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『スノウボールアース』最強の救世主が挑む「人類存亡」と「新たな友情」

「そうくるか〜!」

第1話で怒涛の展開を見せ、読者を沸かせまくった『スノウボールアース』は今もその驚きを更新中です。

スノウボールアース 著者:辻次夕日郎

ロボ!怪獣!バトル!という問答無用のかっこよさと、終末世界でもたしかに育まれる絆のあたたかさ。

『スノウボールアース』では、存亡をかけた人類の戦いがときに刺激的に、ときに感動的に描かれていきます。

レジェンドたちがハマる王道SF

銀河怪獣による侵略の危機にさらされる日本。

幼少期より、自爆ロボットとして開発されたスノウマン「ユキオ」を乗りこなし、世界の「救世主」となった鉄男(テツオ)は外敵との最終決戦の時を迎えようとしていました。

遠い宇宙の果てで苦戦を強いられたものの、見事に怪獣たちを殲滅した鉄男。8年のコールドスリープを経て平穏な地球に戻って来たはずでしたが…というのが物語の始まりです。

「もしも地球を救えていなかったら?」

英雄譚のその後を描いたような物語の幕開けに、グッと心をつかまれます。

『スノウボールアース』の魅力をひとつ推すとするなら、「SF漫画としてのかっこよさ」と「あたたかい世界観」の絶妙なバランスです。

「SF漫画としてのかっこよさ」は言わずもがな…庵野秀明氏・小島秀夫氏・ONE氏・ゆうきまさみ氏・中島かずき氏といった業界を代表するSF好き、ロボット好きのレジェンド達によるアツい帯コメントを読めば、それを疑う余地はないでしょう。

個人的には小島秀夫氏から寄せられた「こんな滅亡なら、むしろ大歓迎だ!」というコメントに首がもげるほど頷いています。というのも、『スノウボールアース』はロボや怪獣のバトルシーンの魅せ方に並々ならぬこだわりを感じるんです。

作者である辻次先生の「ここを見てくれ!」という魂の叫びが聞こえてくるような大胆なカメラワークに目を奪われます。そんな「圧倒的かっこよさ」がほとばしるシーンを目の当たりにすると、まさしく「こんな滅亡なら大歓迎!」といった気持ちが湧き出てくるのです。

画面いっぱいからSFマンガのかっこよさが放たれる本作ですが、人情や友情といったあたたかな雰囲気がそこかしこに漂う抜け感もイイ。

それを成し得ているのは主人公・鉄男の無垢な願いにほかなりません。

弱点は「コミュニケーションスキル」の主人公

「9歳の頃から10年以上負けなしで戦い続けてきた」という圧倒的な戦闘キャリアを誇る鉄男は、この世界の「救世主」として崇め奉られています。

そんな鉄男の思考力と才能が発揮されるバトルシーンは圧巻のかっこよさ!戦果を上げつづけてきた鉄男だからこそ、驚異的なバトルセンスを見せつけられても説得力があります。

さて、ここまでだとどんな敵にも立ち向かえてしまう無双系主人公なのですが、鉄男の弱点は対人スキルがゼロなこと。怪獣退治に半生を費やしたせいでコミュニケーションに自信がない鉄男は、人との距離感がわからず心を折ってしまうような普通の少年なのです。

例え救世主として多くの賛辞を手にしていても、鉄男の望みは友達を作ること。

『スノウボールアース』が終末世界の真っ只中でもどこかやさしい空気を漂わせているのは、「誰かと分かり合いたい」「友達を作りたい」という鉄男の無垢であたたかな欲求にフォーカスしているからだと思います。

鉄男の性格が控えめな分、彼と繋がるキャラクターたちの個性が際立つのも楽しい!

ロボット・ユキオの世話焼きおかん的な性格にホッとさせられるし、生存した人類を守り続けてきた蒼(アオ)は、第2の主人公と言っても過言ではないカリスマ性で読者を魅了します。

優しさと知性に溢れた矧音(ハガネ)、我の強い那由多(ナユタ)など、人間味あふれるサブキャラクター達と繰り広げるアットホームな雰囲気に思わずほっこりです。

人類の存亡は、鉄男の友達作りは、果たしてどんな結末を迎えるのでしょうか。大いなる伏線を張り巡らしながら、物語は進行中です。

ぜひ彼らの冒険を一緒に追いかけてください!

執筆: ネゴト / あまみん

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