『シブヤニアファミリー』都会にシビれる、憧れるゥ!日本の最先端がそこにはある
渋谷! それは日本の若者文化の情報発信地であり常に流行の最先端をひた走る街です。江戸時代には多くの武家屋敷が渋谷に集まり、市街の発展に伴う形でめくるめく進化を遂げ今日に至ります。
そんな都会情緒に溢れた街、渋谷で暮らす小学3年生の女の子、都加逸子(とかいつこ)が本作『シブヤニアファミリー』の主人公です。
『シブヤニアファミリー』©久米田康治/小学館 第1話より
渋谷こそ正義
子供は何かとゴチャゴチャした都会よりも自然に溢れた田舎で育てた方が健やかに育つなどといった価値観が一部ではあるようで。しかしそんな風潮は都会っ子に言わせれば「意味不明」です。
渋谷っ子たるもの芸能人がいても騒がない、イベントは行くものではなく向こうから渋谷にやってくるもの。ましてやコタツなんて空想上のアイテムでしかないのです。ちょっと何を言っているか良くわからなくなってきましたが、そんなこんなで都加逸子はクラスの係決めで渋谷感を出す係「渋谷係」初代当番長に任命されるのでした。
『シブヤニアファミリー』©久米田康治/小学館 第1話より
渋谷には大体全てがある
流行と商業の最先端、渋谷には控えめに言って概ね全てが内包されています。それは決してポジティブな事柄だけではなく、時にはインフレーションやジェンダーといった社会問題すらもテーマとして扱う。そんな懐の深さこそが『シブヤニアファミリー』の魅力、ひいては渋谷の魅力なのです。そんな訳で今日も渋谷係はアレコレと考えることが多く大忙しなのです。
『シブヤニアファミリー』©久米田康治/小学館 第11話より
渋谷区民でないことに絶望するくらい渋谷が好き
渋谷っ子である以上、渋谷っ子らしからぬ行為はもちろん御法度。ましてやホイホイうっかりテレビに映っちゃうなんてもってのほかです。
さらには時に従順さを捨て、あえて反抗し自分の意見を発信することも怠らないのです。小学生のうちから自分の価値を高める為に行動に移す、これこそが渋谷っ子クオリティーです。
『シブヤニアファミリー』©久米田康治/小学館 第16話より
全ての道は渋谷に通ず
作者である久米田康治先生節が炸裂しまくりの唯一無二の世界観を堪能できる本作。ページを捲れば都会の悲喜こもごも、時に哀愁漂う大人の背中あり、社会の甘酸っぱさを噛み締める渋谷っ子の姿もあり。本作を読めば人生に必要なことのおおよそ10.9%は学びとることが出来るのではないでしょうか。
一言でいうならばなんともハイセンスな作品です。都会っ子も地方っ子も成人を迎えて久しい大人の階段登りきった皆様もとにかく手に取ることをオススメします。「この作品を読んでるなんてセンス良い!」と思われること請け合いですよ。
『シブヤニアファミリー』©久米田康治/小学館 第19話より