『ダンス・ダンス・ダンスール』バレエを志す少年の奮闘と成長の物語
現代まで数多くのバレエマンガが世に出ていますが、その大半は女性のバレエダンサーを題材にした作品であり、男性バレエダンサーが主人公というのは比較的少なく、『ダンス・ダンス・ダンスール』は数少ない男子バレエを題材にした作品の一つです。
あらすじ
小学生の時に姉のバレエ発表会の舞台でゲスト出演した男性バレエダンサーの踊りを目にして雷に打たれた様な衝撃を受けた主人公・村尾潤平。
引用元『ダンス・ダンス・ダンスール』ジョージ朝倉先生・1巻・1話より
バレエを習いたいと言う希望も束の間、アクション監督の父が逝去したことでその情熱を閉ざし、ジークンドーを習う普通の男子中学生になっていった。
いつしか「男らしくないことはカッコ悪い」という考えを持つようになっていた潤平の前に同級生の五代都が現れ、彼のバレエの素養を見出し自身の母親・千鶴のバレエスクールで一緒にバレエをしようと誘われる。
引用元『ダンス・ダンス・ダンスール』ジョージ朝倉先生・1巻・1話より
更に都のいとこでライバルとなる同い年の天才バレエ少年・森流鶯(るおう)との出会いによって、バレエへの情熱に拍車がかかりバレエへの道に進むことを決意する。
引用元『ダンス・ダンス・ダンスール』ジョージ朝倉先生・5巻・48話より
魅力的な絵柄で見せるダンスシーン
作者であるジョージ朝倉先生の絵のタッチはスラリとした手足、指が特徴的でバレエダンサーのスタイルに凄くマッチしておりバレエマンガの魅力が引き出されています!
引用元『ダンス・ダンス・ダンスール』ジョージ朝倉先生・5巻・49話より
ダンスシーンの細やかな描写も多く、うっとりしてしまうこともしばしば。
またジョージ朝倉先生が少女マンガ出身でかつバレエマンガなのもありスクリーントーンを多用した華やかさが全面に出ていた画面作りが多かったものが、巻を追うごとに黒いベタを全面に使う場面が増えて行きます。
引用元『ダンス・ダンス・ダンスール』ジョージ朝倉先生・20巻・174話より
これは潤平自身がダンサーとして会場の舞台に立つ場面が増えたことと同時に、華やかさや楽しさ、無邪気な気持ちだけではやっていけないバレエの厳格さや神聖さ、真摯にバレエと向き合うようになった精神的な成長を表現している様にも感じ取れます。
中心人物以外のキャラにも注目!
『ダンス・ダンス・ダンスール』は潤平を中心とした思春期の若者達が軸となる物語ではありますが、彼らを支える大人達や周囲の人物にも物語があります。
引用元『ダンス・ダンス・ダンスール』ジョージ朝倉先生・15巻・132話より
それぞれの登場人物の掘り下げを見ている内に自分を重ねて親近感を抱いたり、芸術への視野が開けるきっかけのエッセンスが散りばめられているので取りこぼすことなく注目して欲しいです。
引用元『ダンス・ダンス・ダンスール』ジョージ朝倉先生・12巻・110話より
「呪い」からの脱却を目指して
ソ連時代にトッププリマを目指すも挫折しロシア至上主義で日本のバレエを否定する祖母から徹底的にバレエを心身に叩き込まれた流鶯、千鶴から期待されていないと知りながらもバレエを続ける都、後に潤平が移籍することになるバレエ団「生川はるかバレエ団」の主催・生川綾子の娘という立場であることに反発心を覚える夏姫(なつき)。
それぞれ呪いじみた悩みを抱えながらも真摯にバレエに打ち込んでいます。
バレエへの想いを封じていた頃の潤平が世間一般的な「男らしさ」という呪いから脱却した様に、皆もバレエを通じて呪いに縛られずに自分らしさを発揮して欲しいと願わずにいられません。
引用元『ダンス・ダンス・ダンスール』ジョージ朝倉先生・16巻・142話より
瞬きする間も惜しい程の情熱と煌めきを放つ潤平達の成長を是非その目で確かめて下さい!
MBS/TBS系 全国28局ネット「スーパーアニメイズム」枠にてアニメも絶賛放送中なので、そちらも要チェックです!