのかも? と思わされる。読んだ後は目の前の景色の見えかたがちょっとだけ違う気がします。
【60分】「アフロ田中」シリーズ
洗濯機を回している間や晩酌・半身浴のおともにしたいのは、現在連載中の『マイホームアフロ田中』をはじめとする「アフロ田中」シリーズ。おもしろくてなかなか止められないので、できれば60分はほしいところです。
田中広(ヒロシ)の日常が描かれるギャグマンガで、ずっとバカバカしくって笑えるのにたまにジーンとくる。むむ、なんだか最近つらいぞ、というときに読むとほんのり復活できます。
『マイホームアフロ田中』©のりつけ雅春/小学館 第1巻 第1話より
ああ、35歳の田中もいまを精いっぱい生きている。
うれしいことにシリーズ全体で60巻以上あり、「しんどいときはアフロ田中の未読シリーズをワーッと読むんだ」と決めておくと読んでいないときもお守りになります。いつも心にアフロ田中!
1分あれば元気をもらえる
さて時間別に紹介したのですが、実際に読みはじめてしまうとおもしろくて決めた時間以上に読み込んでしまうと思います。しかしなにより大事なのは、1分でも時間があればこうしてマンガに元気をもらえるというのを知っておくことです。
余裕がなくガッツリとマンガにはまり込むのが難しい状況にあるときにこそ、ちょうどいいマンガがあります。いつでもスマホを取り出せばそこにマンガがある……このことをぜひ、覚えておいてください。