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強さはそれぞれお好みで! 頑張る自分の背中を押してくれるマンガ特集

仕事、学業、家事、育児、やらなければいけない事が次々と迫ってくる何かと忙しい現代社会。バタバタと日々を過ごす中で疲れてしまったり、立ち止まってしまう瞬間はないでしょうか。

そんな少し心の余裕を無くしてしまった時にそっと自分の背中を押してくれるマンガを、背中を押すパワー「押し力(チカラ)」別に4作品ご用意致しました。今ご自身が置かれている状況や、取り巻く環境に合わせてチョイスしていただければ幸いです。

押し力「弱」背中をそっと支えてくれる温かさに溢れた『大丈夫倶楽部』

幼い頃から「大丈夫になること」が趣味の花田もね。迫り来るあれやこれやに心の平穏を脅かされることもしばしばです。そんな時に自分の気持ちを楽にしてくれる「大丈夫になる活動」をすることで、心を回復してゆく様がゆるやかに描かれています。

大丈夫倶楽部 著者:井上まい

ある晩、ひどく大丈夫という感情が欠けてしまっていたもねは、真っ直ぐに家路に着くことすらできず、ふらふらとたどり着いた海辺で芦川(あしかわ)さんという謎の生物と出会います。

バクが2足歩行しているような不思議な見た目の芦川さんと意気投合したもねは、芦川さんと2人で大丈夫な気持ちになれる活動をすることを目的とする「大丈夫倶楽部」を結成します。

地球のように生命が存在できる天文学上の領域を意味する「ハビタブルゾーン」という言葉を知り、中学生の時には自分の領域を大丈夫な空間にしていくことを活動目的とする通称「ハビタ部」を設立しようとして、あっさり先生に拒否された苦い過去を持つもねにとっては、数年越しの願いが叶った瞬間でもありました。

とっ散らかった部屋を片付けた後にお酒を飲んだり、公園のブランコに揺られながら穏やかな気持ちに包まれたり。お酒の席での失敗も、人に話すことで幾らか心が和らいだり。大丈夫を集める為の活動は、ほんの少し手を伸ばすだけで誰にでもできるくらい簡単で、ささやかなものです。

ただ、人は時にそんな簡単な事がとても難しく感じてしまい億劫になってしまうこともしばしば。そんな時に、今の自分の手の届く範囲だけでも「大丈夫な場所」にするために心掛け、晴れやかな笑顔を見せてくれるもねの姿は、読者の気持ちすら「大丈夫」にしてくれる、そんな温かさに包まれているのです。

サークル活動にお試しで参加してみるくらいのゆる〜い気持ちで、手に取っていただきたい作品です。

押し力「中」しなやかに自分が活きる場所を見つけた職員さんの姿が垣間見れる『税金で買った本』

ヤンキー高校生の石平くんが小学生ぶりに訪れた図書館で、10年前に借りた本をまだ返却していなかったことが発覚します。そこで本を弁償したことをきっかけに、その図書館で働き始めることから始まる物語が『税金で買った本』です。

税金で買った本 原作:ずいの 著:系山冏

図書館の様々なお仕事を知ることができる本作ですが、作中に登場する様々な図書館職員にも注目です。生意気な石平君に優しくも時に厳しく図書館のお仕事について教えてくれる早瀬丸さん。愛する図書館を守る為に筋トレに励みまくり、屈強な肉体を手に入れた白井君。子供にはとっても優しいけれど、大人にはめっぽう厳しい児童係の朝野さんをはじめ、個性的なキャラクターが勢揃いしています。

そんな濃い連中が集う環境の中で、いつもオドオドビクビクしている寄贈担当の今村さんは自身の担当するお仕事である悩みを抱えていました。

寄贈担当とは文字通り利用者からの善意で本を寄贈される際に対応する係のこと。ただ、当たり前ですが全ての本を受け取れる余裕もスペースもなく、必要な本だけを受け取らなければならないのがこのお仕事の難しいところ。

ですが、せっかく持ってきてくれた本をお断りする事ができない典型的な断れない性格の今村さん。

それでも、先輩からのアドバイス「断らないと皆不幸になる」という言葉を脳内で反芻し、寄贈者の真意を引き出した上で毅然とした態度で言葉を返す今村さんの姿には勇気をもらえます。

それぞれの場所で精一杯自分の仕事を全うしようとする登場人物達に出会えることも『税金で買った本』の魅力です。様々な性格の従業員が働いている図書館なので、読めばきっと共感できる図書館員さんに出会えることでしょう。その頑張りに勇気とやる気を貸し出してもらいましょう!

