終活バイブル『ひとりでしにたい』 よく死ぬためによく生きよう!
カレー沢薫先生の『ひとりでしにたい』は、憧れだった伯母の孤独死をきっかけに35歳独身の山口鳴海(なるみ)が、悲惨な老後を迎えないために学び成長する姿を描いています。マンガだけでなくコラムも人気のカレー沢薫先生の風刺を交えた学べるギャグマンガです。
結婚すれば安心!?
小さい頃憧れだった伯母が孤独死でスープになってしまった!
そんな衝撃的な場面から物語は始まります。憧れだった人であり自分の境遇と近いことで、伯母の孤独死は鳴海が「自分で考える」きっかけとなります。
やっぱり孤独にならないためには結婚だ! よし婚活!! と気合を入れる鳴海に近づくエリート後輩の那須田(なすだ)。
カレー沢薫『ひとりでしにたい』1巻 / 第1話
「令和になったって知ってます? 結婚すれば将来安心って昭和の発想でしょ?」
大きな夢や希望を持たないさとり世代の那須田のジャブが飛んできます。
将来設計なんて考えず楽しそうに生きる鳴海が気になる那須田に扇動されながら、鳴海の「ひとりで生きてひとりで死ぬ」ための終活がスタートします。
次々と発せられるパンチライン
・30半ばの女とか「需要」ないですよ。「介護人生」っすね
・「大丈夫」は孤独死のはじまりですよ
・どうせ孤独死するならソファがお勧め!
・顔なでる暇があるなら! ウンコ拭いてやれっての!
・無知と無神経はおともだち
カレー沢薫『ひとりでしにたい』1巻 / 第4話
本作品にはうぐぐっと唸ってしまうパンチラインが次々と発せられます。
「何も考えてこなかった」鳴海だけでなく、刺さる読者も多いはずです。本作品は主人公の鳴海のように働く独身女性をメインにしつつも、老若男女どの世代が読んでも「関係ない」と目を背けられない恐ろしさが魅力です。
情報や意識をアップデート!
情報や意識のアップデートしてますか?
本作品には生活保護、遺族年金、配偶者居住権といった制度や、老後破産、子供部屋おじ(おば)さん、8050問題などといった言葉、さらには檀家、離檀などお寺のシステムまでも登場してきます。
知っておくべきなんだろうけど、頭を抱えたくなってしまう難しい言葉たち。でもそこはカレー沢薫先生ならではのギャグと、個性豊かなキャラクターたちのおかげでスルスルと読めてしまいます。
カレー沢薫『ひとりでしにたい』1巻 / 第2話
本作品を読むと当事者意識が芽生え、情報や意識のアップデートされること間違いありません。
すべての人に読んで欲しい終活のバイブル
昭和の発想全開だった鳴海も、さとり世代の那須田に扇動され「自分で考える」ようになっていきます。
カレー沢薫『ひとりでしにたい』1巻 / 第6話
「よく死ぬにはよく生きなければならない」
独身だから、子どもがいないから、親は元気だから…自分は大丈夫。まだまだ大丈夫。
ついつい先延ばしにしている現実をビシバシと突きつけてくる本作品。
知識を得て、意識をアップデートし、自分で考え行動することで鳴海と一緒に成長していけるのが一番の魅力です。一家に一冊。すべての人に読んでもらいたい終活のバイブルです!
あなたもぜひ『ひとりでしにたい』を読んでよく死ぬための終活を学んでみませんか?