「音楽マンガ」特集~マンガから音が聴こえてくる体験を
誰もが人生の様々なシーンで音楽に触れた経験をもっていますよね。あの曲を聴けば当時の記憶が鮮明に思いだせることもあれば、辛い時期にこの曲に救われたという経験を持つ人も少なくないのではないのでしょうか。
そしてそれは音楽をテーマとしたマンガもまた同様である、と感じています。
『BLUE GIANT EXPLORER』
©︎石塚真一・NUMBER8 / 小学館 第54話より
そこで本記事では「マンガから音が聴こえてくる」音楽マンガ特集と題して、様々なジャンルの音楽マンガをお届けします。アナタの琴線に触れる作品との出会いのきっかけになれば幸いです。
王道の音楽マンガ体験を『BLUE GIANT EXPLORER』
サックスと出会った青年、宮本大(ミヤモトダイ)が世界一のジャズプレーヤーを目指す物語。日本、ヨーロッパをサックス1つで勝負し続ける宮本大の次の挑戦の舞台はジャズの本場、アメリカ。
最新作である『BLUE GIANT EXPLORER』では自由の国アメリカで出会った新たな仲間達と奮闘する姿が描かれます。
音の嵐をぶつけられていると錯覚するほどの臨場感
この作品に関しては音が聴こえてくるなどという生易しい表現は最早当てはまりません。常に全身全霊でサックスを吹き続ける大から放たれる力強い音が嵐のように読者に降り注ぐような演奏シーンは圧巻の一言!
『BLUE GIANT EXPLORER』
©石塚真一・NUMBER8 / 小学館 1巻第8話より
旅路の途中で出会った志を同じくする仲間達とぶつかり合う中で、大がどこまでも真っ直ぐに突き進んでいく姿には勇気を貰えます。
作中でもその真っ直ぐさと志の高さで多くのキャラクター達に影響を与えている大の姿は誇らしく、音楽の世界で勝負する男の生き様を見せつけられる骨太な世界観に心をワシ掴みされること必至!
『BLUE GIANT EXPLORER』
©石塚真一・NUMBER8 / 小学館 1巻第8話より
2023年2月17日には待望の映画公開と益々の盛り上がりを見せる本作。まさに今こそ読んでおきたい、日本の音楽マンガを語るなら外せない珠玉の作品です。
令和を象徴する音楽マンガ『バジーノイズ』
自分ひとりだけで完結する世界。そんな音楽をPC1つで創っている青年、清澄。とあるきっかけで自分の音楽がSNSを通じて世間に拡散されていきます。
それまで自己完結していた清澄の音楽が広がっていく様がなんとも現代的な描かれ方をされています。
令和時代の新感覚音楽マンガ
音の表現がビジュアライズされ、ふわふわとした柔らかな印象を読者に与えるような独特の見せ方も印象的です。
『バジーノイズ』©むつき潤/小学館 第1話より
PCさえあればどんな音楽でも作り出すことができる今の時代を象徴するような音楽マンガの新機軸。自分の音楽が世間に浸透していくその手法もSNSでのバズがきっかけになるなど、表現の幅が更に広がっている現代だからこその展開も新しいです。
『バジーノイズ』©むつき潤/小学館 第10話より
作品全体から漂うオシャレ感もまた作品の魅力であり、音楽きっかけのボーイミーツガールとしても楽しめます。最先端の音楽マンガを感じたい方にぜひ!
懐かしさとむずがゆさが去来する『ソラニン』
大学の音楽サークルで出会い、互いに惹かれ付き合うこととなった種田と芽衣子。大学時代からバンドを続けている種田と、社会人として働く芽衣子の2人。お互いの心がすれ違いそうになる時もありながらも、心を通わせていく様が刺さります。
大人でも子供でもない時期のリアル
音楽で食べていくという夢が実際に手に届きそうな所に転がってきたところで、現実の厳しさを突きつけられるリアルさも同時に突きつけられる本作。
『ソラニン』©浅野いにお/小学館 第15話より
誰もが通ってきた苦い感情を作中で追体験している気持ちになる方はきっと多いのではないでしょうか。
何か自分にも大きなことが出来るのかも知れないと夢を見ながら、現実は否応なく目を覚ませと突きつけてくる。それでも辛い時にそばに居てくれる仲間の大切さも、側に音楽があるからここまで繋がっていられたのだと感じさせられるのです。
『ソラニン』©浅野いにお/小学館 第27話より
大人になった今、改めて読み返して学生時代に想いを馳せる。生きていれば色々なことがあるけれど、それでも「どうにかやるさ」と前を向いて歩こうと思える作品です。
音楽が光を与えてくれる『四月は君の嘘』
小学生時代に天才ピアニストとして名を馳せるも、突如ピアノが弾けなくなってしまった中学生、有馬公生。音楽と離れモノトーンのような日々を送る中で、音楽を愛するヴァイオリニスト宮園かをりと出会います。
音楽が紡ぐ感動の物語
音楽が嫌いになりかけていた公正にとって、宮園かをりとの出会いは彼の人生がカラフルに色づき始めた瞬間でした。
彼女の奏でる音楽が、閉ざしていた公正の心を再び明るく色づかせてくれていることに気付くのにそう時間はかかりませんでした。
『四月は君の嘘』©荒川直司/講談社 第1話より
本作からは、音楽をトリガーにして人の心が解放される瞬間を目の当たりにすることができる稀有な作品です。
頑なだった心を解きほぐしてくれるかけがえのない存在との出会いは音楽を媒介にして得られる時別な体験です。
『四月は君の嘘』©荒川直司/講談社 第3話より
受け取った人の心にずっと残り続けて離れない。いつまでもそこで生きているような想いを受け取れる感動の音楽マンガ体験を得たい方に心から勧めたい作品です。
音楽フェスをマンガで体験!?『デイズ・オン・フェス』
音楽マンガでも異色と言えるフェスを題材にした作品です。フェス初心者の空良奏(そらかなで)と山奈音葉が音楽フェスに参加する度にその魅力に触れていくストーリーです。
聴く側が主人公という新鮮さと読者と近しい距離感
音楽マンガというとプレーヤー側の視点で描かれることが大半の中、本作は音楽を聴く側にスポットを当てている点が斬新です。
『デイズ・オン・フェス』©Kanato Oka/KADOKAWA 第1話より
より読者側に近しい距離、同じ目線でフェスを楽しんでくれる主人公達、数ある音楽マンガの中でもより共感度が高くなる要素となっているように感じられますね!
『デイズ・オン・フェス』©Kanato Oka/KADOKAWA 第2話より
音楽LIVEのみならず、フェス飯や泊まりがけのフェス参戦エピソードなども作中のお楽しみポイント。
そしてフェスガチ勢の男子2人組も登場するので、フェスに頻繁に通った経験のある方も思い返して楽しめる、そんなフェスにまつわる魅力が満載の『デイズ・オン・フェス』。新しい音楽マンガとの出会いを求めに、いざ参戦!
音楽とマンガで豊かな人生を
音楽とマンガは人の心を豊かにしてくれるものだと信じています。人生の様々なステージで、ハートを撃ち抜かれるような音楽マンガに触れて、感じて、笑って、泣いて。音楽マンガライフを全力でエンジョイしましょう!