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『猫将軍ツナヨシ』かつての犬公方・徳川綱吉が猫に転生するハートフルコメディ

篠原烏童先生は『天使の心臓』、『1/4×1/2 R』等で愛らしい動物と人間の温かい交流を描いており、本作『猫将軍ツナヨシ』でもその魅力が発揮されています。

「ツナヨシ」と聞くと多くの方は歴史の授業で習った江戸幕府第5代将軍・徳川綱吉を思い浮かべるかと思います。

「生類憐みの令」を出し「犬公方」と呼ばれた彼は本編ではどんなキャラとして描かれているのでしょうか?

猫将軍ツナヨシ 著者:篠原烏童

徳川綱吉、猫になる!?

物語の舞台は現代の日本で徳川家ゆかりの地である埼玉県川越。

何故か捨て猫に転生した徳川綱吉が、現代の一般男性に転生していたかつての側用人・柳沢吉保と再会し「ツナヨシ」という名前で吉保の下同居生活をしています。(ちなみに柳沢吉保の現代名は柳沢ヨシヤスです)

お互いに過去の記憶を持ち、猫になっているにも関わらずお互い会話が可能で、かつての様にヨシヤスはツナヨシを「上様」と呼び敬語で話し慕っており、外見の主従関係は逆転していても精神的な主従関係は過去のまま。

とあるアクシデントでしっぽの先が割れ猫又になりしっぽから不思議な力を出せる様になったツナヨシはその力を使って身近な範囲で世直しをしながら「猫将軍」として現世を生きることを決意します。

どのシーンを見ても癒される

将軍という堅そうなイメージからかけ離れたぺしょぺしょの顔で愛嬌のある姿をしているツナヨシ。

時にはやる気が空回りしたりハプニングに見舞われたりと色々ありますが、最後は必ず一件落着!なオチがついていることと、動物も人も分け隔てなく寄り添う姿から読む人をほっとさせます。

ヨシヤスも癒し系眼鏡男子に転生して柔らかい物腰で人々と接しているのでそれを見るのも合わさって2倍癒された気分!

歴史を多面的に見る

学生時代に徳川綱吉について勉強した当時は「生類憐れみの令」を出したことに関して「人間よりも犬や動物のことが優先なの?」と懐疑的な印象を受けていましたが、本編や作者の篠原先生のあとがきで実際は「動物の殺生禁止」だけが出された訳ではなく、「身分に関係なく病人は籠に乗って良い」等現代の人の福祉政策に通じることに関する法令も混在していたという事実を知り「歴史の一部の情報だけを全ての事実と思い込んではいけない」と考えさせられました。

本編のツナヨシとヨシヤスは本当に優しく慈愛に満ちた人物像として描かれ、優しい世界が広がっています。

小さく愛らしい猫のツナヨシと優しいイケメン男子のヨシヤスが繰り広げる世直し劇に刮目せよ!

執筆: ネゴト /

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