『飼ってない猫』野良猫に激愛され不法侵入される女の(猫と)相思相愛な日常
猫には3種類いる。飼い猫、外猫、そして「飼ってない猫」。エサをやったことはないし飼うと決めた覚えもまったくないのに、なぜか家に来て居着いてしまう野良猫たちに翻弄される作者の日常を描いた『飼ってない猫』は、登場する猫たちのキャラが濃すぎるのだ。
表紙の「開けろ開けろ〜!」という声が聞こえてくるような猫たちが、なんだかホラー映画のワンシーンのようだ。「第一の猫」ミケとの出会いはこちら。作者いわく「ブサイク」でいかつい顔をしているメス猫様。
『飼ってない猫』©関口かんこ/講談社 1巻 1話より
初対面以来、ミケに会うたびに声をかけていただけなのに、家の中に入り込まれてしまう。猫だからかわいいけれど、人間だったら、挨拶だけで好意を持たれてストーカー化からの不法侵入。作者はうっかり侵入を許してしまい、勝手にうどんを食べられたりしている。
『飼ってない猫』©関口かんこ/講談社 1巻 1話より
「ドロボウ猫」があまりに堂々と自然に食べているので、作者があげたエサのように見えたが違った…。しかもこれは「第二の猫」トン平(だけどメス)のファーストコンタクト。初対面の人の家に勝手に入って、人のゴハンまで食べるなんて大胆すぎる犯行ではないか!?人間でいったら、あ、まさに泥棒だ。その後、この犯行に悪びれる様子もなく来訪するようになり、激しくボディタッチをしてくるように。
彼女は愛が重いタイプの猫で、作者が仕事に集中したい時も、窓の外からしつこく鳴き続ける。他の猫とたわむれている時も、トン平に遠くから必死に呼ばれてしまう。
『飼ってない猫』©関口かんこ/講談社 1巻 19話より
これは猫の方が粘着体質だからではと思うが、作者は他の猫にも粘着されている。
『飼ってない猫』©関口かんこ/講談社 1巻 番外編1より
網戸を突き破ってまで部屋に入りたがるアグレッシブな猫。こわい、こわいよ!
何がそんなに猫を駆り立てるのか。ここでお伝えしたいのは、作者は猫好きで、野良猫たちにかまってあげているけれど、餌付けしているわけではないこと。餌の魔力がない状態でも、猫から強烈に愛される相思相愛体質らしい。
作者がマッサージをしてあげているだけなのに、勝手にプレゼントを持ってきてくれる別の猫もいる。
『飼ってない猫』©関口かんこ/講談社 1巻 4話より
その後、猫がくれる定番プレゼント・ネズミの死骸も誕生日にもらう。これは見返りのない愛なのか、作者のマッサージのテクがすごすぎるのか。動物は人間の感情を見抜くというから、きっと作者が猫に対してビッグラブなのだろう…。
セリフまで手書きで、落書きっぽいラフなタッチがクセになる本作。人間より猫の方が気合を入れて描かれている気がするし。各話が終わった次ページには、実際の野良猫ちゃんたちの写真が出てくるのだが、本編では目つきや表情がホラーチックな猫も、実物は普通にかわいらしいのに驚く。そこに逆に、猫へのビッグラブを感じるのだ。