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ロマンチックじゃない大人の恋が大人を痺れさせる『自転車屋さんの高橋くん』

松虫あられ先生の描く『自転車屋さんの高橋くん』は、トーチWebにて連載中の作品です。今年「マンガ大賞2022」にもノミネートされ、ついに累計50万部も突破!“チャリ橋くん”フィーバーはまだまだこれからです。

今回は、この物語のご紹介と共に、多くの読者たちが惹き込まれてしまう高橋くんの魅力をお伝えします。

自転車屋さんの高橋くん 著者:松虫あられ

ぜんぜん違うのに、とっても“お似合い”なふたり

いつものように仕事を終えたアラサーOLの飯野朋子(はんのともこ)略してパン子。

帰宅中に乗っていた自転車のチェーンが突然外れてしまい困っていたところに、年下ヤンキー 高橋遼平(たかはしりょうへい)がふらっと現れます。祖父が営む自転車屋さんで働く彼は、自転車を直してパン子を助けてあげるのでした。

この自転車のトラブルからふたりは急接近。つなぎを着たちょっとガラの悪そうな兄ちゃんと平凡なアラサー女子。まったくタイプの違うふたりなのに、なぜだか“お似合い”な彼らの日々が描かれています。

短い言葉と、まっすぐすぎる優しさと、あんまり笑わない顔

気が利く高橋くんは、パン子にもとっても優しい。彼らしいおもてなしの方法には愛しさが溢れています。

ファンタを飲みたそうにしていたパン子に「おら」と言ってファンタを差し出す高橋くん。パン子に「ん」と映画の入場特典をあげる高橋くん。屋台で買ったものを食べたそうにしているパン子に「ん、食う?」と食べさせてあげる高橋くん……。

分かりやすくニコっと笑ったりしないし、かける言葉はいつもめちゃくちゃ短い。けれど、そんな彼のやり方にそっけなさではなく、彼がよくパン子を気にかけていることが伝わってきちゃうんです……(尊)。

もちろんパン子に対する愛情表現もどストレート。けれど彼は、少女漫画にあるような気取ったセリフは決して言いません。ロマンチックじゃないからこそ、綺麗な言葉でかき消されていない、彼の剥き出しの優しさがダイレクトに響いてくる……。

たしかに素敵な物語やロマンチックなシチュエーションを多くの作品で目にしてしまうと、どうしてもその理想を現実に求めてしまうこともあるかもしれません。

そんなとき高橋くんのシンプルな言葉や飾らない表現は、現実に存在する愛しさを教えてくれるはずです。

物憂げな瞳に吸い込まれる

物語が進むにつれて縮まっていくふたりの距離。一方で、不意に物憂げな表情を浮かべる高橋くんも描かれています。

竹を割ったような性格のいつもの彼の、心の奥が見え隠れしていき……。パン子にもまだ話せていない彼の過去にはいったい何があるのでしょうか。

どうかどうか幸せでいてほしい……そう願わずにはいられないふたりが紡ぐ大人の恋から、たくさんのあたたかさを受け取ってくださいね。

執筆 / yukiko

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