男性も妊娠・出産する世界のその後を描いた『ヒヤマケンタロウの妊娠 育児編』
仕事と育児の両立もカンペキ!?
男性が妊娠する「妊夫」となり、無事男の子を出産した主人公の桧山健太郎(ヒヤマケンタロウ)。出産から3年が経ち、息子の幸太郎も3歳になりました。幸太郎の母親でもあるパートナーの亜季とは未だに婚姻関係にはありません。そんなシングルファザーのケンタロウは保育園のお迎えに間に合うように、時間内にバリバリ仕事をこなします。
「仕事と育児の両立もカンペキ!」と周りからは見られていますが、実情はいっぱいいっぱいの日々が続いています。そんな毎日に「2人目なんて考える余裕ない」と本音がこぼれます。
©坂井恵理/講談社
2人目が欲しい!でも本当に2人目をつくる余裕なんてあるの?
こんな葛藤をしている夫婦も多いのではないでしょうか。産むタイミングは?頼れる人はいる?1人でも手一杯なのに大丈夫?共働きの夫婦であれば「そうそう!」と頷きながら読み進めてしまうはず。
妊夫に対する世間の目
ケンタロウが妊夫であることを公表し、メディアにも積極的に出ることで妊夫の認知度は上がりました。でもまだまだ他人事だと、理解のない言葉や態度を向ける人が多いのが現状。そんな中、人気男性アイドルが妊娠し公表します!
©坂井恵理/講談社
有名人が妊夫となったことで世間の目は変わるのか?やはり変わらないのか?
今作品もケンタロウを中心に妊夫に関わる人たちが登場します。
みなそれぞれ考え悩み覚悟を決めます。登場人物たちがどのような覚悟を決めたのかも見届けて欲しいです。
育児は大変!でも豊かな経験になる
寝る時間がない!キャリアを諦めなければいけない!自分ひとりの時間がない!
育児をしていると多くのことを諦めないといけません。実際は楽しさや喜びもいっぱいあります。でも育児の大変さばかり注目されてしまうと子どもを欲しいと思う人はより減ってしまいそう…。
©坂井恵理/講談社
「子どもは子ども!自分は自分!!それさえわかっていれば子育ては豊かな経験になるから!」
作品内で妊夫に向けた先輩ママのセリフです。不安になる妊夫だけでなく読者も勇気づけられるセリフが散りばめられています。
読んで欲しいあとがき
男性も妊娠する世界になったら医療、政治、法律などがどう変わるのか、変わらないのか。そのことを作者の坂井恵理先生があとがきで思いをつづられています。
SF作品のようでリアリティ感が強く、読んだ人に考えるきっかけをくれます。読むと誰かと話し合いたくなる作品です。
2022年Netflixで実写ドラマが全世界に配信。あわせてマンガも読むとより楽しめるはず!!
執筆: ネゴト / Ato Hiromi