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『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』今夜もあなたと話したい。恋人でも友人でも同僚でもない2人が過ごす夜

仕事終わりの至福の時間。あなたは何をして過ごしていますか。

『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』は、仕事終わりに煙草で一服する男女が主人公。

1本の煙草をきっかけに始まった何気ない瞬間が、かけがえのない日々に変わっていく。

働く大人の1日の終わりをコミカルに、そしてロマンティックに描いた話題作です。

スーパーの裏でヤニ吸うふたり 著者:地主

本作は「次にくるマンガ大賞2022」Webマンガ部門第1位を受賞するなど、2022年に多くの読者を魅了した作品のひとつ。ぎゅっとドラマが詰め込まれた1話完結のストーリーに「きゅんとする」と悶絶するファンが後を絶ちません。

バレるのかい?バレないのかい?どっちなんだい?

仕事に忙殺される中年サラリーマン・佐々木さん。彼の楽しみは仕事帰りに立ち寄るスーパーのレジ担当「山田さん」の笑顔を拝むこと。そんなある日、タバコを吸おうと店先で立ち止まった佐々木さんは見知らぬ女性に声をかけられます。

店員らしきその女性に招かれたのは、スーパーの裏口にある喫煙所でした。

佐々木さんを誘った「田山さん」はロックでハードな雰囲気がただよう女の子。

しかしとっつきにくそうな見た目とは裏腹に、いたずら心たっぷりの彼女の言動に45歳のおじさんは翻弄されまくりです。

憧れの店員さんに会いたくてスーパーに足繁く通う佐々木さんと、ミステリアスな田山さん。やがて2人は、深夜のスーパーの裏で煙草片手に語り合う仲となっていくのです。

第1話ですぐに種明かしされるのですが、「田山さん」の正体は佐々木さんが憧れる「山田さん」の素顔です。

彼女がなぜ「田山」として佐々木さんに近づいたのかはぜひ本編でご確認いただきたいものの、兎にも角にも田山さんの正体にとんと気がつかない佐々木さんの様子が本作の癒しポイントのひとつになっています。

そんな佐々木さんに対し「にぶすぎ…」とため息をつくクールな田山さんですが、彼女の「バレる」「バレない」の瀬戸際で揺れ動く心がとってもキュート!ニブいおじさんとあまのじゃくな女の子という、ある意味ウブな2人のやりとりが微笑ましくもありもどかしくもあり…多くの読者がその動向をそっと見守っています。

スローな関係からしか得られない栄養がある

2人が過ごすのは、煙草を1本、2本を吸い終わるまでのそう長くない時間。落ち合う約束を交わすわけでもなく、顔を合わせるタイミングも偶然です。だからこそ「今日はいるだろうか」「今日は来るだろうか」という期待が少しずつ高まってゆく。

疲れきった1日の終わりに会いたい人がいるって、なんてロマンティックなんだろう。

人となりを知りながら徐々に深まっていくスローな関係を眺めていると、荒んだ心が浄化されてゆくのを感じます。

深夜のスーパーの裏、というシチュエーションも秘密めいていてたまらない。深夜テンションで気になる人に電話をかけて後悔する…なんて経験、誰の心の中にも思いあたり節があるはずです。佐々木さんと田山さんの間にも、ドキッとするような展開が訪れることがしばしば。

深夜の空気には人の心を惑わす魔法がかかっているのかもしれません。

見守りたい、この2人

恋愛、友情、尊敬…2人の関係を形容する言葉が簡単に見つからないのも、本作の魅力です。相手に抱くこの感情がなんなのか、本人たちにもわかっていないのかも。恋人でも、友人でも、同僚でもない2人には、どんなドラマが待っているのでしょうか。

喫煙所の壁になった気分でじっくりお楽しみください。

執筆: ネゴト / あまみん

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