『ヒヤマケンタロウの妊娠』実写ドラマ化の男性も妊娠・出産する世界を描いた話題作
想像力を持つことの大切さを教えてくれる『ヒヤマケンタロウの妊娠』。私たちの当たり前を見つめ直すきっかけをくれる作品です。
男性も妊娠・出産をする世の中になったら、どう変わるのか。もしくは変わらないのか。そんな「もしも」が現実になった世界を描いた『ヒヤマケンタロウの妊娠』は、2022年Netflixで斎藤工と上野樹里主演で実写ドラマ化された話題作です。
自分が直面してはじめて知る「リアル」
男性も妊娠するようになって10年が経ったころ、妊夫となったのが主人公の桧山健太郎(ヒヤマケンタロウ)。
男性の妊娠が判明してもまだまだ他人事の男性がほとんど。ケンタロウもその一人。妊娠検査薬で陽性となり、病院で妊娠週数を告げられても即答で「堕ろします」と言ってしまいます。しかし、中絶するにも入院が必要で簡単ではないということを知ります。バリバリ働くケンタロウにとって1週間も入院するなんてとんでもないこと。「ムリ!」と心の中で叫んでしまいます。
©坂井恵理/講談社
しかし現実は妊娠に伴った休みを幾度となく取らなくてはなりません。自分が直面してはじめて知る「リアル」が次々と描かれていきます。
妊夫をめぐるそれぞれの思い
物語は主人公のケンタロウを中心に「妊夫」と関わる人たちがオムニバス形式で描かれます。
「妊夫の存在に覚悟を決める妊婦」「夫が妊夫となった妻」「妊娠してしまう男子高校生」などがそれぞれの立場から「妊夫」のことを考えます。
出産を経験している筆者にとっては「夫が妊夫となった妻」の視点にとても共感しました。
©坂井恵理/講談社
夫婦で妊娠・出産の不安や喜びを共有することができたら、その後の育児も当事者として大変さも楽しさも分かち合うことができそうです。
ご夫婦で読むのもおすすめです!
想像力で世の中は少し変わる
電車の中で泣いてしまうケンタロウの子ども。あやすケンタロウに向け舌打ちをする乗客。
「子どもは泣くのは仕方ないじゃないか」と思うと同時に「今舌打ちしたのは1年前の自分だ」そう思うケンタロウ。
©坂井恵理/講談社
他人事でもほんの少し自分や自分の大切な人に置き換えてみる。そんな風に想像力を持ち、ひとりひとりが少しずつ変わることで、世の中はちょっとよくなるのかもしれません。
2022年に実写ドラマ化で全世界配信中!
2022年1月クールで『シジュウカラ』が実写ドラマ化されている坂井恵理先生。『ヒヤマケンタロウの妊娠』も2022年Netflixで実写ドラマが全世界配信中の今年注目の先生です。 ドラマは洗練された映像と豪華なキャストで話題を呼びました!
続編となる『ヒヤマケンタロウの妊娠 育児編』も一緒にどうぞ。
執筆: ネゴト / Ato Hiromi