押し力「強」宮崎の田舎で出会った先生との逞しき日々『かくかくしかじか』

数々のヒット作を世に送り出している人気マンガ家、東村アキコ先生の半生を描いた自伝的作品『かくかくしかじか』。マンガ家東村アキコ先生誕生以前のルーツが赤裸々に描かれています。

かくかくしかじか 著者:東村アキコ

美術部に所属する高校生の林明子は、将来は東京の美術大学に現役合格しそのまま在学中にマンガ家デビューしてバラ色の人生を謳歌するという妄想、もとい素敵な人生設計を描いていました。

いやいやそんな甘くはないだろうとツッコミを入れてきた友人の紹介で地元の絵画教室に通うことになる明子。そこで彼女は、生涯の師と言える人物、日高健三先生と出会うのです。

そこで待ち受けていたのは、令和の時代には想像も出来ないようなザ・スパルタ授業。自信満々で描いた絵を「ハイ全然下手クソでーす!!」と一蹴する日高先生。竹刀片手に子供だろうがおじいちゃんだろうが容赦無くビッシビシと指導するザ・昭和スタイルの日高先生の元で奮闘する様が時にコミカルに、時にユーモラスに、そして時にバイオレンスに綴られます。

宮崎の温暖な気候と優しい宮崎人の温かさに触れ、ぬくぬくと肥大した自尊心。そんな環境が一変し、一気に現実を突きつけられ、ひたすら絵を描き続ける日々。今や押しも押されぬ人気マンガ家の1人である東村アキコ先生を形成した大切な時間がそこにはありました。

物語のラストでは、心を鷲掴みにされるような日高先生の言葉が読者の心の臓まで刺さってくることでしょう。大変だけど愛おしかったあの日々と、先生の言葉が今の自分を支えてくれる。そしてその感情を共有する読者の気持ちすらも奮い立たせてくれるのです。

押し力「激つよ」掃き溜めのような日常をぶち壊して貸し借り無しの人生を掴め『この世は戦う価値がある』

職場はブラック、男はクズ、人生ドン底。生きることに疲れ果てたOL伊東紀理(いとうきり)が全てを捨てて人生の貸し借りを清算する様が描かれる作品が『この世は戦う価値がある』です。

この世は戦う価値がある 著者:こだまはつみ

セクハラパワハラまがいの言動が横行する職場。毎日のように残業、それでも終わらず仕事持ち帰りの日々。絶賛浮気中の彼氏からは金をせびられ、それを断ることも出来ない。そんな人生に嫌気がさした紀理は、自宅に届いていた「臓器提供カード」を発見し、死ぬ時に11人の人生を救う権利を獲得した自分は、それまで好きに生きることができるのだと解釈するのです。

誰かの役に立つ人間になりたいと願っていた紀理。ある種の最強の免罪符を手に入れたことで彼女の人生は一気に確変モードに突入します。

人生における貸しと借りを書き出し、それまで返せなかったことはきっちり返し、奪われたものは力づくでも取り返す。紀理は臓器提供カードの後押しをもって、半ば強引に自分の背中を自分自身で押したようにも感じ取れます。

爽快さと危うさと、少なからずの羨ましさがない混ぜになった感情の答えを探しに、本作を手に取ってみてはいかがでしょうか。

今いちばん心地よい強さを選べばいい

マンガから貰えるエネルギーは、時に読者自身でも調整が効かなくなってしまうこともしばしば。せっかくの作品も、自分がそれを受け入れられる状態でない時に読んでしまってなんだか疲れてしまったりしたら、それはなんだか勿体無い気がしてしまいますよね。

その時々の自分のコンディションに合わせて、読む作品をセレクトしてみるのもまた有意義なマンガの楽しみ方ではないでしょうか。

頑張る自分を先へ先へと進めてくれる、そんなガソリンのような4作品。ぜひ良きタイミングで味わってみてくださいね。

執筆:ネゴト / もり氏

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