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『あかね噺』憧れた父の雪辱を果たす…その一念で女子高生はいざ落語の世界へ!

古くから私たち大衆の娯楽でもあった伝統芸能。特に能や歌舞伎、狂言といった”舞台芸能”の印象が強い人も多いかと思いますが、中には「敷居が高そう…」「お堅くて退屈そう」といったイメージを抱く人も多いのではないでしょうか。

語り部の身と噺だけですべてを表す話芸の極致、「落語」もそんな伝統芸能のひとつ。

現在週刊少年ジャンプで連載中の原作:末永裕樹先生、作画:馬上鷹将先生による「あかね噺」は、そんな落語の世界で最高位・真打を目指す女子高生・朱音(あかね)の成長を描いた物語です。

あかね噺 原作:末永裕樹 作画:馬上鷹将

ジャンプでは異例の伝統芸能というジャンルを、非常にテンポ良く、かつ人情味満載の熱いドラマとして描く本作。主人公・あかねの奮闘に目が離せなくなると同時に、どんどん落語の世界にも興味惹かれていく。今最も「読み応えのあるマンガ」として、多くのマンガ好きが注目しています!

憧れの父の落語、その魅力の証明のために彼女は高座へ上がる道を選ぶ『あかね噺』あらすじ

主人公・朱音が幼い頃から好きだったもの。それは落語家である父・阿良川志ん太が家でひとり寄席の稽古をしている景色でした。語り口ひとつで、まるでその場の光景をあたかも実際に見ているように想起させる父の落語。その豊かな情景描写に魅せられ、「自分も父のような落語家になる」とまだ幼いながら朱音は息まきます。

しかしある日、父は真打への昇格試験で異例すぎる破門という結果を突きつけられました。

それにより落語家の道を諦め、一般企業への就職を選んだ志ん太。先行き不安な落語の道から安定した職へ転身した父に対し、周囲の人の多くは安堵の表情を見せたのでした。

たった一人、娘の朱音だけを除いては。

もう二度と見られない、大好きな父の落語。それだというのに、まるで父が落語を辞めることを「正解」のように喜ぶ周囲の人々を見て、彼女は大きな悔しさを味わいます。

父の落語が凄かったことを周囲に認めさせる。そのために自分は真打になる。

そう決意し、父の師匠であった阿良川志ぐまの元で、朱音は密かに稽古をつけてもらうようになるのです。

それから6年後。高校卒業の歳になった彼女は、ついに正式に志ぐまの弟子となり、本格的な落語の世界に飛び込むことになるのでした。落語界に、日本中に。憧れた父の落語が素晴らしかったという事を、自分の噺で証明するために。

落語の魅力、そして難しさ──伝統と娯楽、その両立を人情味溢れるドラマで描く

本作の人気、それはやはり落語の本質的な面白さと、その世界にまつわる人間ドラマを非常に生き生きと描いている点でしょう。

冒頭に述べたように、伝統芸能にはおそらく多くの人が非常に敷居の高いイメージを抱いているはず。ですが元々伝統芸能とは、広く民衆を楽しませるための娯楽。今まさに私たちが楽しんでいる、音楽コンサートや映画、マンガなどとまったく同じ、一般人の楽しみでもあるのです。

中でも落語は道具を一切使わず、自身の声と噺の内容のみで人々を楽しませるシンプルさ。

その内容は庶民の出来事を題材としたものばかりと、今の時代を生きる私たちにも通じるものが多い、身近さを感じられる伝統芸能です。その要素は現代のお笑いにも近いものがあるため、TV番組でちょっとした落語や、落語家さんがタレントとして活躍する姿を見たことがある人もいるでしょう。

とはいえ一方で、落語家は決して芸人ではありません。これまでに何百年と継承されてきた、日本の文化・歴史が濃縮した噺の伝統芸。それを担う継承者でもあります。

積み重ねられた日本の歴史的文化であると同時に、どこまでも私たち庶民の生活に即した大衆演芸である落語。一見矛盾するかに見える二つの本質を両立するのが、真に落語を極める、ということなのかもしれません。

自らの夢を追いながら、落語という伝統芸能の真髄を、様々な経験の中から少しずつ学んでいく朱音。落語に携わる大勢の曲者に囲まれた彼女の奮闘劇は、まだまだこれから始まっていくところです。

執筆:ネゴト / 曽我美なつめ

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