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『きみの横顔を見ていた』主人公が全員片想い中! 高校生たちの成長をリアルにつむぐ青春群像劇

いちのへ瑠美先生の『きみの横顔を見ていた』は、4人の高校生が織りなす、青春群像劇です。そして全員が、絶賛片想い中! 

いちのへ先生の前作、『きみはかわいい女の子』と同様に、本作も恋愛ドラマだけにとどまりません。「いま」を生きる青年たちの、リアルな感情が描かれます。

たとえば、人間関係によって生じる、憧れと羨望、そして劣等感…。これらの気持ちひとつひとつに、彼らはどう向き合っていくのでしょうか。そんなところも、見どころのひとつです。

この記事では、恋愛マンガにして、人間ドラマでもある『きみの横顔を見ていた』を、ご紹介します。

きみの横顔を見ていた 著者:いちのへ瑠美

わたしは「平凡」で武装する

本作は、2022年9月に第1巻が発売されました。主人公は、高校1年生で同じクラスの男女4人。物語は、ひとりずつ自己紹介をするように、進んでいきます。

まず登場するのは、自らをごくごく平凡だと信じて疑わない、森光(もりひかり)。

幼い頃から彼女の隣には、同級生の麻里(4人のうちのひとり)がいます。誰もが振り返る容姿をもつ麻里。周りの目はいつだって、隣の友人に向いている、それが光の日常です。

そんな環境が、「わたしは平凡」と唱えさせ、納得させようとします。

「ふつう」「平凡」=「パッとしない」「取り柄がない」

光は…いいえ、きっとわたしたちだって、知らないうちに、こんな等式を思い浮かべる事があるはずです。

あなたの中では「そう」かもしれない、でも

「ふつう」や「平凡」って、何でしょうか? 

もちろん、辞書をひけばそれなりに答えは載っています。でも、知ったところで、それはあくまで主観であって、なんなら、幻想のような気さえします。

作中で、光の日常を垣間見たわたしには、到底「平凡」だなんて思えなかったのです。

吹奏部に所属する彼女は、個人練習を欠かしません。1年生なので、表舞台へ出ることは少ないはずですが、彼女にとって、そんなことは関係ないのです。クールにみえて、熱を秘めています。

そして、極度の人見知りである、麻里への気づかい。これも、もうひとつの魅力といっていいでしょう。相手の気持ちを想像し、嫌味なく、あくまでサラッと支えます。

他にも、あげ出したらキリがない。たくさんの魅力に溢れています。だとしても、彼女の中では「そう」なのですよね。

染みついた呪いを、はらって

誰しも、自分のことが1番わかりません。だからこそ、(使い古された標語のように)「あなたの平凡は、誰かの特別」なんてことが、きっとあるはずなんです。

美人で華のある麻里を、羨ましく見つめ続けた日々。そこに歪んだ気持ちはなく、一歩引くことで「脇役」が染みついてしまった光。

そこから救いあげてくれたのは、いつも彼女のがんばりを見ていた友人や先生でした。

あるとき、「いつも通り」を決め込もうとする光に、吹奏部の顧問が伝えたセリフが印象的です。

「あなたは本当はどう思っていて どうしたいと思っていますか? 」

自分を知るのは本当にむずかしい事ですが、信頼できるひとたちの何気ないひと言で、わかることがあります。

それを、素直に受け止められるのも光の良さのひとつ。

この言葉をきっかけに、恋、友情、部活への向き合い方が変化していきます。

友情、勉強、片想い…青春はいそがしい!

「平凡」に意味をもたせた光の次に登場するのは、やさしいお調子者の大谷。そして、極度の人見知りの麻里、学年イチのモテ男子の朝霧へと続きます。

青春の真っ只中を生きる4人。それぞれが、恋や友情に悩み、考え、どう行動していくのでしょうか。そして、それぞれの片想いは、実るのでしょうか。

今を見つめ、もがく彼らの今後が、ますます楽しみな作品です。

執筆: ネゴト / みっちー

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