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前代未聞のPTAマンガ『PTAのとも ヤンギャルママ春名さん参上!』はママたちの希望のマーチとなりえるのか

現在、多くの公立小・中学校で採用されているPTA活動。とりわけ役員や委員担当者の負担は大きく、SNSで保護者たちの阿鼻叫喚が投稿されることも少なくない。

『PTAのとも ヤンギャルママ春名さん参上!』では、あすなろ小学校の「地獄の行事委員」の365日を通して、PTA活動の問題点がときにシリアスに、ときにコミカルに描かれている。

PTAのとも ヤンギャルママ春名さん参上!(合本版) 著者:キャンディーサトウ

困った人を放っておけない、ド派手ギャルママ参上!

主人公の春名ともは、PTAの行事委員に選ばれた同じクラスのママ・シオリをサポートするべく委員に参加するという、前代未聞の行動を起こしたギャルママだ。

暴走族を仕切っていたカリスマ性とアツい人情で、不穏な空気の行事委員を盛り立てながら、あすなろ小学校のPTA活動に変化の兆しをもたらしていく。

物語のクライマックス、ともは「愛情搾取」という言葉でPTA活動に奔走するママたちの現状を痛烈に訴える。この発言に至るまでの行事委員の365日を知れば、誰もがともに拍手をおくりたくなるはずだ。

PTAは、365歩のデスマーチ?

専業主婦とワーママが入り混じるミーティングは、ギスギスすることこの上ない。女の園扱いで関与する気がゼロの夫には嫌気がさすし、学校の見栄のために行事の縮小を許されない空気にはうんざりだ。

なにより、運動会や学芸会に加え、ところせましと計画された四季折々の行事のおかげで休日返上の作業にあたることまである。

手探りで1歩ずつすすんできても、1年後にはチームが解散してしまうという虚しさ。そんな虚しさに負けず、こどもたちのためにと闘い続けるママたちの姿に胸をうたれてしまう。

これはマンガだし、フィクションだから、と侮るなかれ。PTA活動の闇はいまや社会問題。改善に乗り出し、ニュースになった学校もある。『PTAのとも ヤンギャルママ春名さん参上!』には、実際にPTA活動に貴重な時間を捧げてきたママたちの汗と涙が凝縮されているのだ。

ともを中心に前例を覆しつづける行事委員と、それを憎く思う潔癖のPTA会長との衝突もみどころのひとつ。ちょっと救いようのない会長だけど、そこをコミカルに魅せるのは笑いを愛してやまないキャンディーサトウ先生ならではだ。

多くのハードルを乗り越えた1年の総決算。

ともの「愛情搾取」発言をきっかけに、あすなろ小学校がゆれ動く!

ママたちが奏でる希望のマーチ

ママたちが歩んだ足あとに、きれいな花が咲いていく。単にPTA批判で終わらない最終回からは、そんな希望をたしかに受けとった。

本作はPTA活動に励む保護者への応援歌でこそあれ、委員をやらない決意をした人を否定した内容ではない。どの立場の保護者からもフラットに楽しんでいただけるはずだ。

痛快&爽快な読み心地の『PTAのとも ヤンギャルママ春名さん参上!』。ぜひラストまで楽しんでください!

執筆: ネゴト / あまみん

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