ebook japan

ebjニュース&トピックス

漫画から知る釣りの魅力とリスク管理『放課後ていぼう日誌』

コロナ禍で釣りがブームになりましたよね。ちょっとやってみたいけど、どうしたらいいかわからない…。そんなちょっぴり慎重派のあなたにオススメの、釣り初心者の主人公と一緒に釣りを学べる最高のマンガがあります。

それがこちらの放課後ていぼう日誌。

放課後ていぼう日誌 著者:小坂泰之

初心者でも釣りの楽しさ、おいしさ、危険を楽しく知ることができ、めちゃくちゃ釣りに行きたくなり、めちゃくちゃアジフライが食べたくなる最高の作品です。

また、玄人であっても初心を思い出し、さらに釣りが好きになるきっかけになる作品でもあります。そんな本作の魅力を、マンガ好きであり釣り好きでもある私があなたにお伝えいたします。

まずは概要から。

初心者だから伝わる釣りの楽しさ

本作は、全く釣りをしたことがなく、生物も苦手な鶴木陽渚(つるぎひな)が、釣りをする部活「ていぼう部」で釣りをする物語。

都会から海沿いの田舎町に引っ越してきたことで釣りと出会い、釣りにハマっていく様子が描かれています。

陽渚は生き物に触るのも嫌いで、釣りとの出会いも決して良いものではありませんでした。最初の頃は釣れる魚にも触れるのをいやがっており、ていぼう部にもとある理由から渋々入部。

そんな主人公じゃ釣りとか生臭くてできないんじゃない?と思うかもしれませんし、読む前の自分もそう思っていました。なんなら、また女子高生におっさんの趣味をやらせたのか…と少しだけ敬遠もしていました。

ですが、それは間違っていたと読み進めているうちに思います。

なぜならば、釣りに全く触れてこなかった主人公だからこそ、初心者にも伝わりやすく、一緒に釣りというレジャーの楽しみを存分に伝えられているから。

陽渚が釣りに対して新鮮な反応をするので、読めば釣りに行ったことがない方も釣りに行きたい!と思わせてくれます。

釣りに行ったことがある人は、その初々しさでさらに釣りに行きたくなることでしょう。

そういえば、私も釣りを始めたころは陽渚と同じようにエサを触るのは生臭くて少し苦手でした。では、そんな陽渚はどのように成長して釣りにハマっていくのでしょう。

釣り初心者あるあると女子高生の成長記録

釣り初心者あるあるだらけの本作。初めて釣りに行くとこういうことが起きるのか!ということを、陽渚と一緒に体験することが出来ます。

例えば、第2話のサビキ釣りのシーン。サビキ釣りは多くの釣り紹介でも初心者向け、子供も出来るファミリーフィッシングと紹介をされており、実際釣り方も簡単で釣り入門にはピッタリ。筆者も釣りを初めてやって楽しいと思ったのはサビキ釣りですし、やはり初心者を初めて釣りに連れていくならサビキ釣りを選ぶでしょう。

たくさんの針に魚がかかっている様子は初心者から見れば楽しそう!と思えますし、玄人も初心者だったころを思い出せる、まさに釣り”あるある”のひとつと言えます。

そして、魚がかかった時の竿の振動。ひなが初めてアジを釣った時の背景は電流が走ったような描写ですが、これが大袈裟でなくほんとうに電流が走ったかのように竿が振動するのです。

ゲームセンターでの釣りゲームなんかも最近はありますが、実際の釣り以上の電撃は味わうことは出来ません。命を釣っている、と思わせてくれる振動です。ゲームと違って本当に突然来るので、リールを巻くのもすごく焦るんですよね。あまりに焦ってリールを巻きすぎて、竿先が折れることもあるくらいです。

そんな本作は初心者あるあるとともに、女子高生の成長記録としても非常に楽しく読むことが出来ます。最初はていぼう部の活動も渋々参加している陽渚ですが、次第に釣りの魅力にハマり、自ら釣りに行くようになります。

魚にも段々と触れるようになり、拙いながらも三枚おろしにも挑戦したりするなど、負けず嫌いな性格もあって日々たくましく成長。

自らトラウマを克服しようとする次のようなシーンも。

60cmのマゴチという魚を釣った時のあまりの引きの強さに、大きな魚を釣ることがトラウマになっていた陽渚。しかし、そのトラウマを克服しようと泳がせ釣りという大物を釣るための釣りに挑戦するのです。

