ebook japan

ebjニュース&トピックス

『その着せ替え人形は恋をする』自分の「好きを貫く」! 雛人形&コスプレに偏愛を捧げる男子高校生&オタクギャルの青春ラブコメ

月刊「ヤングガンガン」にて連載中の福田晋一先生による『その着せ替え人形(ビスクドール)は恋をする』。

2022年1月にアニメ化もされた今話題の本作は、雛人形を愛する男子高校生とコスプレに憧れるオタクギャル。彼ら二人が織りなす「好きを貫く」青春ラブコメとなっています!

その着せ替え人形は恋をする 著者:福田晋一

好きなものへの愛を貫く!『その着せ替え人形は恋をする』あらすじ

本作の主人公は五条新菜(わかな)。雛人形の頭師に憧れる彼は、幼い頃からその魅力に憑りつかれている普通の男子高校生です。

ですがその熱烈な愛故に同級生と一切話が合わず、彼は高校でも友達がいない「ぼっち」。

皆と趣味や好きなものが違うことをコンプレックスとしていた彼は、ある日ひょんなことからクラスメイトである喜多川海夢(まりん)と関わるようになります。

ギャルのようなルックスですが、明るく溌溂としていて誰とでも分け隔てなく接する海夢。

彼女が何気なく発した「人の好きなものをバカにするな」というセリフを耳にした新菜は、その発想に憧れる一方で、やはり彼女は自分と真逆の人間だと改めて痛感するのです。

そんなある日、学校の被服実習室でばったり鉢合わせる二人。

滅多に人の来ない実習室に海夢が現れるとは思いもよらず、慌てた新菜はうっかり彼女の前で自分の雛人形愛を露呈してしまう形に。

しかし彼の雛人形愛を否定するどころか、肯定の言葉でそれを受け入れる海夢。前向きな発言に勇気を貰う新菜ですが、その直後海夢の趣味が「コスプレ」だと知り衝撃を受けます。

さらに海夢からの必死の依頼で、彼女のコスプレ衣装作りを手伝うことに。こうして二人の、「好きを貫く」交流が幕を開けることとなるのです。

人と違うことを恐れないで! 本作のコンセプトは自分だけの「好きを貫く」

本作最大の魅力は、やはり徹頭徹尾貫かれている「好きを貫く」ことの大事さ。

現代の日本では、多様性や個性を大事にする風潮はずいぶん広がりを見せています。

しかしそれでもやはりまだまだ、人と違うことにコンプレックスや不安を持ってしまう人は大勢いることでしょう。

学生なのに変わった趣味だね。大人になったのに、まだそんなものに興味持ってるの?
男の子なのに、女性なのに、そんなの好きなんだ。ちょっと変じゃない?

何気ない他人の言葉にドキッとさせられたり、自分の「好き」に自信がなくなってしまったり。そんな全ての人々に、作中の二人が全力で「好きを貫く」姿は、きっとたくさん勇気を与えてくれるはず。

そして同時に、熱量の大きな「好き」がないという人にも。本作は誰かの「好き」に対して、私たちがどうすればいいかを教えてくれる作品です。

自分の知らない世界に対して、特に日本人はどうしても防衛本能が働く生き物。その結果が普通と違う事に対しての難色を示す言葉や、興味関心のなさに繋がってくるのでしょう。

「好きを貫く」誰かと相対した時、あなたはどんな言葉を発していましたか?どんな表情で、相手の話を聞いていましたか?

「好きを貫く」二人の姿から、そんなことを考えさせられる人もきっといるのではないかと思います。

煌びやかな姿の背景にある努力とキャラ愛…憧れのコスプレの世界を垣間見る

そしてもうひとつ、今作の魅力は知っているようで知らないコスプレの世界を覗き見る事ができる点!

アニメやマンガの二次元カルチャーがずいぶん大衆的になった今、様々な作品のキャラクターに扮するコスプレに関しても、聞いたことはある! という人もきっと増えたはず。

まるで二次元の世界から飛び出してきたような、様々な作品のキャラの衣装やコスプレイヤーさん。

一見煌びやかで華やかな世界のようにも感じますが、実はその裏には独創的な創意工夫や、コスプレならではの地道で大変な苦労も。

そんな実際のコスプレあるある小ネタも本作には満載。

コスプレが実際に好き! という人も、興味はあったけど具体的に触れる機会は今までなかったな…という人も。どちらの方でも楽しめる点も、本作の大きなポイントとも言えるでしょう。

執筆:ネゴト / 曽我美なつめ

関連記事

インタビュー「漫画家のまんなか。」やまもり三香
漫画家のまんなか。vol.1 鳥飼茜
完結情報
漫画家のまんなか。vol.2 押見修造
インタビュー「編集者のまんなか。」林士平

TOP