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『うるわしの宵の月』かわいさもかっこよさも!王子×王子の恋愛に死角なし!

世の中に恋愛マンガは星の数ほどあります。しかしヒーローもヒロインも「王子」と呼ばれ、そのどちらに対しても、男女問わずほれぼれしてしまうかっこよさにあふれた恋愛マンガは『うるわしの宵の月』だけではないでしょうか。

うるわしの宵の月 著者:やまもり三香

作者は『ひるなかの流星』『椿町ロンリープラネット』など人気連載をこなしてきたやまもり三香先生。第3回ebookjapanマンガ大賞において堂々の第1位獲得。実力も実績もある先生による極上の恋愛マンガです!

王子×王子による尊みあふれるラブストーリー

ヒロインの滝口宵(たきぐち よい)は高校1年生の女の子。ショートカットで背も高く笑顔も少ない。行動も男まさりです。いつしかあだ名は「王子」になり、まったく知らない女の子からプレゼントをもらうこともあります。でも本人にはそんな気はまったくなく、「王子」なんていうあだ名にもしっくりきません。

ヒーローとなる男の子は市村琥珀(いちむら こはく)。宵のひとつ上の高校2年生です。自他共に認めるイケメンで、立派な邸宅にすむ御曹司。こちらは非の打ちどころのない「王子」です。

そんな王子が初対面のときから宵に興味を持ち、ぐいぐい迫ってくるのですから、周囲も読者も宵本人も平静ではいられません。王子×王子の恋の行く末はいったいどうなってしまうのでしょうか……。

主役の二人からあふれ出すかっこよさ

まず目に飛びこんでくるのは二人のビジュアルの格好良さでしょう。琥珀の白髪というのも印象的ですし、宵の制服はタイトスカート。初登場のとき、ヘッドホンをつけているのもクールさを際立たせています。

行動もチクイチかっこいいです。宵は徒競走で転んだ女の子をお姫様抱っこしたままゴールしたり、店員さんが迷惑なお客さんにからまれているところにわって入ったり。男でもひるんでしまうような場面でも、思いたったらまず行動してしまうタイプです。

琥珀は琥珀でまさに「王子」を地で体現しています。宵とはじめて出会った場面では、上階からひらりと飛びおり、ぶつかってうしろに倒れた宵のあごに手をそえ、顔色ひとつ変えずに「あんためちゃくちゃ美しいな」なんてセリフを言うのですから。こんなことが言えるのは王子しかいません。

見た目、行動ともにふたりともかっこいい。そんな二人が恋愛するのですから、まるで宝塚で見ているかのよう。夢見心地とでもいうのがぴったりなのです。

かっこいいのにかわいいヒロイン

そんなあふれるかっこよさだけでも十分魅力的ですが、この作品はそれだけでは終わりません。ヒロインの宵は「かっこいいのにかわいい」のです。

女の子から頻繁にプレゼントを渡され、毎回素直に受けとっていますが、それは断ることができないから。自分の家がカレー屋であることを恥ずかしがる思春期の女の子らしい一面もあります。「王子」なんて呼ばれてしまっているせいもあって、これまで男性と付き合った経験はありません。声も低めで男顔な自分がヒロインに向いていないという自覚もあります。

外向きには男まさりで、「王子」な風格をたずさえながらも、中身は悩める普通の女の子なのです。

そんな宵に気持ちをよせるのは百戦錬磨の「王子」です。誠実にことばをつむがれて一途にせまられれば気にならないわけありませんし、「オレの前じゃ王子じゃなくていいんだからさ」なんて言われた日には、読んでいるこっちまで赤くなってしまいます。

琥珀の強引さは、周囲によってつくられた「王子」のイメージをガラガラと崩壊させ、宵を一気にヒロインのポジションに引きよせてくれます。そこで垣間見られる宵の表情は、普段はなかなか見られないこともあって何倍にもかわいさを際立たせるのです。

「かっこいいのにかわいい」というおおよそ考えられない二つの要素がまじりあい、これでもかとあふれ出しているのが『うるわしの宵の月』の最大の魅力なのです。

尊さの塊のような二人を見届けよう!

通常であれば「かわいいけどドジっ子」「美人だけど性格がわるい」など、プラスの要素とマイナスの要素を組みあわせ、完璧じゃないがゆえに読み手にとって共感できるキャラクターを作ることが多いものです。

しかし今作においては、本来どちらも読み手にあこがれと同時に自分との距離を感じさせるはずの「かっこよさ」と「かわいさ」という要素をかけあわせることによって、そこにギャップをうみ、大きな共感を作り出しているのです。

そんなかっこよくもかわいい二人を主役にして、熟練の技術によってドキドキの恋愛模様がくりひろげられるのですから面白くないはずがありません。皆様にもぜひともこの尊みを感じていただければと思います。

執筆: ネゴト / たけのこ

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