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『EVOL(イーヴォー)』能力に目覚めた少年少女はヒーローに反旗をひるがえす!

この世界を滅ぼしてしまいたい。子供のときには誰もが一度はそんな強い不満にかられたことがあるでしょう。では実際に世界を滅ぼすことができる力が自分に備わっていたら? そんな物語を力強いタッチで描いたのが今作『EVOL(イーヴォー)』です!

EVOL (イーヴォー) 著者:カネコアツシ

『EVOL(イーヴォー)』はヒーローに対する叛逆の物語

街には超人的な力をもったヒーローたちがおり、日々、平和を守るため活躍していました。そんな街で生きるのに絶望した少年と少女2人は各々に命を絶とうと試みます。結果は未遂に終わりますが、しばらくして自分たちにまるでヒーローが持っているような「能力」に目覚めたことに気がつきます。

多くの市民には感謝されているヒーローたちでしたが、おのれの信じる正義のためなら冷酷無比につきすすむ性格をしているだけでなく、裏では市長と癒着し、市長のために正義とはかけはなれた汚い仕事もしていたのです。

家族にも見放され、街の人に追いつめられ、だんだん居場所がなくなっていくなかで、少年たちは自分たちが能力を持った意味を考えます。世界を救うのはヒーローの仕事のはず。自分たちに課された責務があるとすれば、それは世界を滅ぼすことに違いない。そう決意し、少年たちはヒーローに対して反旗をひるがえしていくのです。

考えさせられる「正しさ」の意味

『EVOL(イーヴォー)』に出てくるヒーローは街を守る存在であり、必ずしもわるい存在ではありません。やりかたは強引なこともありますが、つねに「正義のため」という行動理念に突き動かされています。また能力を持って生まれたからには、果たすべき使命があるはずだという強い思いも持っており純粋かつ崇高な存在ということもできるでしょう。

しかし正義というのは一面的なものにすぎません。同じ行動があったとしても立場が変わればまったく見えかたが違ってきます。ヒーローに反旗をひるがえす主人公たちは、いっけん悪の立場ですが、ヒーローと同じように自分に与えられた能力の意義を問いつめ、己の信じる正義をつらぬこうと決めただけの純粋な存在なのです。

「正しさ」とはなんなのか。『EVOL(イーヴォー)』からはそんな強いメッセージを受けとることができるのではないでしょうか。

自らが持っている「正しさ」を疑え!

己の「正しさ」に疑問を持ったとき、フラストレーションのはけ口が見つからないとき。『EVOL(イーヴォー)』という作品があなたのヒーローになってくれるかもしれません。

執筆: ネゴト / たけのこ

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