さらりと描写されていますが、この変化に成長をとても感じます。

思っていた高校生活と違う…と最初は思う陽渚ですが、苦手ながらも腹をくくって克服しようと成長する姿は、釣りだけじゃないこの作品の魅力の一つ。

自分ももう少し頑張ってみようかなと前向きな気持ちにさせてくれます。

さて、お次は釣りと言えばのおいしい料理のお話。

釣った魚はおいしく食べる!ただしトドメは自分で刺す

本作の魅力として外せないのは、やっぱりおいしそうな料理。ていぼう部は「釣ったら食べる」をモットーに、魚をおいしく調理します。クロダイ(チヌ)の刺身、アジフライ、エソのさつまあげなどなど、本当においしそうな魚料理が盛りだくさん。

釣った魚の料理は格別で、ていぼう部員たちが「うまー!」と叫んでしまうのも納得。刺身は格別で、釣りたて新鮮、自分が釣った達成感も一緒になってそれはもうおいしいのです。

しかし、そのおいしい料理も無条件で食べられるわけではないということを、しっかりと示すエピソードも。

自分で釣ったマゴチという魚を部長に捌けと言われる陽渚。しかし、捌くことはできないというと、部長は他の部員に捌くのだけは任せますが、トドメを刺すことだけは釣ったことの責任として自分でやれと言います。

トドメを自分で刺すという責任の上のものであるというのが、この作品がただゆるいだけじゃなく釣りを大切にしているところ。

魚にも命があって、釣りというのはそれを奪う行為である以上、釣ったからにはせめて自分で殺して責任を取るのが命に対する礼儀である。初心者の陽渚を通して、その礼儀をしっかりと学ばせてくれます。

釣りを通して食育にも繋がる考え方を学べますね。何か学びがあると言うのはいい作品の証拠かもしれません。

さて、次はちょっぴり危険なお話。

楽しい釣りの中の危険

釣りはとても楽しくおいしい一石二鳥の素敵なレジャー。しかし、危険なことが多いレジャーでもあります。

ハオコゼという魚をご存じでしょうか。普通に生活しているとあまり聞くことのない魚の名前ですが、釣り人の多くが知っている名前です。なぜなら、毒持ちの魚の割に簡単に釣れてしまうことがあるから。

サビキ釣りは初心者向けの釣りですが、堤防などでサビキ釣りをしている時にこのハオコゼが釣れてしまうことがあります。

毒があることを知らずにそのハオコゼを触ってしまうと、激痛に襲われ、病院へ行く必要が出てくることも。また、ゴンズイやアカエイと言った魚も毒持ちの割に釣れてしまうことがあり、知らなかったではすまされない場合も。

えっ、釣り怖い…と思われるかもしれませんが、そのあたりも大丈夫。放課後ていぼう日誌で学ぶことが出来ます。

毒魚の被害に遭わないための一番の回避策はどんな魚にどんな危険があるのか知ること。

バリという毒魚を釣る回では、ハオコゼも含めた堤防などでもよく見かける毒魚を知ることが出来ます。

釣りに行って初めて毒魚を釣ってしまった時にはこちらを思い出して、落ち着いて行動しましょう。とはいえ、いざ釣れてしまうと焦ってしまいますが…。

私が主に釣りをしていた北海道では毒魚が釣れることはあまりなかったのですが、関東に引っ越してきてからは思った以上に釣れてしまいました。なので、ちゃんと知っておく必要があるんですね。

紹介されている毒魚の他にも、クサフグ、キタマクラなんかも良く釣れてしまうので気を付けたい魚です。

本作では毒魚を知るのはもちろんのこと、ライフジャケットの着用など、釣りをする上での危険を回避するための方法を知ることができます。

ちなみに海上保安庁によると、年間100人前後の方が釣り中に死亡や行方不明になっているとのこと。必要以上に怖がる必要はありませんが、やはり気を付ける必要がありそうですね。

誰でも釣りに行きたくなる名作

楽しく、おいしく、時には危険もある釣り。

釣りを徹底的に初心者目線で描きつつ、コミカルでかわいいだけじゃない魅力に引きずり込まれる名作『放課後ていぼう日誌』。

初心者のあなたも、玄人のあなたも読んだら釣りに行きたくなります。

まずはちょっとだけ触れてみてはいかがでしょう。

執筆: ネゴト / マンガおにいさん

関連記事

インタビュー「漫画家のまんなか。」やまもり三香
漫画家のまんなか。vol.1 鳥飼茜
完結情報
漫画家のまんなか。vol.2 押見修造
インタビュー「編集者のまんなか。」林士平

TOP