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子供の幸せは親の幸せから『ハネチンとブッキーのお子さま診療録』が教えてくれる当たり前で大切なこと

また熱が出た! 年中鼻水と咳が出ている気がする。今月小児科に来るのは何回目だろう。幼い子供を育てる親と小児科とは切っても切り離せません。

月刊コミックゼノンにて連載中の佐原ミズ先生最新作『ハネチンとブッキーのお子さま診療録』は、そんな子育てに奮闘する親たちと奇抜だけど頼れる若き小児科医の交流を描くハートフルストーリーです。子供の幸せのためだから、自分のことは二の次! そんな毎日を過ごす親たちにこそ読んで欲しい本作の魅力をご紹介します。

ハネチンとブッキーのお子さま診療録 1巻
ハネチンとブッキーのお子さま診療録 著:佐原ミズ 医療監修:北岡寛己

人を見た目で判断してはいけない!

シングルファーザーとして二人の子を育てるハネチンこと羽根田(はねだ)優希は、奇抜すぎる見た目のブッキーこと琴吹(ことぶき)正尊を見て「こんな風に育ったら挫折感しかない」と、見た目で判断してしまいます。ところが、その見た目オバケなブッキーに助けられることになるのです。

妻を亡くしシングルファーザーとして4歳と0歳の子どもを育てるハネチンは、自分の人生よりも子供を選んで逝ってしまった妻を恨みながら、慣れない子育てに追われカオスな毎日を送っています。

そんなある日、子供の咳が続き薬を飲んでも治らず血痰まで出てしまいます。手が震えるほど不安な気持ちでいっぱいのハネチン親子に手を差し伸べたのが、見た目は奇抜だけど親切な小児科医のブッキーだったのです。

想像もしなかった原因に、子供を育てる大変さとあらゆる可能性を持って診てくれる小児科医との出会いに感謝します。

この出会いをきっかけに、小児科医ブッキーとハネチン一家との交流がはじまります。

子供の幸せは親の幸せから

「誤飲」「中耳炎」といった実際に子供がかかる病気や行動など、小児医療を中心に話は進んでいきます。カゼ症候群のウィルスは200種類以上ある!中耳炎でもこんな症状には気をつけよう!子供がかかりやすい病気や危険な行動なども学べます。

親は子供の幸せを願い、子供のためなら自分が無理することも我慢も厭わずがんばってしまう。そんな親たちにブッキーの言葉が刺さります。

自分自身を大事にすること。「大好きだよ」「ありがとう」「ごめんね」をきちんと言葉にして伝えること。当たり前で大切なことなのに、毎日が精一杯で後回しにしてしまっていることにドキッとしたのは私だけではないはずです。

正直子供を生かすだけで毎日精一杯! 自分のことなんて構っていられない! そんな頑張り屋さんの親たちにこそ読んでほしい作品です。

子供って面白い!?

二人目を望み出産した妻に対し「お前にとってなんのメリットがあったんだ」と問いかけるハネチン。妻は「だって面白いんだもん」と答えます。

その答えと笑顔に、幼い子供を残して逝ってしまったけどハネチンの妻は幸せだったことが伝わってきます。だって自分が幸せでなければ、貪欲で残酷で得体の知れない恐ろしいほど正直な子供という生き物を「面白い」とは思えないからです。

子供を「面白い」と思え、当たり前で大切なことが分かっているブッキーが近所の小児科医だったらなんて心強いんだろう! (見た目は強烈だけど)

子供の幸せはもちろんだけど、自分の幸せにも目を向けてみませんか。

執筆:ネゴト / Ato Hiromi

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